第12話 風の又しゃぶ郎 ヤーレン ソーラン ソーラン ソーランソウ 卵巣ラン(ハイハイ) ...........宇多田ヒカルさんへ 愛を込めて 空は晴れていた。昼下がり、明るい太陽の日差しが土手を照らしていた。 土手は生い茂っていた。 「高いねえ」。 「ああ〜ん、見ちゃいや」。 「いやって言っても目に入っちゃうもんなぁ。着物の上からでもなんとなく膨らんでるなあと思ったけど、こうやって丸出しにすると、本当盛り上がってるねえ。拳くらいあるね。毛も多いよね。モッサリしてるよね」。 「やめてよ、気にしてるんだから。これでもこないだ隙バサミで隙いたのよ」。 「隙いてこれかい?。濃いねえ。まるで手入れの行き届いてない古墳だね」。 「形から言うと前方後円墳でしょ」。 「ああ、そうそう、仁徳天皇陵に似てる」。 平和、幸福、充足感、爽快感、開放感、性的刺激、興奮、ロマンチシズム、自然との融合。 「しゃぶっていい?」。 「なにを?」。 「永遠を。海に溶け込む太陽を」。 「詩人なのね」。 「ありがとう」。 「でも、要するに私のマンコを舐めたいって事なんでしょ」。 「まあ、早い話がね。でもさ、「マンコ舐めたい」なんて口が裂けても言えないからさ、「永遠を」なんて言ってみたりしてるわけさ」。 「ロマンチックだわ」。 「OKかい?」。 「もちろんよ。でも、切ないわ」。 「なんで?」。 「だって、また行っちゃうんでしょ。舐めたらすぐに。風のように現れて、風のように去っていく。それがあなたですもの。皆あなたの事をなんて呼んでるか知ってる」。 「風の又しゃぶ郎」。 「そうよ。あなたはいつも舐めっぱなしで、私を濡らすだけ濡らしておいて行ってしまうの。そして、私はいつも切ない思いをするのよ。まるであの人のように」。 「あの人って誰だい。聞き捨てならないなあ、今の一言。君にはほかに付き合ってる男がいるのかい」。 「付き合ってるってう言う訳じゃないわ。ただ、たまに舐めに来るのよ、オッパイを。.....ううん、そんなんじゃないの。あなたと同じよ。気が向いた時にふらりとやって来て、乳房の先っぽをむしゃぶりついてそれで終わり」。 「なんて男だい」。 「名前?。本名は知らないわ。でも、みんなからは乳之崎むしゃぶろうって呼ばれているの」。 「乳之崎むしゃぶろう?。名前も俺に似てるな。どんな男なんだろう」。 「会ってみたい?」。 「ああ」。 「じゃあ、もうしばらくここにいらっしゃいよ。きっと来るわよ、近いうちに。そんな気がするの」。 陽は次第に傾き、生い茂った土手を赤く照らし始めた。 つづく |