【記者コラム】考え方を改めれば 行動も変わる 元プロ野球投手 紀藤真琴さん2018年12月10日 18時0分
水戸啓明高(茨城)の野球部監督に就任する紀藤真琴さん(53)=名古屋市出身=の講演会を先月、取材した。広島、中日、楽天で速球派投手として鳴らし、楽天で投手コーチを務めた際はヤンキースの田中将大、前マリナーズの岩隈久志らを育てた紀藤さん。現役、コーチ時代のエピソードが生々しく、取材であることを抜きにして、必死にペンを走らせた。 特に印象的だったのはマー君とのやりとり。田中が新人だった2007年、交流戦で巨人と対戦した際に、高橋由伸に本塁打を2本打たれた。投げたのは、いずれも試合前のミーティングで「注意して投げろ」としつこく確認した直球。しかも、捕手のサインに首を振って投げたという。 翌日、田中は紀藤さんに謝罪。さらに「これから、どうしたらいいですか?」と聞いてきたという。その時、紀藤さんは自身の経験談を話した。 期待を集めて広島に入団した紀藤さんも、10年目まで3、4勝がやっとの年が続いた。そんな中、当時の山本和行投手コーチに「勝てる投手にする自信がある。2人でやってみないか」と声を掛けられた。「自分を否定せずに信じる」「自分から変わる意識を持つ」「どうなりたいか、明確にする」「物事を肯定的にとらえる」など、成功するための6カ条を授けられ、意識改革に努めた。 そして迎えた11年目の1994年に16勝を挙げ、最高勝率を記録。「隠れた能力が、これだけあったことにビックリした。私も田中も、最初からうまくいったわけではない。考え方を改めて、行動が変わったんです」 紀藤さんは、この年から3年連続2桁勝利。田中の活躍は書くまでもないだろう。講演の演題は「あなたは必ず成功する」。初挑戦となる高校野球の監督としても、紀藤さんは成功するだろう。そう信じている。 (麻生和男)
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