今朝の新聞各紙は、愛媛県宇和島市の病院で臓器売買による移植手術が行われた問題に、紙面を大きく割いています。同僚記者の一人は「一報を聞いたとき、中国の話かと思った。ゆゆしき問題だ」と感想を述べていましたが、これは確かに大きな問題です。

 

 臓器の闇マーケット、臓器移植法の実効性、臓器提供者の不足と法制度の不備‥。私も記事を読んでさまざまなことを連想しました。今回は犯罪として摘発されましたが、なぜこんなことが起きるのか、背景にある医療現場の事情も考えなくては、と思います。また、今朝の産経社会面の「インドや中国 邦人も渡航し手術」という記事には、次のような記述がありました。

 

 「中国では臓器移植を規制する法律がなかったため、死刑囚からの臓器を使った移植や、不透明な臓器売買が問題化。欧米に比べ臓器移植手術の費用も格安で、一説には肝臓移植は約1200万円、腎臓移植は約600万円ともいわれている」

 

 臓器移植といえば、気功集団「法輪功」が、メンバーが中国で生きたまま臓器を摘出されていると世界中で告発していますね。カナダの国会では「事実である」との報告もなされたそうですが、真相が明らかにされることを期待します。これはとてつもなく恐ろしい話です。

 

 また、雑誌「サピオ」の最新号には、ジャーナリストの袁翔鳴氏が書いた短期集中連載「蠢く!中国対日特務工作白書」という記事が載っています。この中で、こんなエピソードが紹介されています。私はこれを読んで「とうとう表に出始めたか」と思いました。

 

 《西日本選出で、大臣経験もある自民党の大物議員の妻が昨年、総合病院で末期の肝臓ガンで、「余命は数か月」と宣告された。その数週間後、永田町の議員会館の事務所に、中国人男性が突然訪ねてきた。

 

 (中略)男はいきなり用件を切り出した。

「ある人から聞きましたが、奥さんの病気、中国で直せますよ」

 男は、日本のマスコミにも登場し、トウショウヘイなど中国の指導者がよく利用していた北京市内の解放軍系病院のパンフレットを取り出して説明を始めた。議員の妻の身体に適した肝臓を移植すれば助かる可能性が大きいというのだ。

 

 (中略)妻の病気のことで連日悩み続けた議員にとって、目の前に突然希望の光が差し込んだようだった。深く頷きながら男の話を聞き、彼の勧めを受けて妻に中国で手術を受けさせることをその場で決めた。

 

 (中略)議員と妻は日本の医師と相談し、治療法を確認したうえ、極秘裏に訪中した。男の手配で妻を中国人の名前で入院させ、肝臓の移植手術を受けさせた。手術は成功し、いまでは家事をこなすまで回復した。

 

 (中略)その後、男が議員に何らかの要請をしたかは不明だ。しかし、この話はすでに永田町ではかなり知られている。

「あの先生は、奥さんのことで中国に頭が上がらなくなった。第二のA先生になったのではないか」とささやかれている。

 

 A先生とは、言うまでもなく、自民党所属の国会議員として日本政治の頂点を極めた政治家である。日本遺族会の要職も務め、靖国神社参拝をライフワークとして推進してきたが、中国訪問中に情報機関の女性工作員に狙われ、不覚にもハニートラップに掛かってしまった》

 

 この話は、私の知る限りでは、「事実」をもとに脚色して書かれたものだと思います。これが私の聞いている話と同じ件について書かれたものだとすると、中国で肝移植を受けたのは「妻」ではありませんが、その点はわざとぼかしてあるのかもしれません。A先生とは、ずはり先頃亡くなった元首相のことでしょうね。

 

 いかに親しい人の命を救うためとはいえ、政府や党の要職にある人が、中国に大きな借りをつくったとしたら、これはやはり心配です。仮に中国側が何も要求してこなくても、心理的負荷となって、その人の言動を制約することでしょう。自分でも知らず知らずのうちに、つい中国の利益にそう振る舞いをするようになるとも思います。

 

 まして、中国では、政治犯や死刑囚からの生体臓器移植の噂が流れていることでもありますし‥。
 

 日本人は、政治家も官僚も含めて、つい外国に対して「善意」を期待してしまう傾向がありますが、冷徹で自分勝手な国際社会にそんなことを求めるのは間違いでしょうね。憲法前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義」なんてありもしないことが書いてあるのがいけないのか。

 

 自民党の中川昭一政調会長はかつて、「中国は右手で握手して左手でひっぱたくような国だ」という趣旨のことを述べていました。外国、中でも中国に対しては、決して気を許してはならない、一瞬たりとも警戒を怠ってはならないという当たり前のことが、みんなの常識になることを祈っています。