大熱戦の末、25才と26才の若手コンビ、霜降り明星が優勝した「M-1グランプリ2018」。
その陰で「3年連続、僅差で2位」という結果に終わった、和牛。
今回の決勝、たった1票の差で優勝を逃しました。
憎らしい水田のボケと、振り回されるツッコミの川西。
優勝候補と言われながら挑んだ今回のM-1も、実力は十分に発揮していました。
それだけに、彼らの悔しさ、心境はどうだったのか。
M-1グランプリ2018の直後にライブ配信された「世界最速大反省会」と「M-1打ち上げ」の内容から、和牛のコメントを書き起こしました。
M-1直後の2つの番組
敗者を集めて反省会と打ち上げ
M-1グランプリ2018の放送直後、2つの番組がライブ配信されました。
どちらもファイナリストを全員集めてのトーク番組です。
22:00からGYAOにて「ファイナリスト全員集合! 世界最速大反省会」。
司会に陣内智則、ゲストに前回王者のとろサーモンの二人。放送直後で、ひな壇トークだったので、少々殺伐とした空気で進行。
日付変わって0:00からYoutubeにて「建前ゼロ! ストロングな本音トーク M-1打ち上げ」。
こちらは舞台を居酒屋に移し、司会は千鳥の二人。ストロングゼロを飲みながらのまったりトークでした。
時系列は逆になりますが、先に「M-1打ち上げ」での、千鳥と和牛のトークを紹介します。
ノブ「何も悪くないから」
迎える千鳥も
ファイナリストを一組ずつ千鳥のいるテーブルに呼んでのトークなのですが、千鳥の二人は和牛を呼ぶ順番になって少し困った表情を見せます。
大悟「第一声めがわからない」
ノブ「1時間しゃべろう?」
大悟「3年連続2位」
ノブ「……いやーすごかった。和牛、ちょっとごめん。ラスト一仕事してくれ」
ノブが和牛の二人を呼ぶ。
拍手で迎えられる和牛の二人。水田も川西も、その表情は笑顔です。
ノブが優勝できると確信したネタ
和牛の二人が、千鳥のいるテーブルに着くと、ノブがしみじみと和牛を讃えます。
水田・川西(笑)
大悟「おもろかった」
水田「いやーありがとうございます」
川西「めちゃめちゃうれしいです」
ノブ「めちゃくちゃおもしろかった」
水田「うれしいです」
川西「最高です、ありがとうございます」
ノブ「最高。ルミネでゾンビのネタ見て、絶対行くわと思って。M-1でやれよやれよと思って、やってくれて。完璧やな、って。しかも順番もラスト引いて……完っ璧やったな」
水田「ありがとうございます」
川西「やりきりました」
完璧だったのに、2位
ノブは、1本めのネタ「ゾンビ」をすでに劇場で見ており、ネタの良さはお墨付きだったようです。本番での出来も絶賛。しかし結果は2位でした。
ノブ「この気持ちがわかるのは笑い飯だけ」
水田「(千鳥も)THE MANZAIで2位3位の連続とかあったじゃないですか」
ノブ「違う違う違う違う」
大悟「2位を、3回連続やろ? これは……!」
ノブ「俺ら優勝候補なんて言われたことなかったから。ホンマにかっこいい」
大悟「3年連続、1位にめちゃくちゃ近い2位を獲ってるわけやろ?」
水田「いやあ……なかなか大変ですね」
川西「……難しい。ほんと難しいなあって思います」
ノブ「難しないねん。何も悪くないから。パーフェクトなことしてんのよ。そこにたまたま超新星が現れるのよ。だからなんか、普段ネコ蹴ったりしてる?」
川西(笑)
水田「そんなん絶対しない(笑)」
川西「しないけど、やっぱり負けた瞬間は、普段の行い見返しますよ」
ノブ(笑)
大悟「順番で最後を引くのも、おまえらが持ってるM-1のアレでもあるし……」
川西「そうですね、どんと来いという気持ちでいましたけども」
ノブが見ても、完璧な漫才だった。
10番目の出番というプレッシャーも跳ねのけた。
それでも、勝てなかった和牛。
大悟「あそこをこうすれば、は無いよ」
たらればは、ない
大悟も感想を述べます。
川西「ほんとですか」
大悟「でもそのあとに『どっち?』ってわからんようなやつが出てきちゃうんだよねえ」
ノブ「ここはもう計算でけへんやん。霜降りが大爆発して」
川西「いやーもうウケてましたし」
ノブ「もちろんおもしろかったし。ここはもう、頭使いようのないところ」
水田「そうですね、それ考えたらだめですね」
大悟「あそこをこうすれば、は無いよ」
川西「ないですね……」
水田「自分らがやりたいやつやるだけですね」
あれをこうしておけば、ということを考えても意味が無い。
自分たちの全力を見せるだけだ、という思いは千鳥も和牛も同じのようです。
水田「ああ〜そうですね、僕らは重いくらいのほうがね」
