ASEANの首脳たちを笑顔で出迎えたモディ首相。
インド モディ首相
「インドにおいて、戦略的パートナーシップの重要性が増しています。」
首脳会議では、インド洋から太平洋にかけての海上の安全保障や経済関係の強化について議論を交わしているとみられます。
首脳会議に先立ち、ASEAN各国の投資家やビジネスマンらを招いて交流を図りました。
インド シン外交担当相
「インドとASEAN諸国は、陸上・空路・航路など各分野での物理的なつながりを強化し、その関係を着実に発展させます。」
物流から観光に至るまで、経済的な連携を強めるねらいです。
ミャンマーのビジネスマン
「インドの経済成長は著しいので、ぜひその恩恵を受けたいです。」
インドのビジネスマン
「インドにはとても魅力的な構想があるので、近隣諸国との貿易緩和を進めるべきです。」
リポート:太勇次郎支局長(ニューデリー支局)
一方、インドは軍事面で中国への警戒を強めています。
「一帯一路」の要衝、隣国・スリランカのコロンボです。
中国企業が日本円で1,600億円を投資し、巨大な港湾都市の建設を進めています。
港では数年前から、中国の潜水艦が目撃されるようになりました。
中国は、スリランカやパキスタンに巨額の経済支援をする一方、潜水艦を相次いで寄港させています。
インド政府は、中国が港の軍事利用を既成事実化しようとしているとみています。
こうした動きに対して、インド軍は不信感をあらわにしています。
中国とどう向き合うのか。
先月(12月)開かれたフォーラムには、軍の幹部や外交官など100人余りが参加し、議論しました。
インド海軍 ライ准将
「中国は海賊対策を口実にインド洋に来たが、目的は潜水艦の配備なのか、海賊対策なのか。
通常はどの国も海賊対策には潜水艦ではなく船を使う。
中国は南シナ海と同じような戦略をインド洋で展開する可能性がある。」
インド政府の諮問委員会に参加する専門家は、中国は世界を主導する立場を目指していて、インド洋での動きはその一環だと分析しています。
インド政府諮問委員 チョプラ氏
「地球上の70%は海だ、世界を制するには海軍が必要だ。
もし強大な力が欲しければ、海洋における存在感が重要だ。
中国が短期間で海軍を作り上げたことは、誰も否定のしようがない。」
これに対してモディ首相は、海軍力を大幅に強化する方針です。
先月にはモディ首相も立ち会って、国内で初めて建造された潜水艦がお披露目されました。
インド モディ首相
「インドに対する圧力が、以前とは変わってきている。
その変化に対応する防衛力を最大限に準備していく。」
潜水艦の最大の任務は、中国の艦船に対する警戒の強化です。
さらにインド政府は、内陸の山岳地帯でも中国軍の動きを警戒しています。
去年6月、中国とブータンの係争地で中国が道路建設を進め、インド軍は隣接するシッキム州に部隊を展開。
中国とインドの両軍は2か月にわたってにらみ合いました。
国境地帯をどうやって守るのか。
インドの軍需産業は、山岳での戦闘を想定した武器や装備品の開発を急いでいます。
インド軍 ラワト参謀長
「中国からの脅威に対応しなければならない。
これまでは西(パキスタン)を警戒していたが、北(中国)の国境にシフトする時がきた。
準備を急がなければならない。」
安全保障を担当した元首相顧問は、中国への警戒を怠ってはならないとしています。
メノン前国家安全保障顧問
「中国は通常の国の概念に当てはまらない。
今後の政策を、過去の政策からは予測できない。」