精神的DVに当たる行為でも人によってそれをDVと捉えるかはそれぞれです。
無視をされても『まいっか』とあっけらかんとしている人もいれば、夜も眠れないくらい傷つく人もいます。
また、嫌な思いをしてもその原因となる出来事が精神的DVなのか分からずモヤモヤした気持ちで悩んでいる人もいます。
自分に起こった出来事が精神的DVなのか判断するにはポイントがあります。また、被害者の実体験を聞くことで具体例がわかるので、自分が『もしかしてDV?』と思った時にその具体例と重ねて考えることができます。
精神的DVに当たる行為
精神的DVに当たる行為には以下のようなものがあります。
・大声で怒鳴る
・バカにする
・脅迫する
・無視する
・物を投げたり壊したりして怖がらせる
・人のせいにする
・やりたくないことを人に押し付ける
・交友関係を制限する
これは精神的DVの一部でしかありませんが、家庭や職場などで多く見られる行為の代表的なものです。
この項目を見て『こんなことどうってことない』と思う人もいると思います。
しかし、この項目の具体例を知るときっと被害者の苦しみが伝わると思います。
精神的DVの具体例
『モラハラ』で検索するとよく見つかるエアコンの具体例があります。
妻がエアコンをつけずにいたら『なんでこんなに暑いのにつけないんだ!』と夫が怒る。
妻がエアコンをつけていたら『なんでつけるんだ!そんなに暑くないだろう!』と夫が怒る。
妻がエアコンをつけるか夫に聞いたら『そんなことも聞かなきゃわからないのか!』と夫が怒る。
夫は妻が何をしても気に入らないのです。妻は自分がどのような行動をしたらいいのか分からず何をするにもビクビクするようになります。これは精神的DVにつながります。
これは【人のせいにする】【脅迫する】に該当する具体例です。
夏に夫の友達が来たので3人でそうめんを食べることになりました。
夫に800g全部ゆでろと言われた妻は多いのではないかと思い、本当に全部茹でるのか夫に確認をしました。
それでも夫は茹でるように言いましたが茹で上がったそうめんを見て『こんなに茹でてどうするんだよ!?』と怒りました。
あなたが言ったのに…つぶやく妻に対し『言ってない。お前が勝手にやった』と責任を妻に押し付けさらに弁解すつ妻に対して『うるさい!いつまでもグダグダ言ってるとぶっ殺すぞ』と脅しました。
これは【無視する】【物を壊す】に該当する具体例です。
妻が頼まれた時間に夫を起こしに行きました。夫は起きられないと『俺が起きるまで起こさなかったお前が悪い』と妻を責めるので妻も必死です。しかし、夫は予定の時間に起きませんでした。
ようやく起きた夫は『起こせなくてごめんね』と謝る妻を完全に無視。さらにテーブルの上にあったコップを力任せに割って妻に見せつけました。この時妻は次は自分が殴られると覚悟したそうです。
これは【交友関係を制限する】に該当する具体例です。
ドライブデートをした帰り道、彼女が『明日は友達と遊ぶんだ』と言いました。すると彼が『は?聞いてないけど』と怒ります。
別に彼と会う約束をしてたわけではありません。戸惑っている彼女に対し彼は『俺は今日泊まると思ってたのに!今すぐ車止めろ!』と言って車から降りてしまいました。慌てた彼女が追いかけても無視。何度も何度も謝って友達との約束はキャンセルする、今夜は泊まるからという約束で彼は許してくれました。その後も友達と遊ぼうとすると彼が怒るので休みの日は彼と過ごすというのが暗黙の了解となり、彼女は自由な時間を失いました。
実は3つの精神的DVの具体例は私の実体験です。これ以外にもたくさん理不尽な扱いを受けてきました。
【大声で怒鳴る】【バカにする】というのは書いてある通りの行いですが、精神的DVの場合は度を超えています。
すぐ近くにいるのにこれでもかというくらいの大声で怒鳴ったり、人の失敗やコンプレックスを相手が泣くまで責めたり、ネタにして笑い者にしたりします。
【やりたくないことを人に押し付ける】というのは学校や職場で多く見られるのではないでしょうか。
具体例としては汚いトイレ掃除をやらせる、クレーム処理をさせる、会議で使う資料作りを丸投げして自分はさっさと退勤してしまうなどがあります。
日常に溢れる精神的DV!?
