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転生したらスライムだった件 作者:伏瀬

魔都開国編

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101話 順調な計画

 ヴェルドラの住まう最下層に行き、内装を整えた。

 俺の胃袋から家財道具一式を出し、ブロックで区切られた部屋の中へと設置する。

 雰囲気重視なので、表に出す訳にはいかないのだ。

 ヴェルドラが気に入っているものを複製し、用意してやった。

 そして、部屋の飾り付けを終わらせてから、100階層目の中央にて妖気解放を行って貰う。


 ヴェルドラは慎重に妖気を放出し、爆発する事なく妖気を解き放つ事が出来た。

 この部屋の内壁は、鉱石製であった。

 どうせ、大量の魔素を浴びて直ぐにでも魔鋼に変質するだろうし、鉱山から採掘され届けられた鉱石を組み込んだだけの土壁で覆っているのだ。

 経費削減も兼ねている。

 ちなみに、この迷宮、一層目の広さは250m四方の正方形である。

 東京ドームに匹敵するほどの広さを持つのだが、階を降りる毎に狭くなって行く。

 妖気をより拡散しやすくする仕組みになっているのだ。

 ヴェルドラの部屋は、100m四方の正方形。

 結構広いのだが、ヴェルドラが本来のサイズになったら狭く感じる。

 不都合があるようなら拡張する事にして、様子を伺った。

 ちなみに、地下迷宮ダンジョンはラミリスの支配下にあるので、結構自由自在にカスタマイズが可能なのだ。

 妖気は予定どおり、各階層へと昇っていく。

 現在、壁による区画を行っていないので、妨げるものなく空間を満たしていった。成功である。

 後は、魔物の発生を待つばかり。


 ヴェルドラが人間形態に戻ったのを確認し、次の段階に移る。

 まずは罠の確認である。


 ・毒矢・・・どこからともなく飛来する毒の塗られた矢。

 ・毒沼・・・見るからに毒々しい、沼。嵌ると毒ダメージと状態異常を受ける。

 ・回転床・・・方向感覚を狂わせる。マッピングの重要さを実感しよう!

 ・移動床・・・勝手に走り出す床。かなり怖い。

 ・切断糸・・・気づかずに通り抜けると、首が落ちる。移動床とセットだと凶悪。

 ・落とし穴・・・落下ダメージよりも、落ちた先に何があるかの方が怖い。

 ・擬似宝箱ミミック・・・やった、宝箱だ? 残念、俺だよ!

 ・爆発宝箱・・・やった、宝箱だ! 爆死。

 ・魔物部屋・・・こんにちわ! ようやくエサにありつけます。

 ・密封部屋・・・中で火を燃やすと……

 ・暗闇階層・・・松明持ってくるのは常識だよね。持ってないなら高額で売ってもいいよ?

 ・低天井階層・・・四つん這いで魔物には会いたくないな〜

 ・地形効果層・・・なんじゃここは! なんで迷宮に火山が!


