10日、共同通信は速報として「携帯電話大手3社が通信設備から中国大手のファーウェイ(HUAWEI)とZTEの製品を事実上、除外する方針を固めた」と伝えました。3社はこの報道に対し、「決まった事実はない」と否定しています。
先日来、米中間の"貿易戦争"が過熱しており、今回の報道もその影響を示唆するものとみられます。11月には米国が同盟国に対し、「ファーウェイ製通信機器の使用中止」を要請するといった報道がありました。また、12月頭には、ファーウェイ創業者の娘で同社の最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕されたと報じられています。
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共同通信の報道に対するキャリア3社の反応は以下の通りです。
NTTドコモは「現時点で決まっているものはない」とコメント。同社によると、基地局やネットワーク設備において、HUAWEやZTEの設備は利用していないとのことです。
auブランドを展開するKDDIも「このような決まった事実はありません」と回答しています。KDDIでは主要な通信設備に中国ベンダーの機器は採用していないものの、周辺設備の一部にファーウェイ製の機器を採用しています。
また、次世代のモバイル通信「5G」での採用については、「5Gの通信機器としてHUAWEIを採用するかしないかは未定です」とコメントしています。
SoftBankとY!mobileの両ブランドを擁するソフトバンクは、「決まった事実はごさいません」とコメント。ソフトバンクでは通信設備にHUAWEIやZTEの機器を採用していますが、同社は「(エリクソンなどの)欧州ベンダーと比べるとボリューム(採用率)として少ない」としています。
さらに、ソフトバンクは「当社は日本政府の方針を注視しており、政府の方針に準拠する方向で、議論をしていきます」と表明しました。
政府調達の機器にはセキュリティを考慮
また政府は10日、「サイバーセキュリティ対策推進会議(第16回会合)」を開催。政府が調達するIT機器の一部について、調達方針を策定しました。2019年4月1日以降、政府調達のIT機器では、国防やプライバシー保護などの観点から重要な機器については、政府のセキュリティ担当部門の助言を受けた上で調達することとされました。NHKは、この決定について「HUAWEIやZTEは、事実上、排除されることになるだろう」という政府関係者の話を伝えています。
ただし、政府が決定したのは「政府調達」の機器についての調達方針。民間企業であるキャリア3社の通信機器を対象としたものではありません。