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「いつの時代の人やねん!」と笑われないように
という訳で、パソコンを使えるか使えないにかかわらず、経営者らにとって今や必須の端末はスマホやタブレットなのだ。「パソコンも使えないのか」と嘆いたりあざ笑ったりするのは時代錯誤も甚だしい。これが「今どきの子供は鉛筆をナイフで削れない」とのアホな発言を思い出して、笑ってしまった理由だ。既に当時、手回しの鉛筆削りだけなく電動鉛筆削り機も広く普及していた。今も昔も時代に取り残されるのは、恐ろしいことである。
別のエピソードも思い出した。ある大企業のCIO(最高情報責任者)から聞いた話だ。この人はIT部門出身ではない。新システムの企画でコンセプトを固める際に、IT部門にシステムの概要図を描いてもらったら、端末のアイコンが全てパソコンだったそうだ。そりゃ「おいおい、いつの時代だ」と言いたくなる。技術者は当たり前にスマホやタブレットを使いこなしているのに、どうやら発想が随分前の時代に固定され化石状態となっているようだ。
もちろんパソコンはこれからも重要だ。ただしパソコンを主に使うのは、企業なら報告書や決裁書などを作成する一般社員らであり、プログラムを書く技術者である。そうそう、私のような記者もパソコンを使い続ける人の一員だ。つまり、誰かのために何らかのコンテンツを作る人にとっては、パソコンは必須の情報ツールであり続ける。しかし、そのコンテンツを基に何らかの意思決定をする人たち、経営者ら組織のトップ、そして消費者にとってはもはや必須のものではない。
実は、理系の大学で講師を務めるITベンダーの人からこんな話も聞いた。聴講する学生に「パソコンを使っているか」と尋ねたら、全員が「使わない」あるいは「めったに使わない」と答えたそうだ。リポート作成も含めスマホやタブレットで事足りるのだという。うーん、まずいぞ。私は「大量のコンテンツを作るにはパソコンが必要」と思っているが、時代に取り残されつつあるようだ。「一体いつの時代の人やねん!」と笑われないように、私も注意しよう。