ソフトバンクの携帯電話サービスで大規模な通信障害が発生した。携帯電話はコミュニケーションに加え、決済や交通、運輸といった社会インフラを支える役割が増している。ソフトバンクは原因の特定を急ぎ、再発防止策を徹底する必要がある。
通信障害は6日午後に起き、4時間以上にわたり全国で携帯電話がつながりにくくなったり、使えなくなったりした。ソフトバンクは約4千万件の契約を抱え、この多くが影響を受けたようだ。
スマートフォンの利用者が急速に増えた2012年ごろは通信障害が多発したが、近年は減っていた。また、これだけ多くの利用者が長時間にわたって影響を受けるのは異例で、ソフトバンクは事態を深刻にとらえるべきだ。
今回の通信障害で特徴的なのは、通話やメールの送受信に加え、携帯電話を活用した様々なサービスが影響を受けたことだ。搭乗券の確認に同社の回線を利用していた航空会社では遅延が発生し、物流会社は集荷依頼や再配達に使う端末が使えなくなった。
今後、第5世代(5G)と呼ぶ次世代の高速無線通信サービスが始まり、携帯電話の用途は一段と広がる。ソフトバンクやほかの通信会社はひとたび通信障害を起こすと社会に深刻な影響を及ぼすことを自覚し、設備を整備する必要がある。
ソフトバンクの通信障害ではスウェーデンの通信機器大手、エリクソン製の交換設備に搭載されたソフトの不具合が引き金になったことが分かっている。ソフトの不具合を減らすのはもちろんだが、万が一に備えて複数のメーカーの製品を使うといった対策を徹底すべきだ。
通信に加え、電力や交通、自動車など社会を支える重要なサービスや製品でも、利便性や効率を高めるためにソフトを活用する動きが加速してきた。ソフトの不具合を完全になくすのは難しく、問題の発生を前提とした設計が求められている。