2日に東京・両国国技館で行われた相撲の全日本小学生優勝大会で、元大関琴光喜(42)の長男・田宮愛喜君(9)が大器の片りんを見せつけた。144センチ、65キロ。本人によると全国レベルの大会は初めてながら、右四つからの巧みな攻めで鳴らした父とは違い、威力のある突き、押しでライバルを撃破。4年生以下の部で準決勝敗退も3位に入り「悔しさより、うれしい」と笑みを浮かべた。
父は観戦に訪れなかった。励ましの言葉も特になかったそうで「父さんが来るとめっちゃ緊張して吐きそうになるから、来なくて良かった」と愛嬌(あいきょう)たっぷりに言った。
血は争えない。自然と相撲に興味を持ち、4歳になるとまわしを締めた。現在は愛知県稲沢市在住で、父も在籍したことがある愛知県岡崎市の相撲教室に母親の運転で約1時間かけて通う。幼いころの元琴光喜に胸を出し、今も教室で指導する岡崎市相撲連盟理事長の大塚孝雄さん(53)は「うまさは天性のもの。教えたこともすぐにできる」と非凡さを口にする。
1988年の大会で6年生の部を制した父は、その後、全日本選手権2連覇などアマチュアで名をとどろかせ、プロの世界でも看板力士となった。才能豊かな2世に周囲の期待は大きく、夢を聞かれた愛喜君は「父さんより強い力士になって、横綱を目指す」と力強く宣言した。