世界的な科学雑誌として知られる英国の『ネイチャー』が今月13日、ホームページに「韓国科学技術院(KAIST)の申成澈(シン・ソンチョル)総長が横領・背任の容疑で検察に告発されたことに韓国の科学者たちが反発している」との記事を掲載した。韓国科学技術情報通信部(省に相当)によると、申氏は大邱慶北科学技術院(DGIST)総長在任中に米ローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)と共同研究を行ったが、その際無償で使える米国の機器に使用料を支払ったという。このことを理由に科学技術情報通信部はKAISTの理事会に申氏の職務停止を要請した。
これについてネイチャーはLBNLが科学技術情報通信部に書簡を送ったことを伝えた。書簡の中でLBNLは「DGISTとの契約は国際共同研究の慣例に従って正当な形で締結され、二重契約はない」「DGISTは機器を運用する費用の13%を支払った。それによってDGISTは50%の使用時間を確保した」などと説明したという。
ネイチャーは「申氏の辞任を巡るドタバタに政治的な背景があると指摘する声が根強い」との見方も示した。ネイチャーは「韓国の科学者たちは今回の問題について『文在寅(ムン・ジェイン)政権が科学研究機関で行っている政治的粛正の一部』とみている」「韓国では政権が変われば研究機関のトップは強制的に辞任させられるのが一般的」などと指摘した。
ネイチャーはさらに「申氏の職務停止要請拒否を求める声明に、この日午前までに810人以上の科学者が署名した」とも伝えた。