~ いじめの構造(2)-----暴走するファシスト  ~


 


    
 

 さて、木邑教授の石綿さんへのいじめを題材に、そのいじめの構造と、いじめを阻止できない 背景について考察したが、今度は、いじめによって木邑教授にもららされる効果について検証し てみたい。
 

 先に、木邑教授はストレス発散のために石綿さんを集中的にいじめていたと書いたが、特定の 人だけ集中的にいじめるという事例は、その他にも数多く経験した。その中には、ストレスのは け口にされただけとは言い難い件もあり、単なる性格の不一致という場合もある。しかし、これ らに共通するのは、いじめが結果的には教授に大きなメリットをもたらしているということであ る。
 

 木邑教授と石綿さんの件では、我々は全く手を出すことが出来なかったわけだが、これはまた 教授が強い権力を握ったことを意味している。あまりの残酷さに皆震え上がり、自分に火の粉が 降りかからぬように祈るのみで、誰一人として木邑教授に反抗できなかったのである。特に学生 は、教授に逆らえば就職を妨害されたり、さらに卒業を認めなかったりという卑劣な仕打ちさえ 受ける恐れがあるので、なおさら従順であった。一方、木邑教授は、誰も反抗しないので、ます ます自分が正しいと思いこむようになり、暴走がエスカレートしていくのである。全く、ヒトラ ー、ムッソリーニ、スターリンといったファシストの辿った経過そのものだ。こうなると、もう 暴走するファシストは誰も手を付けられなくなり、このファシストが定年になるまでその状況は 持続されるのである。
 

 こういう暴走を止められないことを、学生にも責任があるとするのは酷であろう。教授を諌め るということはまさに学生自身の命運を賭けることにもなるし、そのうえこういう場合、教授が 学生の諌めに応じるということは、まさに奇跡なのである。
 

 実は、私が木邑研に在籍した1年間に、大束さん(仮名)という修士課程2年の先輩も、課程 終了まであとわずか3ヶ月であるにもかかわらず、教授の横暴に耐えかねて中退し、コンピュー タープログラマーとなった。後述する同級生の鍛冶君(仮名)は、修士への進学のために入学金 を払いながら、進学を断念し、雑誌記者となった。これらの学生は、それまで学部や大学院でバ イオサイエンスで力を発揮すべく勉学に励んできた訳だが、退学によって長年にわたるその努力 は水泡に帰すことになった。そのうえ、一般社会では、落伍者の烙印を押されることになってし まうのである。なぜなら、一般的に、「大学教授」は、高い教養と素晴らしい人格を合わせ持っ た人物と認識されているので、学生の中退は、学生側に問題があると思われてしまうのである。 世間の人々は、よもや大学教授ともあろう者が、学生に「たかだか600万くらい......」なんて言お うとは想像だに出来ないであろう。こういう背景があるから、例えば、会社の面接時に、中退の 理由として教授の非道を訴えることがナンセンスであることくらい、学生だって認識しているの だ。しかし、教授の非道を胸に秘めて口外しないため、かえって社会に誤解を与える結果となっ てしまうのである。これら全て、元凶は木邑教授であることは明白なのだが、みな結局学生が貧 乏くじを引いている。私は社会に訴えたい。「もっと現実を見抜く目を持ってください!!」。
 

 一方、学生たちの貧乏くじに対し、木邑教授は、なんらのペナルティも科せられていない。学 部長、学科長をはじめ、教授の暴走をくい止められる人間がいないからだ。だからますます増長 する。これが、悲しい現実なのである。このことは、まさに●と私の間に起こった出来事と一致 している。
 

 今こそ、ファシスト教授の評価を行い、それを排除するための完全な第三者による機関・組織 が必要なのではないかと感じている。私は今後も、「大学教授」の非道の実例を赤裸々に紹介し、 世間の誤解を解くように努力する決意である。
 

(●=基生研生殖研究部門N教授)