だって!ちう様だから!
そんな軽い気持ちで書いた。反省は1ミリくらいしてる。
予想のつかない事象発生
3月。早咲きの桜が満開となった、陽気な春のある日。
麻帆良学園女子中等部の3年A組に所属する長谷川千雨は桜の木を下から眺めていた。
昨日の卒業式で無事に中等部を卒業し、来月から高校生となる。そんな長くも短い春休み。
高校でのクラスは異なるだろうが、エスカレーター式の学校だから全員同じ高校―――いや、エヴァンジェリンはまた中学生を繰り返すだろうから全員ではない。
全員がたとえ今と同じではなくても、この一年間で紡いできた絆は変わらない。
そんな春の昼下がり。
いつもの面子と言えばいいのか、白き翼の面々に誘われて珍しく自ら参加した花見に千雨はいた。
参加すると告げた際に微笑ましいものを見るような目をしていた茶々丸のゼンマイを巻いた。このような麗らかな陽気に誘われれば参加するのは普通だろう。
普段から人と距離を置く千雨なら参加したがらないのを強制参加させるのが茶々丸の役割でもあった。しかし、それもネギの計画実行のための秘書業務で忙しく、近頃はしていなかった。
そのため茶々丸の心境は、人の輪に入りたがらない我が子が仕事でしばらく見ないうちに自分の意志で輪に加わると言ったのを見た母親のソレである。
そんなこんながありつつも、桜の下に集まった面々で今後の話をした。
今日は昨日の卒業式に合わせて休暇を取ったネギもいるため、今後の計画についてだとか。高校ではどんなことをしたいとか。魔法世界に次回行ったらとか。お互いに頼み合っていた情報や依頼品の交換だとか。
いつもの面子が集まった以上、話す内容もいつものことだ。
喉が渇いたので飲み物を買いに行こうと敷物から立ち上がって数歩進んだ時、足元が光る。
「なんだ!?転移魔法陣か!?」
「千雨さん!?」
突然の出来事に離れていたネギが瞬動術ですぐそばまで駆け付ける。
仲間たちがアーティファクトを構えて警戒態勢を取った。
「無理だ兄貴!
干渉されないように結界が張られてやがる!!」
「見たことのない術式結界…!?
アスナさん!結界の破壊を!」
「ダメですネギ先生、間に合いません!
それにこの結界は見たことがないので、無理に干渉してしまうと千雨さんが危険です!」
「そんな…!」
何とかして救出しようとするネギたちだが、魔法陣の上にいる千雨には何もかも間に合わないことがわかった。
「―――先生、お前はしっかり前を見据えて行動しろ」
「ちうちゃん!?」
「お前らも、先生のこと頼むぞ」
「…千雨さん、先ほど渡したデータは…!」
「役立つかはわかんねぇけど、ちゃんと持ってる」
なるべく言うべきことを言う。
時間は残り少ない。
「千雨さん!!!」
「―――泣くなよネギ先生。いい男が台無しだぞ?」
泣きながら結界の壁にすがり付くネギと、叫ぶように名前を呼ぶ仲間たち。そして満開の桜。
―――それが、長谷川千雨が最後にみた麻帆良の景色だった。