(cache)徴用工判決が突きつける「日韓国交正常化の闇」 韓国大法院判決全文の熟読で分かったこと | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

最新記事

歴史問題

徴用工判決が突きつける「日韓国交正常化の闇」 韓国大法院判決全文の熟読で分かったこと

誤解の多い個人の請求権についても判決文は触れている。

自分の財産などを毀損された場合、相手に補償や賠償を求めることができる「請求権」は、そもそも人間の基本的な権利とされており、消滅させることはできないとの見解が多い。もし消滅させたければ、協定にその旨を明確に書く必要があるが、日韓請求権協定には書かれていない。請求権をめぐる問題が「完全に解決」と書かれているだけで、無くなったのか、まだ有効なのかはっきりしない。

この表現に落ち着いた意味を、判決文はこう説明している。「請求権協定締結のための交渉過程で日本は請求権協定に基づいて提供される資金と請求権との間の法律的対価関係を一貫して否定し」てきた。

筆者が補足すれば、請求権に関する協定と言いながら、請求権の対価として無償で3億ドルを出すのではないと日本側は主張していたのだ。この指摘は重要だ。日本側は植民地支配を合法だとしていたので、謝罪や賠償の意味を持つ「請求権」の中身をあいまいにしておきたかったということだ。

3億ドルの無償支援は「独立祝い金」

事実、3億ドルの性格については椎名悦三郎外相は次のように答弁している。

「請求権が経済協力という形に変わったというような考え方を持ち、したがって、 経済協力というのは純然たる経済協力でなくて、 これは賠償の意味を持っておるものだというように解釈する人があるのでありますが、法律上は、何らこの間に関係はございません。あくまで有償・無償5億ドルのこの経済協力は、経済協力でありまして、韓国の経済が繁栄するように、そういう気持ちを持って、また、新しい国の出発を祝うという点において、 この経済協力を認めたのでございます」(第50回国会参議院本会議1965年11月19日)

有名な「独立祝い金」答弁である。

請求権についても1991年8月27日の参院予算委員会で、当時の柳井俊二外務省条約局長が、「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない」と明言している。

ここで、日本政府の外交上の知恵というか、トリックが暴かれている。
請求権協定は結んだが、請求権に応じたのではない。経済支援なのだ。この支援で納得し、提訴など権利を主張しないと約束してくれれば支払う。この条件を、当時韓国側もあうんの呼吸で受け入れた。だから国交正常化が実現したということだ。

MAGAZINE

特集:間違いだらけのAI論

2018-12・18号(12/11発売)

AI信奉者が陥る「ソロー・パラドックスの罠」── 過大評価と盲信で見失う人工知能の未来とチャンス

.

人気ランキング

  • 1

    生きるために自分の足を噛みちぎった犬ルークの強さ

  • 2

    世界最小チワワ、韓国で49回クローンされ、世界で最も複製された犬に

  • 3

    全長7mの巨大ヘビが女性を丸のみ インドネシア、被害続発する事情とは

  • 4

    エイリアンはもう地球に来ているかもしれない──NASA…

  • 5

    フランス人の自信の秘密は「性教育」にあった!? 実…

  • 6

    韓国で隣家のコーギー犬を飼い主に食べさせようとし…

  • 7

    地下5キロメートルで「巨大な生物圏」が発見される

  • 8

    「深圳すごい、日本負けた」の嘘──中国の日本人経営…

  • 9

    日本がタイ版新幹線から手を引き始めた理由

  • 10

    8メートルの巨大ニシキヘビ、漁師を締め上げ インド…

資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
「ニューズウィーク日本版」編集記者を募集
デジタル/プリントメディア広告営業部員を募集
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版

ニューズウィーク日本版特別編集 レゴのすべて

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月