こんにちは、アダムとイヴとタカタとパオロ・マッツァリーノです。
8月5日の記事で、体感治安の悪化は妄想であると書きました。その際、じつは空き巣の被害件数は現在戦後最低なんですよー、とお伝えしたのですが、このことを示す長期データは、ネットを探しても見当たらないようです。
ならば、教えましょうかタカタ
(ハマってるな)、ということで、おせっかいな私が警察庁の統計からまとめたグラフをアップしておきます。

このグラフの画像データは転載自由とします。どうぞご自由にお使いください。私にことわることなく引用してけっこうですから、日本が治安のいい国であるという事実はいまもゆるがないのだという事実を、むしろむかしよりも良くなっているのだという事実を、おともだちやご家族にも教えてあげてくださいな。
いちおうグラフについて簡単に解説を。このグラフは空き巣だけでなく、忍び込み
(夜間、寝ているあいだに入る泥棒)や事務所荒らしなど、建物内に侵入して盗むタイプの犯罪の総数である侵入盗というくくりにしてあります。
この手の犯罪統計では、暗数だとか氷山の一角だとか、実態を反映していないという疑惑がつきものですが、侵入盗に関しては、認知件数と実際の被害件数に大差はないはずです。性犯罪などとちがって、被害に遭ったことを隠す理由がないし、被害届を出さないと盗難保険もおりませんから。
被害届を出さない人がいたらアヤシすぎます。盗られたのがヤバいブツやカネだったとか、変わったお花や草を室内で栽培してるので警察に家に来てほしくないとか、なにかうしろめたい理由があるのだと思われます。
全体的には、1971年をピークに減少傾向にあります。98年から2002年にかけての時期だけが例外ですが、2002年をピークに急減に転じました。
70年代から90年代にかけても、ずっと減少していた点に注目してください。よく、「犯罪の増加は、地域のコミュニティが崩壊したからだ」「ご近所があいさつしなくなって空き巣が増えた」とかなんとか、もっともらしくいうヤツがいますけど、それがなんの根拠もないデタラメであることは一目瞭然。まさに地域のコミュニティの崩壊が叫ばれていた80年代や90年代にも、侵入盗は減っていたのです。
「むかしはカギなんかかけなくても泥棒なんか入らなかったよ」ってのもウソです。むかしのほうが泥棒被害は多かったんですから。
治安の悪化をとなえる人たちは、なにが目的なんだろう? 「むかしは良かった教」や「昭和は良かった教」の信者ですか? 世のなかはどんどん悪くなっている、人心は荒廃し続けている、いまの若い者はダメだ、などの幻想を広めたい狂信者ですか。
そもそも、こういう統計的な事実をきちんと公表して啓蒙につとめるのは警察の役割なのに、その警察が犯罪不安を煽るようなことばかりいってます。不安を煽れば市民が犯罪に気をつけるだろう、なんて考えかたは人をバカにしています。事実はあくまで事実として教えなければいけないんです。正しい事実に基づかなければ、正しい対処もできないのですから。
そりゃなかには、事実を見せられても信じない人もいるだろうけど、事実を公表しなければ、誰も正しく判断できないんですよ。