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チャボがすみ着き人気者に 紀北の庭園観光施設

入り口近くの岩の上で来園者をお出迎えする「コッコちゃん」=紀北町便ノ山の「種まき権兵衛の里」で

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 チャボの「コッコちゃん」がお出迎え-。紀北町便ノ山にある町営の庭園観光施設「種まき権兵衛の里」に、ニワトリの仲間の鳥がすみ着いた。民話の主人公の生誕地にちなみ、町が二十四年前に開園した。「♪権兵衛が種まきゃ カラスがほぜくる…」の俗謡で広く知られ、この黒い野鳥は、いわば施設の“象(しょう)チョウ”。パンフレットなどにも登場するが、チャボはカラスを押しのけ、人気急上昇中だ。

 短い脚で、お尻をふりふり-。コッコちゃんのちょっぴりユーモラスな歩き方が来園者に好評。「今日は、いますか」との問い合わせもあるという。

 施設を管理する植松登志典さん(51)が昨年八月中旬、出勤すると、駐車場につがいでいた。「飼育されていたものが捨てられたらしい」。野生動物の餌食になったのか、一週間ほどで一羽になり、雄だけが残された。

 その後、無料開放されている二万二千平方メートルと広い日本庭園内にやって来るようになり、すみ着いてしまった。近所の農家がえさに米を分けてくれ、植松さんもパンの残りを与えている。今春には小学生が「コッコちゃん」と名付けた。

木の上の定位置に隠れたチャボの「コッコちゃん」(円内)=紀北町便ノ山の「種まき権兵衛の里」で

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 近づくと逃げるが、植松さんは「つつかれることもあるので、触ったりしないで」と注意を呼び掛ける。

 施設の開園時間は午前九時~午後五時。そのうち半分ほどは、出入り口のカウンターで来園者を出迎えるようにじっとしたり、付近を“散策”したりしている。

 高さ約五メートルの木の枝に止まっていることも多い。ここに避難し、夜を過ごしているとみられる。すぐ近くには種まき権兵衛のからくり人形もある。民話に出てくる権兵衛は、畑にまいた種をカラスがついばんでも「♪三度に一度は追わねばなるまい…」と、野鳥に食べさせてあげた心優しい人。植松さんは「権兵衛さんの陰にかくれ、安心しているのでは」と話す。

 (酒井直樹)

 <チャボ> ニワトリの一種。江戸時代、東南アジアから伝わったとされる。羽やトサカが美しく、観賞用に改良が重ねられ、多くの品種がある。「温和な性格がチャボの特徴」(県畜産研究所)という。

 

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