浅井康太(34=三重)が逃げる脇本雄太の3番手から最終3角でインを強襲。11年9月のオールスター以来、通算3回目のG1制覇を果たした。2着は脇本が逃げ粘り、3着に外を伸びた清水裕友が入った。この結果、静岡KEIRINグランプリ2018のメンバーが確定し、清水が最後に権利をつかみ取った。なおGP出走の9選手が次期S級S班となる。

浅井康太が執念でつかんだG1だった。脇本雄太が2周前から突っ張り先行。その番手を弟弟子の柴崎淳に回し一緒にGP出場を夢見て迎えた最終3角過ぎ。平原康多を張り、柴崎が力尽きたとみると、迷うことなく最内をすり抜けていった。逃げる脇本を射程圏内におさめ、ゴール寸前で差し切った。

「ハンドルを3回くらい投げた感じですね」。一瞬の出来事も、浅井にとっては長く感じていた。15年、そして昨年とGPを2度制した若き王者。だが、G1勝利となると11年9月オールスター以来、7年もの年月を要した。「久しぶりすぎてG1を取る感覚を忘れてました」。仲間に胴上げされ、3度宙を舞った男は、長く険しい道のりと久々の勝利の味をかみしめた。

「しっかり外じゃなく内と判断できたし、準決で(感触が)悪かった分、セッティングとかもいじって、(勝った)ダイヤモンドレースくらいの状態に戻せた」と胸を張る。7年で培った判断力と修正力、そして最後は経験が、久々のG1タイトルをたぐり寄せた。柴崎が「経験不足」と肩を落としたのとは対照的だ。

ファンには「まだまだ未熟な僕ですが、競輪界を引っ張りたいと思います」と宣言した。レースの合間には「売り上げ、いいみたいですね。目標行きそうですか?」と記者に逆取材も。初の6日制ナイターG1開催の成功、そしてなにより競輪界を盛り上げることもGP覇者の使命、という自覚がある。

静岡GPで連覇に挑む。「あとは年末に向けて脇本君を抜く、もしくはまくる脚力をつけないと」。最強脇本の前にGP覇者が敢然と立ちはだかる。【山本幸史】

◆浅井康太(あさい・こうた)1984年(昭59)6月22日、三重県四日市市生まれ。朝明高卒。競輪学校90期生で在校成績は10位。05年7月松阪でデビュー(267)。11年7月弥彦寛仁親王牌でG1初制覇、同年9月に岐阜オールスターV。15、17年KEIRINグランプリ制覇。通算1054戦347勝。通算獲得賞金は10億8138万4333円。179センチ、75キロ。血液型O。