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自著についてちょっと語る

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。最近注目してるのは、練りものです。
 家でそばをゆでて食べるとき、温かいそばには、お惣菜のかき揚げやエビ天を買ってきてチンして載っけたりします。でも夏場、冷たいそばにはできれば熱くない具をあわせたい。冷えた天ぷらは油がべとついて食感最悪。かといって、具なしのもりそばではちょっとわびしい。
 長年悩んでいたところ、さつま揚げがいいと、今年ようやく気づきました。これなら冷たいままでも油っぽくないし、食べごたえもあります。そばの具だけでなく、ごはんのおかずにも、酒のあてにもなる。冷えたままでも、なにかと煮てもいける。万能なのか? なんだかすごいぞ、さつま揚げ。

 さて、『「昔はよかった」病』やブログ、ツイッター経由で、最近、私のことを知って新たな読者になってくれたかたも大勢いらっしゃるようです。
 いちおうこれでも、けっこう長いこと物書きをやってますし、非常に個性的な作風なもので、出版業界内ではそこそこ知名度があるんですけど、テレビに出たりしないので、一般のかたにはほぼ無名の存在です。
 『反社会学講座』のころからずっとなんですが、私は一冊の本にさまざまなテーマを盛り込むことが多いので、読者によって、どのエピソードがおもしろいか意見がわかれるようなんです。
 ある読者はこの話がおもしろかったというけど、べつの読者にはそれは不評で、ちがう話を推してたり。本のレビューでも、レビュアーによって取りあげる部分が異なるので、同じ本のレビューとは思えないほど。
 自分としてはあまり自信がなかったエピソードがほめられてることもあれば、自信のあるものがスルーされることもしばしばです。
 つまるところは「人、それぞれなんだな」と山下清のようにつぶやいて、万人ウケを狙うのはあきらめました。とりわけ私の作品は文体にもクセがあるし、感動や共感を求める善良な市民の倫理を逆なでするような内容も含むので、好き嫌いがわかれるのは仕方のないところ。
 要注意なのは、毒舌とか辛口なんてのを好む人の意見です。そういう人って、自分が嫌いな対象がターゲットにされてるうちは大喜びしてくれるんだけど、自分の好きなものがターゲットになった途端、不機嫌になるんです。で、なにが気にさわったのか、その理由をはっきり教えてくれずに、作品全体をふわっと全否定してくるので、参考にならないんですよね。

 自分の好みをみなさんに押しつけるつもりはありませんが、参考までに、私がベストと思ってる作品は、完成度でいえば『誰も調べなかった日本文化史』(『パオロ・マッツァリーノの日本史漫談』)です。
 『「昔はよかった」病』は手法としてもネタとしても、この本の延長線上にあるので、『「昔はよかった」病』がもの足りないと感じたかたは、『誰も調べなかった日本文化史』を読んでみてください。分量の制限なくたっぷりと情報を盛り込むとこうなるということがおわかりになるかと。

 思い入れが強い作品は、『コドモダマシ』と『ザ・世のなか力』です。どちらもキャラクターを使った連作ミニコントのような構成。こういうのって、書きやすそうに見えて、意外にむずかしいんです。このキャラだったら、このことをどういうふうにしゃべるだろう、といちいち考えないと、キャラがブレちゃうんで。
 むずかしいぶん、キャラクターと長期間つきあうと、情が移るんですよね。書き終わるときには、さびしさすらおぼえました。
[ 2015/09/16 00:11 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
歴史の「普通」ってなんですか?

世間を渡る読書術

会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告