 思いつくままに罠を列挙した。

 ほぼ全て可能との事。

 ただし、地形効果層は設置は厳しいとの事。そりゃ、火山は無理だわな。

 イメージとしては、炎熱層や氷結層、風雪層といった階層全てが自然災害の罠となるようなものだったのだが……


「むり、ムリムリ。だって、そんなエネルギー維持出来ないよ!」


 と、流石に無理だった。

 確かに、無茶を言い過ぎだろう。

 俺がその案を諦めかけた時、


「どこかに棲息している、火竜ファイアドラゴンや、氷竜アイスドラゴン捕獲テイムして連れて来るか?」


 聞きなれた、だが、居るハズの無い人物の声が聞こえた。

 振り向くと、銀髪のツインテールが見えた。


「え……? 何で此処に居るの? ミリム……」


 地下100階。

 つまり、出来立ての地下迷宮ダンジョン最下層に、その美しい魔王少女はニンマリと笑みを浮かべて存在した。


「フフン。何やら面白そうな事をしておるような気がしてな。ワタシを除け者にするとは、いい度胸だな」


 と、無い胸を逸らしてふんぞり返っている。

 相変わらず、黒一色の服装だが、その両手には似合わぬドラゴンナックルが鈍い光を放っていた。

 しかし、流石だ。こういう悪巧みには鼻が利くのだろう。

 まさしく、ミリムに隠し事は出来ないようだ。

 そもそもミリムに理屈は通じない。

 ここに現れたからといって、そこまで驚く事でもない。

 ミリムとヴェルドラはお互いに睨み合っていたが、すんなりと握手し仲良くなった。

 この二人が喧嘩になったら大事である。

 仲良くなってくれて一安心だ。


「いや、スマンな。除け者にしたつもりは無いよ。出来たら招待するつもりだったし」

「そうなのか? だが、こういうのは計画から参加する方が面白そうだ」

「うん、まあそうかも。ところで、お前の国は大丈夫なの?」


 コイツも魔王。

 しかも、フレイとカリオンという二人の元魔王の領土も併呑し、規模がかなり大きくなっている筈。

 俺のように遊び歩いていてもいいのだろうか? (え、俺? 俺はいいんだよ。皆優秀だから、俺は邪魔しない方が良いのだ)

 俺が聞くと、ついっと視線を逸らし、


「まあ、な。ほら、ワタシは優秀だから……

 決して、勉強が嫌で逃げて来たわけではないのだ!」


 なるほど。

 国家状況をフレイあたりが調べて纏めたものを、ミリムに渡して教えていたのだろう。

 それが嫌になって逃げ出して来た、というのが真相の様だ。


「嫌だ! ワタシも断固参加するぞ!」


 俺が何かを言うより早く、断りを入れて来た。

 流石だ。勘が鋭いのは相変わらずである。

 まあいいや。どうせ怒られるのは俺じゃない。

 そんな事よりも、だ。


「よし、怒られるのはお前だから、その話は置いといて。

 今、言った内容、竜を捕獲して連れてくる、だっけ?出来るの?」

「う……。やはり、怒られるのか? いや、しかし……。

 仕方あるまい。冒険するには、危険がつきものと言うしな。

 竜を捕獲するのは可能だぞ。何なら、捕獲してこようか?」

「お、頼めるか? それなら、どんな種類がいてるの?」


 怒られる事を恐れつつ、宿題をサボって遊ぶ子供のようになっているミリム。

 まあ、仕方ないだろう。彼女の選んだ道だ。

 悩んだのは一瞬で、あっさり気持ちを切り替えて竜について教えてくれるミリム。

 ヴェルドラは竜には興味無いようだ。

 ラミリスは、「アンタ、何しに来たのよさ!」とミリムに食って掛かり、ムンズと掴まれてしまっている。

 ミリムの説明によると、ドラゴンは4種類。

 火竜ファイアドラゴン氷竜アイスドラゴン風竜ウインドドラゴン地竜アースドラゴンである。

 更に変異種や特別進化個体もいるようだが、種族としてはその4種類。

 竜王ドラゴンロードは流石に捕獲テイム出来ないけれど、王で無ければ成体でも捕獲可能だと請け負ってくれた。

 これで、地形効果に匹敵する能力による影響を及ぼす事が出来そうだ。

 下層階に竜を配置する事にしよう。

 俺は強さについては深く考えていなかったけど、実際、竜一匹でAランクである。

 聖騎士の6人PTで、ようやく一体を倒せるかどうかというレベル。

 それが、属性持ちの竜ならば、難易度が高くなるなど知るよしもない。気にせず配置場所を決めた。

 強さの順は、火>氷>風>地 という感じ。

 あくまでも、若い竜であり、老竜ならば順位は変動する。というか、能力を使いこなす竜が勝つ。

 力任せに闘うならば、この順位という事だった。

 なので、

 99階を炎獄階。高熱の炎に包まれた、最後の関門。耐熱装備必須。この先に待つ者は!?

