じっくりと滞在を楽しめる環境が充実
香港と中国広東省珠海、マカオを結ぶ世界最長の海上橋「港珠澳大橋」が10月24日ついに開通し、マカオが一気に身近な存在になりました。これまで船で1時間以上かかっていた香港—マカオ間が、大橋開通で最短約30分に短縮。24時間いつでもアクセスできるようになり、じっくりと滞在を楽しむことのできる旅先としてマカオが今、あらためて注目されています。
着工から開通まで9年をかけた大橋は、海上部と海底トンネルだけで長さが36キロ近くあり、橋そのものが訪れるべき名所です。そんな大橋の壮大さにふさわしく、観光地としてのマカオも近年著しい変化を遂げています。2005年には世界遺産に登録され、2007年以降、コタイ地区を中心にIR(統合型リゾート)のオープンも相次ぎ、国際的な観光地として成熟度を高めています。グルメやエキゾチックな街並みに加え、近年はエンターテイメント施設も充実。家族で訪れて楽しめる滞在型リゾートとしての環境も整っています。
非日常を満喫するラグジュアリーな世界
シティー・リゾートとして成熟し、各IRでは観光客の多様なニーズに応えられるよう工夫が凝らされています。近年、力を入れているのがファミリー層へのサービス。各IRには、安全に配慮した幼児向けの遊具や、小学生以上が楽しめるクライミング施設などが完備。プールも施設によって、ウォータースライダーや人工ビーチなど趣向が凝らされていて、一日いても飽きることがありません。エンターテイメントも、水をテーマにしたスペクタルショーなど、家族で楽しめる演目が増えています。今後、高級ホテルの開業も予定され、マカオでの過ごし方はますます多彩になりそうです。
街歩きを通してエキゾチックな文化を体感する
マカオのユニークな歴史や文化も大きな魅力です。2005年に世界遺産に登録された「マカオ歴史市街地区」はその一つ。450年以上にわたり、西洋文化を受け入れる玄関口としての役割を果たしてきたマカオには、中国独特の寺院や邸宅に加え、聖ポール天主堂跡といった西洋の意匠を取り入れた建築や広場が点在し、それらを見て歩くだけで東西文化の融合を肌で感じることができます。計30ある建造物と広場はすべて歩いて回ることができ、きらびやかなIRとは異なるエキゾチックなマカオの素顔に触れられます。
現代アートも街をにぎやかに彩ります。古い街並みが残るタイパ・ビレッジではマカオ内外のアーティストらが倉庫の壁などにカラフルな絵を描き、観光客の目を楽しませ、新しいアートスポットとしても注目されています。新旧の要素が適度に融合しているのもマカオならでは。
東西の要素が融合したフュージョン料理を堪能する
マカオは、2017年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「食文化創造都市(シティー・オブ・ガストロノミー)」に認定されました。マカオ料理は、16世紀初頭の大航海時代にポルトガル人によってもたらされたインドや東南アジアのスパイスなどと地元の中国料理を融合させているのが特徴です。代表的な料理がアフリカン・チキン。ポルトガルの船員がアフリカで出会った鶏肉のグリル料理をアレンジし、インドなどで積み込んだ香辛料やココナッツミルクをふんだんに使っている文字通りのフュージョン料理です。レストランによって味付けは微妙に異なり、ローカルな食堂でその味を楽しむことも、ドレスアップしてミシュランおすすめのレストランで洗練された料理を味わうこともできます。
もちろん、点心を含む中国料理やポルトガル料理、そして日本料理などのレベルも高く、「グルメ」に的を絞った旅先としてもマカオは魅力的です。
スイーツも見逃せません。マカオ風のエッグタルトや中国風のクルミしるこ、そして「セラドゥーラ」と呼ばれる濃厚なクリームと細かなビスケットでつくられるポルトガルのデザートなど、バラエティーに富んだスイーツが充実。鮮やかな色合いのフレッシュジュースは、街歩きに疲れた体を癒してくれます。香港経由で英国スタイルのアフタヌーン・ティーの習慣もマカオに伝わっていて、多くのカフェで午後のティータイムを楽しめます。
マカオが、ポルトガルの統治を経て中国に返還されたのは1999年。特別行政区として発足して来年で20周年となり、成熟した観光都市として評価されて世界中から観光客が訪れます。「食」「エンターテイメント」「エキゾチックな街並み」……、多様な要望にきめ細かく応え、一人でも女子旅でも、そして家族旅行でもそれぞれの魅力を発見できます。東西の文化が絶妙に融合し、進化し続けるマカオの熱気を感じるには、港珠澳大橋が開通し、香港からも気軽にアクセスできるようになった今が好機です。