日本ボクシングコミッション(JBC)は10日、世界戦でのドーピング違反でプロボクサーライセンスの1年間停止処分を受けていた尾川堅一(30)=帝拳=の停止期間が終了したと発表した。試合を含むすべての選手活動が可能となった尾川は「本当につらかったです。心が折れそうになった時が何度もあった。でも、自分の不注意で起きてしまったこと。支えてくれた周りの人への感謝や恩返しのためにも、絶対にまた世界を取りたい」と、所属ジムで取材に応じ涙を拭きながら前を向いた。
尾川は昨年12月9日に米ネバダ州ラスベガスで行われたIBFスーパーフェザー級王座決定戦で勝ち、新王者となった後に試合前のサンプルから禁止薬物テストステロンの陽性反応を示したとされた。尾川陣営は一貫して意図的な摂取を否定したが、試合は無効試合となってタイトル獲得は取り消された。ネバダ州は半年間の資格停止としたが、世界戦での日本選手のドーピング違反は初めてということを重視したJBCは1年間の資格停止処分を科した。再起戦は年明け以降になる見込みだ。 (藤本敏和)