 98階を氷獄階。止まったら、死ぬ。耐寒装備で耐えられるのか?

 97階を天雷階。天空より降り注ぐ雷の脅威。突破出来るかは、君の運にかかっている!

 96階を地滅階。この階まで到達した者を嘲笑う、凶悪な地震。竜の怒りを知れ!

 超高難易度の地形効果階層と設定した。

 竜もヴェルドラの放つ魔素をエサと出来るので、問題なく生活出来るだろう。

 この階は、弄らなくてもいい。ミリムが捕獲してきた竜に巣作りさせるだけでいいだろう。

 後は、10の倍数階は安全地帯に設定する。

 まあ、階段の先にボス部屋があるので、そこを突破出来たら、だけど。

 獲得した、"魔晶石"やドロップ品や装備品などを預かったり、割高で回復薬等を売りつけたり。

 めし処を用意してもいいだろうけど、一回外に出て休憩する方が多いだろうか?

 まあ、それは状況次第である。

 最初の階はお試し程度の難易度。初心者でも安全にしておこう。

 迷路区画も道幅を広く、そんなに迷わずに進めるようにしておく。

 とはいえ、250m四方だと、かなり広い。散々歩かされて収穫無しになりがちな階層である。

 2Fからは甘さは無い。

 各種罠の出番であった。

 まあ甘く無いとは言っても、10Fまでは凶悪な罠は設置せず、気軽に進めるようにしておく。

 あまり難易度が高すぎると、リピーターがやって来なくなる。それは問題外だった。

 そんな感じで、4名に増えた俺達は、ああでもないこうでもないと相談しながら、各階層を設定していった。

 そして、3日程経って、区画整理も粗方終了したのである。

 俺達はいい笑顔で頷きあい、やり遂げた者の達成感を噛み締めつつ、迷宮を後にしたのだった。


 ※ちなみに、次に来た時には、魔物で溢れかえっていたのは言うまでもない。




 ミリムは竜を捕獲テイムしに旅立った。

 魔物ならば滅ぼしたらそれっきりでもいいだろうが、竜はそうもいかない。

 捕獲して来た竜はラミリスの配下に加えられる事になる。

 驚くべき事に、『迷宮創造』により創り出された迷宮内部において、ラミリスの配下は不滅になるのだ。

 ラミリス自身は殺されれば消滅してしまうのだが、配下は記録地点から復活可能なのである。

 配下とは、契を結んだ者や認められた者に限るのだけど、凶悪な能力であるのは間違いない。

 ベレッタを欲しがった最大の理由がこれである。

 ラミリス自身は大した事が無くても、迷宮内においてラミリスの軍勢は無敵なのだ。

 配下が居ないラミリスには、全く意味の無い無敵能力だったのだ。

 そのベレッタは、文句も言わずに俺達にお茶を出したり小間使に使われたりと、忙しく働いていたけれど。

 本当に、ベレッタが望むならば、ラミリスに仕えるのもいいかも知れない。


「でも、これでようやくアタシにも本当の配下が……!」


 感無量という様子のラミリス。

 よっぽど一人で寂しかったのだろう。なので俺はベレッタに目をやり、


「おい、ベレッタ。お前、ラミリスの本当のしもべになるか?」


 と、問いかけた。

 前から考えてはいたのだ。ベレッタが望むなら、鞍替えさせようと。

 嫌がるようならば俺の元に戻し、ラミリスに新たな配下を用意してやろうと考えていた。

 ベレッタは、


「宜しいのでしょうか? ならば、ラミリス様のしもべとなり、忠誠を誓いたいと存じます」


 躊躇う事なく、そう言った。

 良かったな、ラミリス。お前、案外慕われてたようだぞ。

 俺は頷いて、


