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(世良)ダネイホンの宣伝放送をやるんや。
(福子)「栄養満点ダネイホン。美味しい美味しいダネイホン」。
(世良)おお。
「萬平印のダネイホン」。
萬平印?(鈴)えっ? 萬平印?
これや!
これは…。(真一)萬平君!?
おお。 社長の立花君にも宣伝に一役買うてもらうで。
(萬平)嫌だ!
(世良)何でや!萬平さん!
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
絶対嫌です!何で。
何でって… そんな 蝶ネクタイして僕が あほみたいじゃないですか。
そんなことあらへん。これ見た人は みんな こう思うで。
「萬平さんいうのは 愛きょうのあるおもろいおっちゃんやなあ。この人が作ったダネイホンなら買うてみまひょか」。
いやいや いやいや…。確かに。
ちょっと 真一さん!そんなに嫌なら私が やってあげてもいいわよ。
宣伝放送を福子が読むなら福子が出ればいいじゃないですか。
私!? 恥ずかしくてそんなことできません!
いや 僕だって恥ずかしいんだよ。
眼鏡かけないで 着物姿なら私がやっても いいんやけど。
社長自らが宣伝するのは印象に残りますよ。そうや。
萬平印のダネイホンなら萬平さんが出るべきです!
ちょっと待って下さいよ。私にやらせて。
これ やったら 社員の士気も上がるど。社長が ここまでやってるんやからいうて。
嫌やったら 私がやりますって。
僕は やるべきやと思う。私も。
私が やりたい。分かったよ。
よっしゃ! それでこそ社長や!
萬平君。頑張って下さい。
な… 何なのよ~!
早速 ダネイホンの広告制作が始まりました。
まずは 福ちゃんのナレーションどりです。
(真一)まさか ここで録音するとはなあ。
(世良)まあ 金は かけられへんからな。
(鈴)そら そうやわね。
「美味しい美味しいダネイホン。栄養満点ダネイホン。萬平印のダネイホン」。
どう?
萬平印は もうちょっと抑えてしゃべった方がいいんじゃないのかな。
それやと意味がないでしょ。
そうか…。用意できました。
お願いします。よっしゃ!
はい!
もう 声が 裏返ってる。
緊張するな 福ちゃん。
いつもどおりでええんや 福ちゃん。
「美味しい美味しいダネイホン」で聞いた人を「ん?」と振り向かせる。
はい。で「栄養満点ダネイホン」で「ほう!」と引き付ける。ほう…。
最後の「萬平印のダネイホン」で「買いたい!」と思わせる。
はい。いつもどおりでええんや。
いつもどおりでそんな難しいことができるか。
福子は素人よ。(世良)いける いける…。
(せきばらい)
あっ あっ あっ あっ。あっ あっ あっ。
宣伝放送だけでいいだろ。看板いらないって。
練習しますかそれとも すぐ本番いきますか。
どんどん緊張してくるんでもう本番で。
分かりました。 では本番。皆さん お静かに。
頑張って 福子!シ~ッ!
あっ シ~ッ。回して。
「美味しい美味しいダネイホン。栄養満点ダネイホン。萬平印のダネイホン」。
はい 結構です。すばらしい! 一発合格や!
すごい!福子に こんな才能があったなんて!
ありがとうございます。
さあ 次は萬平さんの番です。
(世良)お~! 似合うとる 似合うとる。
いや もっと笑って下さい。まだ笑ってませんよ。
すいません。何や。 やる気出さんかいな 立花君。
萬平さん 深呼吸。
はい 吸って~ 吐いて~。
はい 笑う。
もっとや。
僕には無理です。もう やっぱり できませんよ。
(世良)何でや。今からでも 私が代わりましょか。
萬平さんは ダネイホンで世の中の人を幸せにしたいんですよね。
みんなを笑顔にしたいんでしょ。
うん…。
どんな笑顔?
そんな程度ですか。
そう。
も~っと!
「美味しい美味しいダネイホン。栄養満点ダネイホン。萬平印のダネイホン」。
はいっ!
(森本)何じゃ こりゃ。
(赤津)「萬平印のダネイホン」。
(岡)社長が ここまでやってくれたんやからな。
わしらも頑張らな あかんぞ。
(峰岸)ほんまや。そら そうやわ。
頑張ろう。
それではたちばな栄養食品販売会社社員一同東京に出発いたします。
みんな 頑張ってくれ。(一同)はい。
体には気を付けてね。
ちゃんと ごはん食べるのよ。
(一同)はい。
(タカ)神部さん…。(神部)タカちゃん…。
万歳!
