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【スポーツ】

[ラグビー]神鋼、日本一 V7築いた故平尾さんに捧げる18大会ぶり10度目

2018年12月16日 紙面から

ラグビーTL兼日本選手権で優勝を果たし、表彰式で喜ぶ神戸製鋼フィフティーンら=秩父宮ラグビー場で(いずれも岩本旭人撮影)

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◇トップリーグ決勝 神戸製鋼55-5サントリー

 決勝トーナメントを兼ねた日本選手権決勝は、神戸製鋼がサントリーを55-5で下し、TLでは初年度の2003~04年シーズン以来となる15季ぶり2度目の制覇を果たした。日本選手権の優勝は18大会ぶり10度目となり、最多記録を伸ばした。サントリーの3季連続2冠はならなかった。3位決定戦は、ヤマハ発動機がトヨタ自動車に15-12で競り勝った。

 深紅のジャージーが秩父宮の芝を制圧した。

 55得点はトップリーグ決勝での最多得点記録。優勝はトップリーグが誕生したシーズン以来の15季ぶり。日本選手権は18大会ぶりだ。眠っていた王者を目覚めさせたのは、今季加わった背番号10。オールブラックスでW杯連覇を達成したダン・カーター(36)。世界最優秀選手を最多タイの3回受賞。ニュージーランド代表112キャップの世界一の司令塔だ。

表彰式で平尾誠二さんの遺影を手にする神戸製鋼の前川

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 この日も冷静なパスさばきで味方を前に出し、計8トライをお膳立て。自分で走ったり、魔法のようなパスを放つわけではない。でも、基本プレーを当たり前に反復。それがチームを安心させる。

 「初めて決勝を戦う選手が『決勝に勝つ秘密の方法は』と聞いてきた。でも特別なことは何もない。今までやってきた通りにハードワークするだけ、と答えたよ」

 さらに世界の司令塔は「神戸製鋼で優勝することの意味をみんな考えて試合に臨んだから良い試合ができた」と付け加えた。

 今季就任したスミス総監督は、オールブラックスのW杯連覇でアシスタントコーチを務め、陰の監督と呼ばれた存在だ。神戸製鋼の総監督に就任後、キーワードとして「謙虚」「シンプル」「ハードワーク」といったラグビーの原点を強調した。V7時代のOBに話を聞き、休止した高炉跡を全員で訪ね、95年の阪神大震災時にラグビー部がどんな貢献を果たしたかなど、ピッチ外での学びにも時間を使った。

 歴史を知り、その重みを背負って、平成の最初に初優勝を飾った鉄人たちが、平成の最後に頂点に帰ってきた。表彰式でカップを掲げる前川主将の手には、V7時代を築き、2年前に53歳で他界した平尾誠二さんの笑顔の遺影があった。 (大友信彦)

 

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