Zガンダム パート2 企画書(初期設定)
「ガンダムZZ」は、「Zガンダム」の完全な延長線上の物語として企画されたが、その最初に考えられていたストーリーは、放映されたものとは正反対ともいえる雰囲気を持ったものであった。
下に掲載したものが、その当初案だが、「Zガンダム」のラストで死亡したエマも健在で、こちらの作中で消え去る設定になっていたり、かなりの相違点が見受けられる。
しかし最大の違いはなんといってもシャアが登場する予定だったことである。
ゼータ・ガンダム パート2
ストーリー
13歳の少年ジュドー・アーシタが、モビルスーツ、ゼータ・ガンダムに出会い、前のティターンズの残党もしくは、ハマーン・カーンの放った外郭部隊マニバリングと接触しながら、モビルスーツのパイロットとして成長する物語。
彼こそ、第一次ニュータイプになって、地球人にメッセージを残して、火星に旅立つ人になる。
発端
アーガマとシロッコ、ハマーンの戦闘が終わり、シロッコは死んだ。
ティターンズの中核がなくなったことで、地球連邦軍は、エウーゴのもとにまとまりつつあったものの混乱していた。
シャアは、先の戦闘中に行方不明になった。 瀕死のアーガマは、サイド1のコロニー「シャングリラ」に漂着した。
しかし、「シャングリラ」は、戦後の窮乏の中にあって、コロニー公社の連中が、横暴をふるい、人々の生活は苦しかった。
ブライトとエマの働きでも、シャングリラでアーガマ修理の必要資材を調達することは難しかった。
カミーユは、ファに伴われて、シャングリラの病院に運ばれた。 シャングリラのジュドー・アーシタは、できのよい少年ではない。
「ギガー」という暴走族のお尻についている少年である。 彼らは、アーガマの負傷兵を見て、警備の薄いアーガマの乗っ取りを考える。
そして、ジュドーは、ブライト、エマの抵抗を払ってゼータ・ガンダムを盗んでしまう。
一方、ハマーン・カーンの放った部隊マニバリングの男達が、コロニーの懐柔に走り、アーガマ破壊の工作に乗り出していた。
ハマーンは、自分の部下に地球圏に慣れさせる必要があると判断したのである。若いスタッフばかりである。
ジュドーは、マニバリンクのスタッフの説得にのって、一時は、アーガマ破壊を試みるが、ファ、エマの説得にあって、逆にアーガマを守ろうとする。 が、ゼータ・ガンダムに乗っても、素人の少年の悲しさ、うまくいかない。
シンタとクムは、ひどくジュドーになつき、なんとか戦力にしたいとジュドーに協力的になる。
何度かのマニバリングのアーガマ破壊工作に、ジュドーは頑張り、ギガーの仲間を誘い込み、「軍艦を動かすのもおもしろいぜ」と誘うのだった。
しかし、シャングリラで頑張る意味がなくなったと判断をしたブライトは、別のコロニーと接触しようとするが、地球連邦軍の機構はメチャメチャで、どこのコロニーに入りこんでも修理はおぼつかなかった。
グラナダに帰りたかったが、その短い距離を一艦で航行する自信もないアーガマであるのだ。
発展
ハマーン・カーンの組織マニバリングは、コロニー公社にも入りこみ、アーガマは、退去せざるを得ない状況に陥りつつあった。
ジュドーは、そのような状況の中で、悪戦苦闘しながらも、ゼータ・ガンダムを使いこなせるようになっていった。
が、ついに、コロニー内でモビルスーツ戦を展開するまでになり、ブライトは、アーガマの修理不備のままシャングリラを退去せざるを得なかった。
そこに、補給艦ラビアンローズが現れた。 アーガマと行動を共にできるという。
しかし、ラビアンローズも敵の攻撃に対して脆弱である。 兵員が極度に少なくなっていたのである。
そこにいた少女ルー・ルカは、元気だけは良いジュドーを協力しようと好意をよせたが、ジュドーはそれを拒否した。 女性を信じていないのである。エマに振られたということもある。ファに説得されてしまったという負い目も感じていた。
母親願望もあって、それが若い女性に対しては拒否反応となって現れたと考えてもよい。