怒鳴られることも無視をされることも誰にでも経験のあることだと思います。『お風呂洗いしたくないから忙しいふりして旦那にやらせちゃおう』と企んだことのある妻も多いのでは?笑
この企みは【やりたくないことを人に押し付ける】に当てはまりますよね。
喧嘩してつい大声を出してしまったことも怒りが収まらなくて無視してしまったことも精神的DVの項目に当てはまりますね。
仕事で自分のミスを隠すため『〇〇さんに言われたから』と言ってしまったことはありませんか?
これも『人のせいにする』に当てはまるし、彼氏に他の女の子の連絡先を消させるのは【交友関係を制限する】に該当します。
こうして考えると自分の周りにはたくさんの精神的DVがあると思いませんか?
でも実はこれ、精神的DVではありません。では、どうなったら精神的DVという認識に変わるのでしょうか。
精神的DVか確かめる時のポイント
自分が受けている行為が精神的DVに当てはまるかは、その時自分がどのように感じるかで決まります。
1、言われたことやされたことに対して傷ついている
最初に書いた通り、無視をされても全く気にしない人もいれば、眠れなくなるほど傷つく人もいます。
全く傷ついていない人の場合は精神的DVにはなりません。しかし、無視されたことで不安になり生活に支障をきたしてしまった後者の場合は精神的DVに該当する可能性があります。
『キモイ』『ウザイ』などの暴言に対し『言わないで』と訴えても改善されない場合や、無視が継続的に行われ、『悲しい、辛い』と思う自分がいればそれは完全に精神的DVになります。
2、相手が怒った原因が自分にあると思う
精神的DVの被害者は加害者にダメ出しをされたりバカにされたりすることが当たり前で自信をなくしています。
もし、相手が怒り出した時に『私が悪い』『私がいたらないせいだ』と思ってしまうなら精神的DVの可能性があります。
相手の大事なものを壊してしまった、約束をすっぽかしてしまったなど明らかに自分が悪い場合は除き、理不尽に責められたりした時も自分が悪いと思ってしまうようであれば被害者になっている可能性が高いです。
3、体に異変が現れる
恋人や友達と派手な喧嘩をしたとしても自分の体に異常が現れることはないと思います。
しかし、精神的DVの場合は加害者に怒鳴られたり、無視をされたりすると恐怖で体が動かなくなったり震えたりします。私は過呼吸になりました。あなたをそこまで激しく追い詰めたり長時間お説教をしたりする場合は精神的DVにあたります。
その時の感情や症状以外にも以下のような考えが働く場合は精神的DVの被害にあっている可能性があります。
4、自分の考えが言えない
精神的DVの被害者は加害者に怒られないようにするため、いつも加害者の機嫌を伺って加害者が望む答えを出せるように調教されています。もし『どっちがいい?』と聞かれた時、素直に『こっちがいい!』と言えず『なんて言えば相手は怒らないだろう』『私はこっちがいいけど怒られたらどうしよう』とためらってしまう場合は被害者になっている可能性があります。
この症状はだんだんと外の世界に広がり、加害者だけでなく誰に対しても自分の素直な気持ちが言えなくなったり、機嫌を伺ったりしてしまうようになります。
5、実態を当たり前、恥ずかしいと思う
精神的DVの被害者は加害者に怒られることや脅されることが日常茶飯事なのでそれがおかしいという感覚が麻痺していきます。
『こんな当たり前のことを人に相談してもしょうがない』と思ったり、もしかしてDV?と気づくことができても『こんなこと恥ずかしくて人に言えない』と思ってしまいます。そのように思ってしまう場合は精神的DVの被害者になっている可能性が高いです。
日常に起こる出来事はその出来事を受けた側がどう思うかで精神的DVに該当するか、そうでないかが決まります。
また、精神的DVは日常で起こりやすいことだからこそ、当たり前だと思って被害に気づけないことが多いです。
自分が精神的DVにあっていると気づくためにもその時に抱いた感情を無視しないでくださいね。
まとめ
一つの行いに対して人が抱く感情はそれぞれ違います。
精神的DVも同じでどの行為を精神的DVと捉えるかは人によって変わってきます。苦痛を感じたり、不安や恐怖に襲われるような場合は精神的DVだといえるでしょう。
精神的DVは日常の中にたくさん潜んでいるためなかなか気づくことができませんが、具体例などを参考に自分の置かれている状況を客観的に見てみてください。
具体的な内容が分かると自分も同じかもしれないと気づくことができると思います。
こちらの記事もご覧下さい。⇒例えばこんなことも。精神的DVは普段の生活の中で起きている!