こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。「むかしはよかったね?」連載中の新潮45最新号が発売中です、たぶん。まだうちに見本誌が届いてないので私も見てませんけど。
今回のテーマは「ウザい絆とキモいふれあい」。日本はもはや安全な社会ではない、それは人と人との絆が薄れたからだ! 絆を復活させれば、むかしのように素晴らしいよのなかに戻れるのだー! って叫ぶ日本の中高年と老人たち。その主張がなんの根拠もない迷信であることを、歴史的に検証してお伝えします。
江戸時代の江戸の町でも、長屋の隣にだれが住んでるか知らないことはざらでした。むしろそういう匿名社会が江戸の町を雑多な魅力ある都市にしたんです。べつに現代人の絆が薄れたわけじゃありません。いまもむかしも人々の実態はたいして変わらないんです。
絆が深かったはずのむかしのほうが、凶悪犯罪もこどもの誘拐もいまよりたくさん起きてたことをどう説明するんですか。戦前なんて、親が借金のカタに平気でこどもを売り飛ばしてたじゃない。むしろ、少子化が進んだ現代のほうが、親子の絆は気持ち悪いくらいに強まってます。
などと、私がせっかく歴史と社会の真実を教えてあげても、安心して喜んでくれるどころか、すべてを精神論で解決したがる善良なる日本のみなさんからは、ますます嫌われるんですよね。
震災の直後、われ先に水や食料を買い占めてたようなヤツらが「絆を大切にしよう」なんて、よくいうよって感じですけど。
[ 2014/10/18 20:28 ]
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