さらにやっかいなのは、ゼータ・ガンダムを操ることに自信を持ち始めたという自尊心の芽生えもあって、ジュドーは、マニバリングを倒すために、猪突猛進する。
エマがたしなめ、ガンダム・マークⅡで援護もするが、手におえない。 子供のくせに威張っているのである。
が、宇宙でのマニバリングの巧妙な攻撃に、ジュドーは傷を負ってしまう。 自信喪失に陥る。 その間は、エマが、ガンダム・マークⅡで抵抗して、アーガマとラビアンローズを守るのである。
アーガマの動きを知ったグラナダにあるアナハイム・エレクトロニクスの技師が、ゼータ・ガンダムの後期型を開発して、アーガマに運んでくれた。
「元気な子がいるっていうじゃないか?ニュータイプかもしれないって、期待してるんだ。」
その技師、エルボー・スマッシュは、エマににこにこと言うのだった。
ジュドーは、新型のガンダムにのって、(エマとの取り合いのドラマがある)敵に対するが怪我が治りきっていないというハンデは、新型のガンダムを傷つけるだけであった。
エルボー・スマッシュは泣き喚いて、ジュドーをコテンパンにする。
そして、アーガマには、もとからのクルーとギガーとの仲間割れを飲み込んで、逃避行動が続くのである。
ラビアンローズのルー・ルカも助けてくれない。 「みんな冷たい!」 ジュドーは叫ぶ。
ラビアンローズの全力をあげての整備によって、(といっても、ラビアンローズには、ルーのような子供の集団になりきっているので、作業は、悲劇的なのである。 エルボー・スマッシュは、ひたすら真っ青になる。)
その上で、エマが新型のガンダムで出て行っても、多勢に無勢では、新型のガンダムでも、いかんともしがたかった。
エマは、その悲しい戦闘のなかで、死んでいくかもしれない。
敵とアーガマ
アクシズを整備したハマーン・カーンは、ミネバを擁立して、ザビ家再興を強力に押しすすめるしかないと信じていた。
「馬鹿な戦争をするのは、魂を引力に引かれた人々であるからだ。なぜ、もっと高貴な精神の代弁者であるザビ家の信条に従わないのか。従えば、人は幸福になれる。」
そういうハマーン・カーンにブライトは、
「自分の主義を押し付けて自由を奪う結果になるのは分かっている!」
と、厳然として、ハマーンの主義を否定したのである。
ジュドーは、そういうブライトを初めて好きになれそうだと思う。
この間、アーガマとラビアン・ローズは、サイド4の暗礁空域に隠れている。
その為に、厭戦気分に溢れたアーガマにジュドーは、ついに爆発をして、
「出て行っちまえ!おまえたち!」
と、アーガマの軟弱兵員を追い出す。もとギガーの仲間だけでアーガマを占領するのである。
シンタ、クムがとりなすが、駄目だった。アーガマの兵員は皆ラビアン・ローズにいってしまう。
そこにラビアン・ローズのルー・ルカが殴り込みにくる。(もちろんブライトが居ない時の話である。)
シャングリラ奪還戦
シャングリラのコロニー公社の人々を駆逐するために、アーガマのブライトは、スパイを送りこみ、粛正を計った。
(この作戦の背後にシャアがいて成功するとしたい。もとアーガマの隊員としての最後の礼である。以後敵になるかもしれない。)
そして、ジュドーを乗り込ませて、残党狩りを行う。
その結果、アーガマは、コロニーの基地を手に入れることができたが、所詮、シャングリラは、疲れきったコロニーでは工業機能の復興には時間がかかるだろう。
ただ、コロニーが、アーガマのクルーにとって、精神安定剤の役割を果たすのである。
しかし、地球連邦政府そのものが、戦闘意欲がないために、事態は好転しない。
アーガマとシャングリラひとりの戦いの様相を呈してきた。
カミーユは行方不明になり、ファがアーガマに復帰した。
地球連邦軍
ブライトは、地球連邦軍のトップと談判するために地球に降りる決意をする。ジュドーはついていく。
ブライトは、地球連邦政府で、宇宙の状況を説得して、ハマーン・カーンの脅威を知らせるのであるが、
「サイドの一つもくれてやれば、気が済むといっているのだから」
と、取り合わないのが地球連邦政府のトップであった。
そして、その交渉は始まり、すでにサイド3が、ハマーンに提供されるというのである。
