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【一般スポーツ】

35歳ボクシング定年崖っぷち 薬師寺ジム松井、新人王で延長だ

2018年12月14日 紙面から

35歳で全日本新人王を目指す松井敦史

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 35歳のルーキー、いざ大勝負へ-。23日に東京・後楽園ホールで行われるボクシングの全日本新人王決定戦で、薬師寺ジムの松井敦史が、ウエルター級(63.50キロ~66.68キロ)で辻本純兵(24)=帝拳=と対戦する。37歳の“定年”を見据えて、勝たないと出世街道がほぼ途切れる1戦。「気持ちは崖っぷち。ボクシング人生最大の試合と思って、すべてをぶつける」と意気込む。

 引き締まった体から重いパンチをたたき込み、軽快なフットワークで金髪を揺らす。4月にプロデビューした松井は4戦すべてを1回KOで勝ち全日本新人王にリーチをかけた。見た目も戦績もド派手。周囲からは「35歳って本当?」と突っ込まれ続けているという。

 「なかなか疲れが取れなくて…。トレーニングも試合2日前までが普通だけど、自分は4日前で打ち上げ。年齢相応でやらせてもらってます」。苦笑いしながら話す姿は正真正銘、アラフォー手前そのものだ。

 名古屋市内の通販会社で働きながら、26歳の時に経験ゼロでアマチュアボクシングを始めた。2013年は国体出場。達成感を得れば得るほどプロへの憧れが高まった。

スパーリングで攻め込む=名古屋市中区の薬師寺ジムで(いずれも志村拓撮影)

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 昨年1月に門をたたいたのは、地元のヒーロー・薬師寺保栄会長(50)=元WBCバンタム級王者=のジムだった。「名古屋の人間ならあの試合は忘れられない」。1994年12月4日、名古屋で行われた薬師寺VS辰吉丈一郎の同級王座統一戦。テレビ越しに熱狂した少年時代の思い出が一念発起のスタートを後押ししてくれた。

 薬師寺会長にとっても自身の晴れ姿を生で知る松井は応援したくなるような存在。「ここを勝てば、日本タイトルも夢じゃない」とハッパを掛け続ける。

 日本ボクシングコミッションの選手ライセンスは、37歳になると自動的に失効して引退となる。全日本新人王は日本ランキングに入るため、“定年延長”に必要な元王者や世界タイトル戦経験、世界ランキング入りなどの条件に近づく。

 「日本ランカーにならないと、年齢的にも先はない。ボクシング人生最大で、崖っぷちの試合になる」と決戦のゴングを待つ35歳。勝ち続けるしかない。 (志村拓)

 ▼松井敦史(まつい・あつし) 1983(昭和58)年1月25日生まれ、名古屋市東区出身の35歳。小中学校では野球と水泳に打ち込み、春日井シニアでは「5番・ライト」。アマチュアでの戦績は20戦11勝(8KO)9敗。176センチの右ボクサーファイター。

 

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