浅井初の競輪王 小倉競輪祭

競輪祭を制した浅井康太(中央)左は2着の脇本雄太、右は3着の清水裕友
競輪祭を制した浅井康太(中央)左は2着の脇本雄太、右は3着の清水裕友
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 G1史上初のナイター開催だった、小倉競輪の「第60回競輪祭」(優勝賞金3390万円)は6日目最終日の25日、最終12Rで決勝戦を争い、浅井康太(34)=三重=が、G1 3連続Vを狙った脇本雄太をゴール寸前でかわして1着。3度目のG1制覇で初の競輪王に輝いた。脇本が2着。清水裕友が3着に入り、12月30日に静岡で初開催のグランプリ(GP)の出場権を手にした。今回の競輪祭は20年ぶりに6日間開催に戻り、前半3日間はガールズGPトライアルとの共催という新たな試みで、6日間の売上額は106億円余りと目標額(100億円)を上回る盛況だった。次の61回大会(2019年11月19~24日)も再びナイターで実施の意向。

■ヒーロー

 浅井はGPユニホームよりも誇らしげに、競輪王ジャージーを身にまとって胸を張った。2011年の岐阜オールスター以来となる三つめのG1を手にした。

 「G1の取り方を忘れていた。ずっと取れなかったので、かなりうれしい」。7年間の空白の間にGPを2度制したが、G1で勝てなかった。「ゴールまで抜いたかどうか分からなかったが、お客様の声とVTRで分かった」。競輪誕生70周年。発祥の地、小倉で声援を送ってくれたファンに、ガッツポーズで喜びを表現した。

 「作戦では突っ張り先行はなかったが、脇本くんが前を取った時点であるかもしれないと思った」。その勘通り、赤板で抑えにきた太田に抵抗。約2周の先行になり、後位にもチャンスが生まれた。だが、脇本の後位は柴崎で、浅井は3番手。さらにBSで平原の4番手捲りが飛んできた。「いいスピードだった。3角では、やばいと思った」。その平原を柴崎がブロック。「自分はしっかり判断できた」と、4角で内に進路を取り、逃げ切りを図る脇本を差し切った。

 34歳になったが、成長を続けている。昨年の優勝はGPだけだったが、今年はG3を3度制した。「6日間で5走。体力が必要だったが、普段のトレーニングの量が増えている。その成果が出た」。最も過酷なG1シリーズを戦い抜き、さらに自信が深まった。

 もちろん視線は1カ月後の静岡。「競輪にしっかり向き合って、GP連覇を狙いたい」。GPユニホームを、まだまだ脱ぐつもりはない。 (野口)

=2018/11/26付 西日本スポーツ=