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【スポーツ】

[ラグビー]トップリーグMVPはカーター 神鋼15季ぶりV貢献、神業キッカー

2018年12月17日 紙面から

MVPを受賞した神戸製鋼のダン・カーター(左)は、高島正之チェアマンから記念の盾を贈られる=東京都港区の品川プリンスホテルで(斉藤直己撮影)

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 ラグビー・トップリーグの年間表彰式が16日、東京都内で行われ、最優秀選手(MVP)には、前日の決勝で神戸製鋼を15季ぶりの優勝に導いた元ニュージーランド(NZ)代表のSOダン・カーター(36)が選ばれた。プレースキック成功率86.2%でベストキッカーも受賞して2冠。新人賞はリーグ戦で7トライをマークしたトヨタ自動車のTB岡田優輝(23)が受賞した。

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 世界最優秀選手に3度輝き、W杯でも15年大会のMVPに選ばれるなど世界各地で賞を受けてきた名手が、ルーキーのような笑顔をみせた。「長くプレーしてきたけど、この年齢になって、新しい国で賞をもらえるのはうれしいよ」

 世界中のラグビー選手が憧れるスーパースターだが、慢心する気配はかけらもない。「新しいチームでプレーするときはいつも、新しい仲間に信頼される存在にならなきゃと思ってハードワークをする。今回も同じだった」。新天地でのチャレンジに全力を尽くしたことを強調した。

 MVPとともに、ベストキッカーにもなった。ベストフィフティーンに選ばれてもおかしくないが、リーグ戦出場数が1試合足りなかっただけで選考外となった。リーグ戦得点王は4点差で逃したものの、順位戦も含めた126点は2位のファンデンヒーファーに32点差をつける断トツの数字。大舞台になればなるほど輝きは増した。

 「大切なことはミスをしないこと。だけど私は日本に来て最初のキックを失敗しました。でも、だからこそ、もっとうまくなろうと努力した」。テストマッチ通算得点1598点の世界記録も持つ神業キッカーは、どこまでも謙虚な努力家でもあった。

 カーターのパフォーマンスを支えた隠れた要素は震災にあった。11年に郷里のNZクライストチャーチで大地震を経験。「神戸に来て阪神大震災のときの話を聞いてすぐにクライストチャーチでの地震を思い出した。あのときも被災地に勇気を与えたいと思ってプレーしたし、それが私の今季へのモチベーションにもなった」と明かし、「日本へ来た決断は、私の人生でもベストの決断のひとつだったと思う」と続けた。

 神鋼との契約は2年だが、もっと日本でプレーしたくなった? と聞かれると「体と相談しないと。もう36歳だからね」と笑った。「まずはNZに帰って、家族と一緒にリフレッシュするよ。この半年間は離れ離れに過ごしていたからね」と楽しげに話した。 (大友信彦)

 

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