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【社説】

大雨情報5段階 避難に結び付く工夫も

 「災害情報は多すぎて意味がわからないっ!」。そう感じる人が多いのではないか。来年夏から警戒レベル3が出たら高齢者は避難、とする案が公表された。一歩前進だが、もっと工夫が必要だ。

 西日本豪雨で避難が遅れて犠牲になった人が多かったことから、中央防災会議は作業部会を設置して避難対策を検討した。その報告書案で、大雨防災情報を五段階に区分する案が示された。警戒レベル1から5までを設定する。従来の大雨注意報は2。大雨警報は3で、高齢者ら災害弱者の避難を促す、などとなっている。

 分かりやすく伝えることは賛成だ。本紙も今年九月一日の「防災の日に考える」で「危険度を色や数字で示す」ことを提案した。外国人にも伝わりやすい。

 「避難勧告」と「避難指示」はどちらが緊急度が高いのかは分かりにくい。勧告は、早めの避難を促すもので、指示は命令ではないが、速やかな避難を求めている。だが、勧告の方が重大だと考える人が多いという調査もある。ともにレベル4としたのは残念だ。

 一方、作業部会は豪雨災害をテーマにしたため、大雨や土砂災害に限った案になっている。五段階で示すのは、噴火警戒レベルと同じである。今後、高温情報や豪雪などにも広げるべきである。災害情報の伝達手段としてはテレビやスマホが重要である。色で危険度を表示することも考えたい。

 西日本豪雨の教訓がもう一つある。情報が避難行動に結び付かないことである。避難率は数%といわれる。原因として、これまで大丈夫だったからと考える「正常性バイアス」が指摘されている。

 これまでの防災は、危険性を伝える「脅しの防災」だった。そのため、空振りするとムダと受け取られた。発想を変えて、避難したくなるような仕組みを考えたい。

 良い例が高齢者に多い熱中症対策だ。この夏、涼しい場所を提供する「クールシェア」に全国で約一万三千の公共施設や駅、飲食店などが登録した。割引特典を用意した飲食店もある。

 避難所に行くと、たとえ空振りでも何かがあるという工夫がほしい。自治体では難しいかもしれないが、化粧品会社のスタッフが無料でお化粧をしてくれるとか、飲料会社がコーヒーなどを提供するといったことはどうだろう。企業は社会貢献活動としてPRできる。

 会員制交流サイト(SNS)の「いいね」でも人は動く、という研究者もいる。知恵を絞りたい。

 

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