当日受付・待たせない診察で、患者のための医療を提供する、ゆうメンタルクリニック。 創設者であり理事長の安田雄一郎氏に、同クリニックの生い立ちとその担う役割、そして常に成長し続ける同クリニックの今後の展望について伺った。
「現代社会では、メンタルクリニックを必要とする方が年々増加しています。一方でそのニーズにクリニック数が追いつかず、つらさを抱えたまま診察まで何日も待たされる方も少なくありません。その状況を少しでも改善するために、患者さんが“つらいとき、すぐに”診療するクリニックをつくろう、と考えたのです」
そう語るのは、山手線沿線に6院を展開するゆうメンタルクリニック理事長の安田雄一郎氏だ。安田氏は複数の精神科病院勤務を経て、2008年に自身のクリニックを東京・上野に立ち上げた。開院当初の医師は安田氏1人、分院の設立は全く考えていなかったという。しかし、クリニックには予想以上に患者が来院したため、2診・3診と診療枠を拡大。池袋をはじめに次々と分院を開院し、現在は6院合わせて医師(非常勤含む)65名、心理士83名、スタッフ(看護師含む)105名という規模にまで成長した。
安田氏は同クリニックの開院以来、数々のユニークな取り組みを行ってきた。その筆頭に上げられるのが、同クリニックの名前を広く知らしめた『マンガで分かる心療内科』のweb連載だ。一般的にメンタルクリニックの患者は女性が多いが、自殺率は男性の方が高い。「男性は限界まで1人で抱えてしまい、どこかで爆発してしまう傾向が強い」と安田氏。そこで、「男性患者さんにも親しまれ、メンタルクリニックの受診のハードルを低くする」ために、マンガというツールを導入したのだ。
「webを利用すれば、クリニックに通えない方や遠方在住の患者さんにも、知識を得ていただくことが可能です」
視覚に訴えるマンガの効果は高く、「マンガを読んで来院した」「マンガの状態と自分の症状が一緒で、絵を見て良くわかった」という患者も多いという。
同クリニックのもう1つの大きな取り組みは、“つらいとき、すぐに”という理念のもと、「予約なしでも、その日のうちに診る」という診療体制の確立だ。休日や平日夜間22時までの診療を行う院もある。
「当クリニックでは1院につき常勤・非常勤・スポット勤務の方を合わせて7〜8名、少なくとも3名の医師を配置しています。多くの医師に来ていただいているおかげで、患者さんをすぐに診ることができ、かつ各医師には負担の少ない診療体制が可能となっているのです」
また、これらの患者目線の取り組みと同時に、安田氏は医師の働きやすい環境づくりにも注力している。たとえば、医師1人に熟練した医療秘書1人をつけ、電子カルテの操作等は秘書が担当する。
「“患者さんは診察時に医師と向き合って着席した場合、その医師の経験や実力に関係なく、前傾姿勢で話してくれる医師を名医だと判断する傾向がある”という、興味深い調査結果があるそうです。逆に、医師が電子カルテばかり見ていた、という患者さんの不満はよく耳にすることです。医療秘書がいれば、医師は煩雑な入力作業から解放されて、目の前の患者さんに集中することができます」
患者が多い時や、医師が休暇を取る場合には、他院から応援医師が来てサポート。その際、医療秘書が入力した電子カルテで診療方法や投薬情報等を共有できるため、代診もスムーズだ。患者は9割が神経症圏の若年層、入院が必要な場合は東京大学・慶應義塾大学・東京医科歯科大学等の大学病院に紹介し、また逆に大学病院からの紹介患者も来院するなど、病院との連携も強固。1人の医師に過剰な負担がかからない体制ができている。
残業は、予約なしの患者が集中した場合以外はほとんどなく、平素はプライベートな時間を大切にできる。もし残業が発生した場合でも、5分単位で残業代が加算される。昨今話題となる医師の“働き方”の面での配慮も充分なされているのだ。
「当クリニックでは医師の“独立性”も大切にしています」と、安田氏。1人の医師に診察室が1つ割り振られ、患者がいない時間でも継続して使用できる。医局はなく医師同士はフラットな関係で、学閥や年功序列も存在しない。聞きたいことがあれば大勢の医師と気軽に話や相談ができ、1人で集中したければ診察室にいればよい。診療についても、クリニックとしての基本方針はあるが、各医師に自由な判断を任せるという。
