【スポーツ】[フィギュア]紀平圧巻、世界最高SP首位発進! ザギトワとの16歳対決制す2018年12月8日 紙面から
◇GPファイナル<第1日>▽6日▽バンクーバー(カナダ)▽ダグ・ミッチェル・サンダーバード・スポーツセンター▽男女ショートプログラム(SP)▽ペン・辛仁夏 圧巻の世界最高だ。女子SPはGPデビューシーズンの紀平梨花(16)=関大KFSC=がルール改正後の世界最高となる82・51点でトップ。2005年の浅田真央以来となるGPデビューシーズンでのファイナル制覇へ好発進した。平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワ(ロシア)が77・93点の2位につけ、坂本花織(18)=シスメックス=は70・23点の4位、宮原知子(20)=関大=は67・52点の6位だった。男子SPは昨季2位の宇野昌磨(20)=トヨタ自動車、中京大=が91・67点で2位。首位はネーサン・チェン(米国)だった。 スコアが表示された瞬間、祈るように胸の前で合わせていた両手で口元を押さえ、目を見開いて喜びを爆発させた。「きょうはすごく落ち着いてできた。想像もしていなかったすごくいい点数を見たときはびっくりした」。とてもGPファイナル初出場と思えない16歳が堂々の首位発進だ。 82・51点。ザギトワがGPロシア杯で記録した80・78点を1・73点更新するルール改正後の世界最高得点は、自己ベストを11・71点も更新。さらにいえばルール改正前とはいえ、昨季までの世界最高、ザギトワが平昌五輪で記録した82・92点にも迫る好得点だった。 冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)、GP過去2戦のSPで失敗していた伝家の宝刀を決めて波に乗った。続くフリップ-トーループの連続3回転、両手を挙げて跳んだ3回転ルッツも成功。3つのジャンプすべてで出来栄え点の加点を奪うと、レベル4の認定を受けた2つのスピンとステップでも1点以上の加点をゲット。技術点では2位のザギトワに5・26点差をつける47・36点。何とこれは4回転2本を組み込んだこの日の宇野の技術点(46・88点)をも上回る男子顔負けのスコアだった。 「今季のSPでは苦戦していたトリプルアクセルで、やっと自分の想像していたジャンプができたなという気持ちですごくうれしい」 反省が生きた。この日午前の練習ではトリプルアクセルに固執した。「満足いくまで跳び続けて自信が持てた」。それだけじゃない。練習後は宿舎に戻って2時間半の仮眠。前戦のフランス杯で苦しんだ時差ぼけ対策だ。そして演技直前には足首付近の革が緩くなっていたスケート靴をテープで固定。「不安だったことがすべて克服できた」とリンクに向かった。 「フリーでは何が起こるか分からない。1日空く明日(7日)、しっかりジャンプを確認したい」。中1日で挑むフリーの順番はザギトワが4番目で紀平は最終6番目。浅田真央以来となる偉業へ、新星が輝く空に遮るものはない。
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