「あそこは、ザビ発祥の地です!」
「シャアが、ハマーンを監視する。」
その言葉にブライト、ジュドーは愕然とした。
ブライトには、シャアが生き延びているならば、それもあり得ると思えた。
「敵に入りこみ、ハマーン・カーンを粛正し、その上で頑冥な地球の人々を粛正した覚悟をしたのであろうと・・・
しかし、大人の事情などわからないジュドーは、地球連邦政府の大人達を殴り付けてしまった。
ジュドーは監禁される。
アムロ、ハヤト、ベルトーチカなどが、ジュドーを助けてくれる作戦を展開してくれる。
そこで、カミーユが、ホンコンをさまよっているという情報を聞く。が、関係している暇はなかった。
ブライト、ジュドーはアーガマに帰還するが、地球連邦軍からつけねらわれるハメに陥る。
ハマーン・カーンは、そんなブライトの動きを笑う。
ハマーン軍
ハマーン・カーン独裁のコロニーは、ブライトの予言した通りに、人々に過酷にあたった。
前からいた人々は、すべて徴兵されて、地球の乗っ取り作戦に従事させられる訓練に入っていた。
ジュドーとルーは、そのコロニーに潜入して、その実態を目のあたりにみて、ショックを受ける。
シャアの影など感じないのである。ハマーン・カーンの独善だけがみえるコロニーの悲惨さがあった。
「明日にも地球を奪うつもりなんだ!」
ジュドーの判断で、ミネバを拉致する作戦が講じられる。
この作戦は失敗する。しかし、ジュドーを助けてくれるコロニーの人々の活躍などが、涙ながらに語られる。
そして、アクシズを中心としたハマーン軍の前進が始まる。
あわてた地球連邦軍は、アーガマなど自分達が反乱軍ときめつけた宇宙艦に救助を申し込むのである。
というより、反乱軍といわれている軍の人々の善意でハマーン軍に対しての防衛戦が始まるのだ。
それを助けざるを得ないバカバカしさに、ジュドーは荒れる。しかし、戦わざるを得ない。
ここで、ファがエマ的な役割を果たしていく。
その間にシャアは、ハマーン・カーンを討たないのは、人々が目を宇宙に向いている間に、シャアは地球連邦政府の高官たちを暗殺する部隊の指揮をしていたからだとしたい。
後章
そして、シャアは地球連邦政府が、人々の宇宙移民を可決するのを見てから、ハマーン・カーン軍に参画する。
そして、一時期、1パイロットとして、アーガマに戦いを挑み、ジュドーの実践の教師としての立場になり、ジュドーの成長を知って、シャアはハマーンにとってかえす。
ミネバは、そのシャアの帰還が嬉しい。
が、ハマーン軍の地球攻勢が始まった時、シャアがハマーンを討つ。
そして、ブライトは、暗黙のうちに、ミネバを救出して、アクシズを撃破して終わる。
そして、その最後の戦いの瞬間、ジュドーの意思が、全世界に放出される。
「同化しろ!自己の主義を通すだけでは、人類は解放されない。シャアのやりかたは、自分が納得するだけの姑息なものだ」
シャアは本当にそう思うのだ。
「ただ、あるだけの自己を表だし、それを他人に重ねあわせればいい!そして、人の意思を自分の意志に重ねあわせることができれば、人の和解がある。それができる能力を人はもっている。それができれば、人は一体となって宇宙を制覇できる。その為に、宇宙は無限に広いということを思い出すべきだ!」
その呼びかけを敵も味方も、地球の傍観者たちも聞いた。だから、人々は宇宙に出ようと決意する。
それは、さすらいの旅をするカミーユにも聞こえた。
「俺は、フォウだけを求めていた。フォウは今もここにいると分かればいいんだ・・・」
カミーユの覚醒である。ミネバは、
「アステロイド・ベルトで暮らしている時も暖かさを感じたのは、人は宇宙と一体になれるからだったのか?」
と、ジュドーに聞くのだった。
その後、ジュドーはルーに言った。
「確かに俺はニュータイプかもしれないけどさ、生まれた時は神童で、10歳までは天才で、20歳になればただの人っていうだろ?」
ジュドーは、笑って火星開拓に身を投じた。
「学習するためさ。開拓じゃないよ。」と・・・
ミネバは地球に降りた。