オーバーロード 骨の親子の旅路   作:エクレア・エクレール・エイクレアー
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独自解釈、設定マシマシです。ご注意ください。


18 マジックアイテム付与

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 陽光聖典を撃退して翌日。カルネ村の集会所には村人全員とモモンガ、パンドラが集まっていた。話し合われているのは今後の村の方針。

 ちなみに。戦士団はすでに早朝には村から出ていった。村の備蓄にあった薬草を用いて傷の治療をしたが支払いはなし。薬草は底をつき、モモンガも手持ちのポーションはなくなったと説明していて(もちろんそんなことはない。戦士団に使うのを躊躇っただけ)、街に売れるような物も残っていない。

 

 ガゼフは必ず謝礼をするとは言っていたが、村人は誰一人として信じていない。

 だからこそ、自分たちでできることはやっていこうということになった。

 今までは森の賢王任せの自然の防衛網だったが、今回の一件でちゃんとした防衛策を施そうという話になった。国からの予算も全く期待できないので低予算の中でやりくりしなければならない。

 

 まずは村の外縁部に柵を作ること。あとは見張り台。逃げ出す時間や防衛の準備をするための時間を稼ぐためのものだった。幸い近くには森があるので、材料に困ることはなさそうだった。

 あとは純粋に人手の問題。それはどうにかできそうなのはモモンガだけ、というよりはマジックアイテムだけだった。

 

 アンデッドは人間に嫌われているので外部に漏れた時に困るのでこれ以上増やすつもりはなかった。今ではほとんどをグリーンシークレットハウスの護衛につかせている。パンドラが変身すればゴーレムも作りだせるが、ゴーレムは貴族が像として置いているだけで動かない物という認識らしい。

 そうなると使えそうな物は召喚系のアイテムだった。

 すでにモモンガとパンドラが村の一員になることは全会一致で認められている。つまり手を上げればすぐに意見を通せた。

 

「モモン様。何か解決案が?」

 

 様付けは少し思うところがあるが、話をスムーズに進行させるためにひとまず流す。

 

「はい。一応ですが。人手ということで召喚系のマジックアイテムがあります。ただこのアイテムは我々では使えないので村の誰かに使っていただきたいのです。天使を召喚するものなのですが、女性にしか使えなくて」

 

「……では、エンリが適任でしょう」

 

「え、私ですかっ!?」

 

 村長の名指しにエンリは立ち上がって驚いていた。今回の襲撃で十代の女性はエンリだけになっていた。この村で長くこのアイテムを所持するのに適しているのはエンリに他ならない。

 それ以外にも理由が村長にはあったが、それを察することはモモンガにはできなかった。

 

「じゃあエンリ。これを腕につけて後で外で召喚するように。|祝福されし修道女の腕輪《ブレスレット・オブ・ブレス・フォー・クレリック》だ」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 エンリがしずしずと出した両手に金細工でできた腕輪を渡す。女性プレイヤーを増やそうという運営の意図で産み出されたアイテムで、女性にしか付けられない代わりに第五位階から第九位階に所属する天使をランダムに召喚できるという代物。

 マジックアイテムとしては優秀だが、本人が所持しているスキルやカルマ値によってそのランダム性が変化したが、アインズ・ウール・ゴウンの女性メンバーはほとんどがカルマ値マイナスだったことと、堕天使ならともかく天使は、という理由で宝物殿で埃を被っていたアイテムだ。

 

 初めての女性向けイベントであったことや、そのイベントも復刻しなかったためにそのイベントで手に入った分しか在庫がなかった。

 攻略したギルドに所属する女性メンバーの数だけ取得できたので在庫は三つ。その内の一つのために痛くはなかった。パンドラ的にも一つ残っていればいいらしい。

 

「人手はこれで大丈夫でしょう。それでパンドラ。お前も意見があるんだったか?」

 

「はい。こちら小妖精の恩返し(フェアリー・サークル)という名前のマジックアイテムですが、簡単に申し上げるとドルイドの力を持った妖精を一日八時間召喚できる物です。これは森や自然などが近くにないと使えないマジックアイテムですが、近くにトブの大森林があるので問題なく使用できるでしょう」

 

 そう言って取り出したのは翡翠色の耳飾り。これも種族や使用できるフィールド条件が厳しくてクソ運営と思えるアイテムの一つだったが、人間種なら用いることができることと、フィールド条件もクリアしているので用いることに問題はない。

 

「あと、八時間の内一時間は自然の中で妖精たちを眠らせてあげなければなりません。それとドルイドの力といえども、土の状態を良くしたり水の品質を良くする程度なので畑を耕したりするには結局人手が必要です。お手伝い系のアイテムだと思ってください」

 

 条件が面倒すぎる。隠し要素もたくさんあったことからやはりあの運営はクソだったと今でも声を大にして言える。

 

「これも村の誰かが使った方が良いでしょう。我々は冒険者になるので、この村にずっと居られる人間が良い。とりあえず後で決めてもらうとして、村長に渡しておきましょう」

 

 そこから村で畑を耕す人間、森へ木を代伐に行く人間、設計図を作る人間などに分かれて話し合うことになった。

 エンリにはさっそく召喚させてみると、八体の天使が現れた。その内の一体は第八位階に所属する座天使級がいたことには驚いた。エンリのレベルは1のままだったのに、上から二番目の天使を召喚させてしまうだなんて。

 

「もしかしてタレントか?」

 

「可能性はあります。門番の智天使も含めれば村の防衛は全く問題ないかと」

 

「ああ、そうだな。では我々も村の復興を手伝おうか」

 

 結局妖精の恩返しはネムが装備することになった。村を回ることが仕事になるのであれば畑などがあるわけではない子どもに持たせるのが良いということ、森に行く際もエンリが天使を同行させれば問題ないだろうという判断から。

 その妖精が水源を見つけて村の井戸が四つに増えたり、畑の具合が良くなったりしたことからネムが畑を回るとありがたがられた。事前にモモンガが超位魔法でこの周辺の地理はいじっていたが、それを口に出すことはなかった。

 

 

 







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