9回目を迎えたこのシリーズもいよいよ佳境、趣向を変えて番外編である。今回はタイトルのカリフォルニアも関係ないし、ロックを考察することもない。アメリカ西海岸もバンドも好きな筆者だが、本当に好きなものは何かと尋ねられたら、こう即答する。
「東映ヤクザ映画です!」と。
本題に入る前に少し筆者自身の話をしたいので、いつもの如くだが、お付き合いいただきたい。とにかく筆者は東映が大好物であり、幼少のみぎりから地元にある東映直営の映画館に通いつめていた。時代はちょうどエネルギッシュで波乱に満ちた70年代が終わり、シラけたバブル騒ぎが始まる80年代に突入しようかという端境期。アニメ3本立て目当てで熱中した東映だったが、父親に付き合って観たヤクザ映画3本立てにも見事にハマった。もちろん東宝だって松竹だって大映だって好きなんだが、やはり男なら東映だ。不良性感度の高さ、バイオレンス、そしてお下劣と、男に必要な3本立てが揃っている。それから30年以上あの荒磯に叩きつける波飛沫の三角マークを追い続けているわけだが、趣味が高じて書籍執筆まで行き着くとは夢にも思わなかった。タイムマシンが発明されたら、ガキの自分に会いに行って告げてやりたい。
そんな筆者がつい最近書き上げた1冊が、盟友・杉作J太郎氏と共に編著した『東映実録バイオレンス浪漫アルバム』(徳間書店)(https://www.amazon.co.jp/~)だ。この"浪漫アルバム"はシリーズ6冊目。その1発目の『仁義なき戦い 浪漫アルバム』が'98年の刊行なので、今年でちょうど21年目となる。いやはや、まさか20年以上も続くとは思わなかった。生まれた子供が大学生に……という年月を東映に費やしたのだ。せっかくだから、この連載の場を借りて東映を語りたいと考えての番外編となった次第。もちろん、mysoundの媒体を使って語るからには、音楽がテーマだ。