「いいだろう。では、ベレッタ。今後は、ラミリスに仕えるがいい!」


 そう宣言し、主人鍵マスターロックを解除し、マスターをラミリスへと委譲した。

 え、え? と状況について来れないラミリスを放置し、


「はは! 今まで、有難う御座いました。この世に誕生させて頂いた恩はわすれません」

「おう。俺の事はいい。今後はお前がしっかりと、ラミリスを守ってやってくれ」

「はは! この命に代えましても、必ず!」


 信じよう。ベレッタなら安心出来る。 

 滞りなく委譲は完了した。俺は今後、副主人サブマスターの権限を有するのみ。

 ラミリスに何か無い限り、ベレッタへの命令はラミリスが行う事になる。

 ようやく状況を飲み込めたラミリスが大喜びではしゃぎ始めた。

 余程嬉しかったのだろう。はしゃぎすぎである。

 だが、これで良かったのだ。

 迷宮内に解き放つ竜を支配するのに、ラミリスだけでは不便な場面も出るだろう。

 そういう時も、ベレッタがいれば問題ない。

 今まで仕えていたのだ、第一の従者の地位は譲れないだろう。

 俺とヴェルドラは、はしゃぐラミリスをうんざりしつつも微笑ましく眺めたのだった。

 正式な主従関係が成立した事により、ベレッタはこの迷宮内において不滅になった。

 事前に設定しておいた復活地点からしか蘇生出来ないという縛りはあるが、何度でも制限なく蘇生可能になったのだ。

 軍勢が揃って防衛として考えるならば、ラミリスの能力は恐ろしい。

 使用者がラミリスだったからこそ、今まで埋もれていただけの話である。

 まあ、敢えて教えてやる気は無いけれど、使いようでは大勢力を持つ事も可能だろう。

 現状でも、ベレッタが何度も復活するというだけで脅威だし。

 これに、ミリムの捕獲する竜が数匹。

 そのうち、ちびっ子とか馬鹿に出来ない勢力になりうる可能性もある。

 だがまあ、所詮ラミリス。大丈夫、問題無いだろう。

 愛すべきこの妖精は、寂しがりなだけのちびっ子なのだから。




 復活の腕輪という蘇生アイテムも、一応の仮認識によりラミリスに蘇生を許されるという事。

 故に、迷宮外では意味が無い。

 この事は、徹底して説明しないと、勘違いする者も出てきそうである。

 そうして、細々とした事を確かめながら、着々と迷宮は形を整えていったのだった。


「この密閉部屋って何なのよ? こんなのが、罠になるの?」


 その質問に、


「空気の無い部屋にいきなり入ると、呼吸困難で倒れるよ。最悪、即死。

 部屋の前では、慎重になる。これ、鉄則だな。

 部屋内の毒を調べ、空気濃度を測定。これが出来ないと、どうせ深くは潜れないよ。

 最悪、風系魔法で換気くらいしないと駄目だろうな」


 と、返答してやったが、理解出来なかったようだ。


「まあ、凶悪な罠だってのは判ったわ。

 アンタ……前から思ってたけど、恐ろしいヤツよね。

 でも、頼もしいわ。こんな罠、アタシじゃ思いつかなかった……」


 数々のセットしてある罠を眺めながら、ラミリスが感嘆しつつ言った。

 素直な感想なのだろう。まあ、元の世界のゲーム好きな住人なら、慣れ親しんだ罠なんだろうけど。

 リアルで攻略するとなると、話は別だろう。

 俺達のように、毒が効かず呼吸の必要の無い者など、ほとんど居ないだろうしね。

 我ながら凶悪な迷宮になりそうだ、と思ったのだった。


 出来上がった迷宮は、凶悪の一言では済まなかった。

(そりゃ、それだけ悪辣な罠に魔物の配置を加えたら、凶悪になって当然でしょう)

