ロックンロール並びにバンド周辺を題材に取り込んだ"ロック映画"シリーズも、いつの間にやら4回目に突入。パンクなアクション映画、メタルとホラー映画、ソウルミュージックと黒人搾取映画に続くのは、これまでロック映画としてほとんど扱われる機会の無かった禁断のジャンル…ロックバンドの出演する日本映画(邦画)について、極私的な観点でレビューを書き飛ばすことを試みたい。
しかし、我が国のロックの歴史もそれなり長い。普通にセレクトしていては文字数オーバー間違いないので、ここは筆者が個人的に追いかけているジャンル、即ち"1970年代の日本のロック映画"に的を絞ってみた。
70年代のロック映画と80年代の作品が決定的に違うのは、ビデオ文化がまだ発生していなかった点に尽きるだろう。プロモーションビデオ、もといPVが百花繚乱の時代を迎える以前は、レンタルといえば貸しレコード、庶民の娯楽はもっぱら映画館の3本立てプログラムで、家庭で観られる映画はもっぱら8ミリフィルムの類しかなかった。テレビの歌番組にもグループサウンズ(GS)の時代から様々なバンドが出演していたが、まだ一般家庭にビデオデッキが普及していないので、見逃したらそれっきりの時代である。その点、映画は期間中なら何度でも観られるし、入れ替え制も無い。何よりも現在と比べて入場料も安かった!娯楽の中心である映画作品は、全国津々浦々で公開される。人気のロックバンドの出演はPV以前のPVの役割を果たすと同時に、物語に華を添えるパターンは非常に多かったのである。70年代以前にも、日本のロック映画の素地としてGS映画が多数製作されていたが、これはロック映画というよりアイドル映画の近似ジャンルなので、今回のテーマからは敢えて除外した。