こんにちは、あのね、パオロ・マッツァリーノだよ(モノマネのモノマネ)。
新刊『偽善のすすめ 10代からの倫理学講座』の追加情報です。定価は1200円(税別)と、いつもの単行本よりはお求めやすい価格になっております。発売日は以前おしらせしたように、2月12日です。
ご期待ください。ってむかしのテレビドラマの次週予告では必ずいってませんでした? 最近あまり聞きませんね、「ご期待ください」って言葉。
なんか、芦田愛菜ちゃんのドラマがエラい騒ぎになってるようで。私は全然見てないんで、ドラマ自体の内容や表現に関してはなにもいえません。
今期のドラマで見てるのは『私の嫌いな探偵』だけ。玉木さん演じる探偵が、犯人を名指しして事件を解決したあと、犯人の告白を聞かずに、ぼくそういうの興味ないんで、と帰っちゃったりとか、剛力さんが「予想よりちょっとうまいダンス」をしたりと、深夜枠っぽいおふざけ具合が、ビールでも飲みながら気楽に見るのにちょうどいい感じ。
で、笑えない内容と思われる愛菜ちゃんのドラマのほうですが、視聴者の苦情でスポンサーが降りたというのは、以前『女王の教室』でも同じことがなかったですか? あのときはそこまではいかなかったんでしたっけ? 『女王の教室』は批判をものともせず放送を続けて結果的にクロウト筋からは名作として評価されたわけですが、今回のドラマはどうなんでしょ。
この騒動に関して、芸能人やお笑いの人たちのあいだから、あれもダメこれもダメと自主規制したらテレビがつまらなくなると悲観する声があがってますが、私はそろそろ日本の視聴者のみなさんが意識を変えるいいチャンスではないかなと思ってます。
テレビはタダという意識から、お金を払って見るという意識への転換です。
アメリカのケーブル有料チャンネルでは、無料の地上波では放送できないようなアブナい内容のドラマを制作・放送して、好評を博しているものもあります。バラバラ死体だらけの『デクスター』とか、化学教師が麻薬作っちゃう『ブレイキング・バッド』とか。
『ニュースルーム』は死体が出てきたりはしませんが、ティーパーティなどの政治的保守派を実名批判してしまう内容で、べつの意味であぶない。たとえていうなら、もしもフジテレビが報道局を舞台にしたドラマを作り、劇中で安倍政権を名指しで批判したら、と想像してください。またお台場に困った人たちが押し寄せて大騒ぎをはじめちゃいますよ。
でも、有料チャンネルならそんな内容でも放送できるんです。見たくない人は見ないでください、とつっぱねればいいんですから。日本では衛星放送がアメリカのケーブル局と同じような役割を担ってますが、まだまだ普及してるとはいいがたい。
WOWOWで昨年末に放送した三谷幸喜さん作・演出のドラマ『大空港2013』は、ワンシーン・ワンカット、つまり舞台劇と同じように、90分間カメラを回し続けて役者たちが芝居をするというはなれわざで楽しませてくれました。これもCMのない有料チャンネルだからこそできた企画です。地上波だと途中にCMが入ってしまうから企画が成立しません。
ドラマだけでなく、お笑いとかも有料チャンネルならかなり自由度の高いものができますよ。地上波テレビはどんどん規制をきびしくしてつまらなくなってしまえばいいんです。そうすれば、有料放送の普及に弾みがつくってもんです。
[ 2014/02/03 22:28 ]
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