 そんな声が聞こえたような気がするが、当然、気のせいである。

 だが、その事を実感するのは、まだ少し先の話なのだ。




 ある程度の迷宮設置に目処がついた所で、俺は町へと戻った。

 後は、ヴェルドラとラミリスが楽しそうにやってくれるだろう。

 俺が罠をセットする様子を興味深そうに見ていたのだ。

 何度かやりたそうにしていたのだが、許可しなかった。10階層までは冗談のような罠は不味い。

 早々に心を挫いたら客(冒険者だな)が来なくなってしまう。

 そこを言い含めて、攻略可能なレベルに設定する事を条件に、二人にワンフロアづつ任せてある。

 とんでもない出鱈目な階層になっているかも知れないが、95階層と94階層なので問題ない。

 91階層から93階層は空けてある。ミリムもやりたがるだろうし。後で設定すればいい。

 という事で、後を二人に任せた。楽しそうで何よりだった。




 俺が町に戻ると、ミョルマイルがやって来ていた。

 大急ぎで準備を整えてやって来たのだろう。思っていたよりも早い到着である。

 事前に用意していた邸宅をミョルマイルに提供し、リグルドが応対してくれていた。

 俺はミョルマイルに感謝の言葉を述べて、さっそく打ち合わせに入る。

 闘技場の建設予定地や、その近辺に宿場町を用意する事を説明する。

 そして、出来立ての地下迷宮ダンジョンにて冒険者を呼び寄せるという計画を語って聞かせた。

 リグルドとミョルマイルはその話に驚き、食い入るように話に夢中になる。

 リグルドは、今後の流入してくるだろう人々の対応について。

 ミョルマイルは、企画立案される武闘会や地下迷宮ダンジョン開設について。

 それぞれ思いを馳せて、何が必要で何を用意しないといけないのか検討を開始した。

 そして、それぞれの仲間達と打ち合わせを開始する。

 俺はリグルドに、ミョルマイルの正式な役職を商業部門担当とする事を伝えた。

 更に広報担当部門も兼任して貰う事を伝える。

 リグルドも頷き、対応可能な人員や、担当する部門に従事する者達への伝達を請け負ってくれた。

 こうして準備は着々と進んで行く。

 ミョルマイルはあっさりと魔物の国テンペストの住人に受け入れられた。

 俺が紹介し、お互いに自己紹介しただけで。

 驚く程のスムーズさである。

 だが、その後のミョルマイルの働きぶりをみれば、どの道文句は出なかっただろう。

 ミョルマイルは、あっという間に自分に与えられた部下の掌握をして見せた。

 そして、自分に付いて来た者達も交えてそれぞれに担当を決めていく。

 あっという間に組織が出来上がる様を見るのは、爽快な気分にさせられた。

 二つの部門を掛け持ちだというのに、活き活きとしているミョルマイル。

 招待する国々に、それぞれの重要人物。

 俺が招待した知り合い以外にも、ミョルマイルの伝で招待状を送って行く。

 有力な貴族や、それぞれの町の豪商に。

 凄まじく手馴れた感じで仕事は捗っていた。

 もう一方のイベントにしても、価格設定を決め、ルールを作成し。

 企画運営も初めてとは思えぬ程の勢いで進められている。

 俺の人選に間違いは無かったようだ。

 今回の俺の思いつきの中で、もっとも正解だったのが、ミョルマイルの採用だろう。

 彼の力が無ければ、この計画は失敗していた可能性が高い。

 俺達だけでは、ここまでの手際で物事を進める事は出来なかった。

 良い巡りあわせに出会えて、幸運だったのだ。

 ミョルマイルにしても、この町の食事、環境、居心地の良さに魅せられたようだ。


 ありえん……これは、ありえませんぞ! 王都よりも進んだ快適さですぞ!


 と、口癖になっている程だ。

 気に入ってくれたようで良かった。

 だが、ミョルマイルの反応こそが、俺達の計画の成功を約束してくれているようなものである。

 ミョルマイルがその事を一番理解しているのだろう。


「リムル様、この度の計画、失敗するはずが御座いません。

 ここまで出来上がった器だったならば、誰でも成功に導けましょう!」


 興奮してそう言って来た程である。

 誰でもは言い過ぎだが、そう言われると嬉しいものだ。


 そして準備は進み、町にチラホラと見慣れぬ者達がやってき始める。

 嘗て無く、熱い季節。

 その季節が間もなくやって来る!

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