米軍ヘリ事故、残骸あらわ 米軍が事故機を調査

2017/10/12 10:40 (2017/10/12 13:30更新)
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沖縄県東村高江の民間地で米軍普天間基地(宜野湾市)所属のCH53大型輸送ヘリコプターが炎上し大破した事故で、一夜明けた12日朝、現場では規制線が二重に張られ、米軍関係者が黒焦げになった事故機の残骸を調べる様子がみられた。翁長雄志知事は昼すぎに現場を視察。県は改めて米側や日本政府に抗議し、原因究明と同型機の飛行停止を求める。

炎上・大破した米軍の大型輸送ヘリCH53(12日午前、沖縄県東村)

炎上・大破した米軍の大型輸送ヘリCH53(12日午前、沖縄県東村)

防衛省沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長は、現場は民家から約300メートル地点だったと説明。伊集盛久東村長によると、米憲兵隊は県警に対し、環境調査が終わり次第、速やかに事故機を撤去する方針を示したという。ハワイ出張中の河野克俊統合幕僚長はハリス米太平洋軍司令官に対し、原因究明や再発防止を求めた。

沖縄県警は航空危険行為処罰法違反容疑などを視野に、捜査に乗り出すかどうか検討する。ただ日米地位協定の関連規定では、米軍の同意なく米軍の「財産」の捜索や押収はできず、日本の警察がどこまで原因を究明できるかは不透明だ。

米海兵隊や沖縄防衛局などによると、CH53は11日午後5時20分ごろ、訓練中の上空で出火し、米軍北部訓練場付近の民間の牧草地に緊急着陸した後に炎上、大破した。乗員7人や周辺の住民にけがはなかった。

12日朝、現場では黒焦げになり大きくねじ曲がった事故機の残骸が牧草地に横たわり、複数の米軍関係者らが機体を調べる様子がみられた。

現場の周囲には規制線が二重に張られた。外側は沖縄県警、内側は日米共同の規制線という。沖縄県警によると、12日午前の段階では、日本側の警察は内側の規制線から中へは入っていないという。住民らは高台から様子を見守った。

翁長知事は12日昼すぎに現場周辺を視察。視察後、記者団に「のどかな農村地帯に異様な形で墜落していた。怒りを感じた」と述べた。県は日本政府や米軍に原因究明や同型機の飛行中止を要請する考えだ。

沖縄県では2004年にも宜野湾市内の沖縄国際大の敷地に今回と同系統の機体が墜落する事故が発生。昨年12月には名護市沖で米軍輸送機オスプレイが不時着・大破する事故も起きたが、いずれも沖縄県警や海上保安庁による事故機の押収などはできなかった。

東村と国頭村にまたがる北部訓練場は昨年12月の部分返還の際、東村高江に新たなヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)が複数建設された。米軍輸送機オスプレイが普段から発着を繰り返し、住民の間で騒音被害や事故への不安が高まっていた。

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