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12月10日は、公務員の期末勤勉手当が支給されます。期末勤勉手当というのは、期末手当と勤勉手当という二つの手当を合わせた言い方で、民間の賞与、ボーナスに当たります。
同時に、この時期は多くの地方公共団体で12月議会が開かれ、給与改定についての条例改正案が上程されていると思います。
平成30年度の給与改定は、毎月の給料等の0.2%程度の引上げに加え、勤勉手当も0.05月分引き上げられています。もし、条例改正の議決が12月10日までに間に合えば、10日に支給される手当は、引き上げ後の金額でしょうか?
そうはなりません。
期末勤勉手当の基準日
期末手当、勤勉手当は、6月30日と12月10日(その日が土日の場合は直前の金曜日)に支給することが自治体の規則等で定められていますが、それとは別に「基準日」が条例等で定められています。
基準日は、夏分は6月1日、冬分は12月1日です。期末勤勉手当は、この基準日に在職している職員に対して、基準日前6か月間の勤務実績をもとに支給されることになっています。つまり、基準日に支給額が定まります。
期末勤勉手当の支給は、基準日時点の条例の内容に基づいて支給されます。したがって、給与改定後の支給率で支給するには、基準日の12月1日以前に条例改正を済ませる必要があるのです。
不利益遡及の禁止と差額の支給
法令は一般には制定された後の事柄から適用されますが、過去にさかのぼって適用する場合もあります。しかし、対象者に不利益になるような法令は、さかのぼって適用することはできないという大原則(不利益遡及の禁止)があります。逆にいうと、対象者に利益になるような法令(改正)は、さかのぼって適用できるのです。
期末勤勉手当でいえば、減額の改定が行われた場合はさかのぼって返還させることはできませんが、増額の改定はさかのぼって支給することができます。
それで、12月10日に旧条例に基づく額で支払い、条例を改正してその年の4月1日にさかのぼって適用することによる差額を、条例改正後に支給するということになります。
減額改定の場合は臨時議会も
増額改定の場合はさかのぼって差額を支給すればいいわけですが、減額改定ではさかのぼって返還させることはできません。そこで、12月1日の前に議会を開催するなどして条例を改正し、12月10日の支給日には減額後の支給額で支給することが一般的です(議会を開催せずに首長が改正してしまう「専決処分」も不可能ではありませんが、不適当とされています。)。
減額改定は、ここ数年は行われていませんが、リーマンショック後の何年かは減額改定が行われ、多くの自治体では11月に臨時議会を開催したり、12月議会の開会日を11月に前倒ししたりする対応を行っていました。
期末勤勉手当の支給率が減る場合だけでなく、月例給が減額改定され、過去に支給されていた給与が多すぎた場合も、基準日以前に12月の期末勤勉手当から差し引く改正が行われることが一般的です。
給与改定は年度内での官民均衡が原則
差額支給とか臨時議会とか面倒なことをせずに、条例改正をした時点から将来の改定にすればいいのではないかという考えもあろうかと思います。
国の人事院や都道府県の人事委員会が、毎年、民間の給与と公務員の給与を調査し、比較しています。その上で、その年度の年収ベースで均衡させることを前提としているため、このような形になっています。民間給与を一年遅れで追いかけるのではなく、なるべく年度内に一応均衡させるということです。
なにやら景気の先行きに不穏な雰囲気が出始めているようです。来年以降、減額改定で臨時議会だなどということにならなければいいなと切に願っています。
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