【スポーツ】[バドミントン]桃田万感 3年ぶり日本一 「支えてくれた方々にいい報告できた」2018年12月3日 紙面から
◇全日本総合選手権バドミントンの全日本総合選手権最終日は2日、東京・駒沢体育館で各種目の決勝を行い、男子シングルスは世界ランキング1位で今夏の世界選手権王者の桃田賢斗(24)=NTT東日本=が、西本拳太(24)=トナミ運輸=に2-1で勝利し、3年ぶり2度目の頂点に立った。女子シングルスで世界ランク2位の山口茜(21)=再春館製薬所=が2016年リオデジャネイロ五輪銅メダルの奥原希望(23)=日本ユニシス=に2-1で勝ち、2年連続3度目の女王に輝いた。 勝利を決めるスマッシュがコートの奥に決まった瞬間、桃田は膝をついて両拳を挙げた。「3年前の優勝は試合をするのが当たり前、海外で戦うのが当たり前と思っていた甘い自分がいた。この優勝で、社内で支えてくれた方々にいい報告ができたと思います」と万感の思いを込めた。 前日の準決勝は対戦相手が棄権し体力は十分あった。世界ランキング9位の国内2番手・西本に1ゲーム目は21-9と圧倒。しかし第2ゲームで勝ちを急いでミスを連発し競り合いの末に落とした。焦りが消えたのは第3ゲームの5-2で、西本の連続スマッシュをかわしてしのいだ場面。「よく西本の動きが見えていたし、そこで視野が広がった」。相手のウイニングショットを拾ってネット際へ沈めた。以降も桃田の得意とするネット際のプレーがさえた。 全日本総合選手権は2015年に初優勝し、その後に違法賭博問題で1年間の謹慎処分を受け、実戦復帰した昨年は「声もガッツポーズも出せずに終わった」と準々決勝で敗退した。世界選手権優勝など国際大会で数々の栄冠を手にして迎えた今回は、優勝筆頭候補として君臨。「積み上げてきたものに自信を持ってプレーできたし、いろんな人たちに支えられて楽しみながらできました」。来春から始まる東京五輪の出場権を懸けた選考レースに向け、日本最高峰のタイトルが原動力となるに違いない。 (平野梓)
◆山口茜「我慢」でV2女子シングルスは世界ランキング2位の山口が、同5位の奥原との最終ゲームにもつれ込んだ激戦を制し、2年連続3度目の優勝を遂げた。得意とする攻めの展開よりもラリーで粘り、相手のミスを誘った。「最後の試合で一番いい内容だったので満足です」と笑顔を見せた。 「我慢」をテーマにした試合運びは、来年の五輪選考レースを見据えていた。「全日本総合選手権という重要な舞台で試すのはどうかと思うんですけど、プレッシャーや緊張感がある中でやらないと意味がないので」と意図を語った。 ◆フクヒロ 2連覇は「自信」女子ダブルスは福島・広田組(岐阜トリッキーパンダース)が2年連続でリオデジャネイロ五輪金の高橋・松友組(日本ユニシス)を撃破し、2連覇を達成。「来年の五輪レースに向けて自信になります」と広田は声を弾ませた。 試合前に日本バドミントン界に初の五輪メダルをもたらしたロンドン五輪銀の藤井・垣岩組(再春館製薬所)の引退セレモニーが開かれた。前所属で先輩だった2人に、福島は「人間性もバドミントンでも尊敬する先輩。チームの中でいろんなことを学ばせてもらいました」と涙ぐみながら感謝の気持ちを込めた。
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