(一同)万歳! 万歳!
ありがとう!
(一同)万歳! 万歳! 万歳! 万歳!万歳! 万歳! 万歳! 万歳!
気を付けろよ。(一同)万歳! 万歳!
東京に着いた真一さんたちはすぐに仕事に取りかかりました。
せ~の…。こっちや こっちや。
品川区 目黒区 世田谷区には10枚ずつ。(小松原)はい。
(堺)荒川区と葛飾区には8枚や。(増田)8枚。
とにかく頼み込んで できるだけ目立つとこに取り付けるんやぞ。
はい!(堀)分かりました。(倉永)やったるで~!
ほな 頑張るで!よ~し!
ここやったら目立つな。
「萬平印のダネイホン」?
大阪では 誰でも知ってる栄養食品です。
あっ これ うちの社長。
(スピーカー)「美味しい美味しいダネイホン」。おっ。
これです!これ… これが これです これ。
(スピーカー)「萬平印のダネイホン」。
(神部)「私は心配です。東京には きれいな女の人が大勢いるんでしょ。神部さんが その人を好きになってしまうんやないかって」。
そんなことあるわけないよ タカちゃん。
(ため息)
(忠彦)タカ。
宿題は やったんか。もう終わりました。
そうか。勉強は しっかりやらないと駄目やぞ。
これからの世の中女にも高等教育は必要や。
はい。
大学に行け。はっ?
お前の成績やったら大阪帝大かて入れる。
お父さん?大学で4年間 しっかり勉強して…。
私を卒業させたくないんですか?学問のある おなごに…。
神部さんと結婚させたくないの!?
ひどい!
(ため息)
切手も貼った。
(美代子)ごめんなさい。あ… どうぞ どうぞ。
ありがとうございます。
よし。
売れた!?
ああ。 今日 ダネイホンの試食販売をしたんや。
(増田)栄養満点のダネイホンです。(小松原)是非 ご試食下さ~い。
栄養満点のダネイホンです。是非 ご試食下さい。
どうぞ 食べてみて下さい。ダネイホンっていうんですか。
そうなんです。このダネイホンという名前はドイツ語の栄養という言葉から取ったんです。
へえ~ おしゃれね。これで いくらなんだ。
(堺)60円です。1つ もらおう。
(堺)ありがとうございます!
あっ え~と 120円頂きます。ありがとうございます。
ああ どうぞ こちらで こちらで。どうぞ どうぞ。
よ~し もう一箱開けるぞ。
あっという間に 10ケースが売り切れたよ。
え~! すごい!
すごい すごい すごいわ 真一さん!
もう一つ ええ報告があるんや。
ふだんから あれとおんなじ格好にしたらええのに 社長。
あれは似合てますよ。 なあ?ほんまや ほんまや。
蝶ネクタイ やって下さいね。(野村)ええやないですか。
冗談は やめてくれ。(佐久間)めちゃめちゃ似合うてます。
みんな!ダネイホンの試食販売が大好評ですぐに10ケースが売れたそうです。
(一同)おお~!本当か。
いい知らせは まだありますよ。
白松屋さんがダネイホンを扱ってくれるそうです。
白松屋が。(長久保)東京のデパートや。
老舗の でっかいデパートじゃろ。そうよ。
これは 大変なことよ!
(一同)おお~!
白松屋さんが扱ってくれたら すぐにダネイホンは日本中に知れ渡るって真一さんが言うてました。うん… でも デパートだと格式が高いと思う人もいるだろう。
ダネイホンは 町の総菜屋でも米屋でも買えるようにしなきゃ。
栄養失調で つらい思いをしてる人みんなに届けたい。
そうだ。分かりました。 真一さんに伝えます。
あ~ 萬平さんの夢がかなってきましたね。
世の中の役に立つ仕事がしたいっていう夢が。
僕の夢じゃない。
えっ?
僕と福子の夢だ。
はい。
♪~
よし どんどん作るぞ。(一同)はい!
手 動かせ。(笑い声)
私も手伝う。ああ。
ほな こっちお願いします。よし。


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