「当クリニックは自由で柔軟。患者さんや医師、スタッフの意見を積極的に取り入れ、改善した方が良い事項はその都度迅速にマニュアルを変更して共有しています。良い提案があれば取り入れていきますので、どんどんご発案ください」
「時代の変化による価値観の喪失、ネットでの他者との比較による自信喪失等によって、自分自身の存在意義に悩む方は増え続けています。今後、メンタルクリニックが果たす役割は、ますます大きくなっていくでしょう」と安田氏。
同クリニックでは、さらに多くのニーズに応えていくため、現在、大宮院・品川院の開院を進めており、それに伴い新たな医師・院長を募集している。院長職希望の場合、院長経験の有無や経営手腕は問わないという。現在の各院長も、出身大学・年齢・経歴は様々で、過去に院長経験がなかった医師がほとんどだ。
「各院には訓練を積んだ経験豊富な医療秘書やスタッフ、決裁権のあるベテラン事務長がおり、どのようなことでもご相談いただけます。“院長だから”と多大な負担や責任を負わせることはありません。万が一、患者さんとのトラブルがあれば、本部が対応していますので、院長も安心して診療に力を入れていただけます」
同クリニックでは、将来開業を考えている医師も歓迎、前もって相談すれば開業や経営のコツも学べる。勤務を経て自分のクリニックを開業した医師もいるという。多くの症例を診て学びたいという医師にとっても、1日1院につき4〜500名という患者数は好環境だ。独自に行っているアンケートで患者からの意見を吸い上げ、各医師本人にフィードバックしているため、「より良い医師としての成長」の場にもなっている。
「私が入職する医師にお願いすることは2つだけ。1つは、患者さんが多い時のスピーディな対応、そしてもう1つは、患者さんが“今日ここへ来て良かった”と喜んで帰ってくれる診療を行うこと。後はお任せしますので、診療経験と知識、人の話を聞く姿勢のある方に来ていただければと思います。見学や1日だけのスポット勤務も可能ですので、まずは気軽にクリニック内の空気を感じてください」
同クリニックは「常に成長しています」という安田氏。今後は、糖質制限による精神症状の改善や依存症治療等による患者の総合的なサポート、アドラー心理学による“気軽に心を強く・楽にする”事業の展開もその視野にある。
上野院での診察室風景。写真奥は電子カルテに入力する医療秘書。
正式名称 | 医療法人社団 上桜会 ゆうメンタルクリニック |
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募集科目 | 精、心内 |
給与 | 年収1,600万円〜2,000万円(税込)※入職後の実績評価。非常勤も同時募集。固定残業代は給与に含まない。試用期間あり。 |
業務内容 | 新規開設クリニック等における外来、新規開設クリニックの院長 |
経験 | 卒後3年以上 ※精神科経験1年以上必須 |
勤務日数 | 週4〜5日 |
当直 | なし |
勤務時間 | 平日10:00〜19:00、土曜日9:00〜18:30、 日曜日10:00〜18:00 ※希望者のみ平日22時まで夜診。 |
休日 | 週休2〜3日 ※平日のみ応相談。可能なら土曜日・日曜日いずれか勤務 |
待遇 | 各種社会保険完備、交通費実費支給(上限1日5,000円) |
勤務地 | 大宮院(新規開院予定):埼玉県大宮市、品川院(新規開院予定):東京都品川区、他都内6院(上野院、秋葉原院、新宿院、渋谷院、池袋西口院、池袋東口院)同時募集 |
交通 | 各勤務地の最寄り駅から徒歩5分以内 |
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2018年9月1日掲載
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