朝鮮日報

【コラム】法治の皮をかぶった「暴治」の時代

【コラム】法治の皮をかぶった「暴治」の時代

 国家法治の二本柱は、大法院(最高裁判所)と検察だ。その二本柱に暴力の矛先が向けられた。「民事訴訟事件で自分の主張が受け入れられなかった」と逆恨みした人物が、韓国大法院長(最高裁長官)が乗った車に向かって火炎瓶を投げた。まかり間違えば本当に大ごとになるところだった。その数日前にも、全国民主労働組合総連盟(民労総)組合員らが大検察庁(最高検察庁)の相談窓口を不法に占拠した。不法行為を捜査する国の最高責任者の検察総長が、違法デモ参加者を避けて裏口から退勤した。大法院長に向かって投げられた火炎瓶は暴力が法に対し本格的に挑み始めた兆しであり、検察総長の裏口からの退勤は既に一定の暴力が法の上に位置していることを示す象徴的な出来事となった。

 この世の中にはおのずと起こるものはない。大法院長と検察総長のこうした事例は、韓国社会でこれまで行われてきた暴力的行動の延長線上にある。ろうそくデモの成功は韓国社会を「法治」か「暴治」かの分かれ道に据えた。その分かれ道で、現政権は明確な法治の道を歩んでいかなかった。何よりも、法が政治的目的手段として利用されることが当たり前となってしまった。

 政権に目を付けられた人々に対する捜査・調査・侮辱的行為は、法を装った暴力と同じだ。テレビ局の取締役たちを追い出すために組合員たちが学校や教会にまで行って「やめろ」とデモを行い、監査院は法人カード1カ月数万ウォン(数千円)の明細を問題視している。これは法ではない。経済団体役員1人をたたいて「ほこり」を出し、告発したものだが、その真の罪状は大統領とは違う意見を口にしたためだった。大統領と違う意見を口にしたからと言って、このようにあら探しをされるのは法ではなく、暴力の手段だ。

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