こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
長らくお待たせいたしました、新刊発売の予告です。
昨年まで『新潮45』に連載していた「むかしはよかったね?」をまとめたものが、ようやく、新潮新書で発売されることになりました。
発売日は7月中旬の予定。
新書のタイトルは『「昔はよかった」病』に決まりました。
私のほうからは、『さよなら、昔はよかった病』『さらば、昔はよかった病』にしたほうが本のテーマと方向性が明確になるのではと提案したのですが、シンプルなタイトルがいいということになったようです。
まあ、私は書名にはあまりこだわらないことにしています。よくいわれる、書名が本の売れ行きを左右するという説は、マーケティングの神話です。たまたま印象的なタイトルで売れた本だけを例にあげて法則化してるけど、実際にはタイトルがいいのに売れなかった本もたくさんあるし、ダサいタイトルのベストセラーもたくさんありますし。
単行本なら大幅に加筆するのですが、新書にはページ制限がありますので連載をほぼそのまままとめました。連載時にもブログで軽く内容紹介をしていましたが、いまいちど簡単に説明いたしましょう。
おもに明治から昭和にかけての庶民文化や社会現象を史料から再検討し、「むかしはよかったけど、いまは日本社会も日本人もダメになった」「戦後民主主義や戦後教育が日本人をダメにした」などという言説が根拠のない妄想にすぎないことを暴き、過去を美化して現代人をおとしめる懐古主義者どもをタコ殴りにしようという、マッドマックスにも引けを取らないこの夏話題の痛快エンターテインメントです。
火の用心、体感治安、クレーマー、長者番付、コーラと烏龍茶、自警団、美人、安全安心、元気、熱中症、敬老、絆とふれあい、商店街。
ありきたりの歴史雑学本がスルーしている意外な過去の庶民文化の真実。新書10冊分くらいの内容が詰まった濃厚特盛りの内容でお届けします。
考えてみると、私が新書を出すのは『つっこみ力』以来8年ぶりなんですよね。そんなに経ってしまったか、と感慨深いものがあります。
じつをいうと、新書の執筆依頼は『つっこみ力』以降、何件かあったのですが、先に決まっていた単行本の仕事をしているうちに、依頼してきた新書の編集者が退社や異動してしまったりなんてことが重なり、結局どの企画も実現せずに8年も経ってしまいました。
正直いって、新書は売れないとつらいんです。単行本はさほど売れなかったとしても、数年後に文庫化されてもう一度印税が入るチャンスがありますが、新書は文庫化されるケースが少ないので、売れなければそれっきり。私は少年のときにだれも殺してないんで、初版を10万部も刷ってもらえないんですよ。ですから、できれば増刷がかかるくらいには売れてほしいんです。
ということで7月発売予定、今年一番おもしろい新書になる予定の『「昔はよかった」病』をよろしくお願いします。
[ 2015/06/18 20:23 ]
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