ノブ「お祭り賞レースより、な」
大悟「狙い通りやったな」
ノブ「だからほんと、めちゃくちゃ最高」
「ゾンビ」のネタは、冒頭少し重い空気で始まります。審査員のオール巨人も「最初は『大丈夫か?』って思った」とコメントしたほどです。しかしそれは計算の内。ノブが「お祭り賞レース」と呼ぶのは、勢いがあって、ボケの手数が多く、賑やかなネタのことでしょう。和牛の持ち味はそこではありません。自分たちの良さを貫き、狙いもばっちりハマった漫才だったのです。
ノブ「東野圭吾なのよ」
来年も再チャレンジするのか
水田「12年目なんで、15年ルールのままなら、あと3回出られます」
大悟「みんな、あと3回見たいんやと思うわ」
水田「ホンマですか」
大悟「和牛はイヤやろうけど」
水田「もうエエわ、ってならないですか」
大悟「なってない。1本でも『あれ?』っていうネタでもあれば違うけど、ずっとおもろいのやってるから」
ノブ「これって、毎年ベストセラー出してるのと一緒なのよ。毎年2冊! 東野圭吾なのよ、おまえらのすごさは」
一同(笑)
水田「あの人一番売れた年とか無いんですかね?(笑)」
川西「あの人はきっと賞獲ってますよ(笑)」
ノブ「来年も15年ルールだったら、出れるな?」
水田「はい、15年以内なら」
ノブ「10年ルールに変わったら戻っちゃったら……」
川西「出られないです」
ノブ「これは15年ルールで行こう! 和牛はしんどいだろうけど」
大悟「でもノブは決めれんし」
水田「審査員になってくれたら、ねえ」
ノブ「できるか! 全部100点ー! 100点ー!100点ー!ってするわ(笑)」
川西「外れてください(笑)」
和牛は、毎年新しいネタでM-1に挑戦しています。2017年のM-1グランプリでは、「予選から決勝まで全部違うネタ」という離れ業までやるほどのこだわり。さらにM-1で披露したネタはどれもすべらない。芸人の千鳥だからこそ、どれだけすごいことをやっているのか骨身にしみるのでしょう。
負けて語ることなんて……
ずっと笑顔で話す水田と川西ですが、本当の心境は……。
大悟「お見事!」
川西「うれしいです」
大悟「ワシらも、『おもろかった』と『おつかれさん』しか言いようがないわ」
ノブ「いやーもう天才」
川西「僕らも、さっき待ってるとき、何しゃべろうって考えたけど出なかったんで(笑)」
水田「さっきのGYAOの配信も早よ終わったらええにな、って(笑)」
大悟「しつこいやろー?」
ノブ「M-1は、GYAOとサントリーはしつこいから(笑)」
水田「負けた人間に何をそんなに……」
ノブ「もちろん、このコンテンツがないと、M-1が成り立たないから」
川西「そうですよね」
大悟「負けたやつは屁かゲボしか出んから」
ノブ「ギリギリしゃべれてる?」
水田「ゲボが屁みたいに出る可能性あります」
一同(笑)
屁ゲボが出そうなくらい、きつい。
みんな、また見たい
千鳥が二人を気遣います。
水田「まあ、おもしろいネタは作りたいですけどね」
川西「これからもおもしろいネタは作っていくんで」
大悟「またみんな好きになってくって」
ノブ「俺らは、ずっとネタは作るわけやから。一生」
川西「はい、もちろん」
ノブ「俺らも今年は作ったし。いいネタができたら、ぜひ来年」
水田「がんばります」
ノブ「いやもう、見たい。ホンマ見たい。ありがとうございました!」
水田・川西「ありがとうございました!」
気持ちをわかってくれる先輩
千鳥が拍手して、一旦トークを締めようとしたとき、水田が声をかけます。
ノブ「言うてくれてありがとな」
水田「気持ちわかってくれる人が来てくれるの、うれしいです。千鳥さんイヤでしょうけど」
大悟「最下位2回獲っとるからな」
一同(笑)
ノブ「何も偉そうなこと言えん」
水田「すーっごい気持ちわかってくれる」
ノブ「気持ちはね」
水田「千鳥さんでよかったです」
ノブ「ありがとな」
最後まで笑顔のまま、水田と川西は席を離れました。
水田「生まれ変わって、相方と」
最後に、M-1グランプリ直後の「世界最速大反省会」での、水田のコメントを紹介します。
番組内では「今回のM-1の感想を、漢字一文字で表してください」というお題がありました。
ジャルジャルは「亜」、ミキは「他」などを書く中、和牛の水田が選んだ漢字は「輪」でした。
「輪」の意味とは
司会の陣内が、意味を尋ねると……。
完璧でも勝てないM-1
全力を尽くして、完璧な漫才を披露し、会場を沸かせた。先輩芸人も感心するほどの出来。しかしそれでも、最後に1票足りなかった。
たった、1票。
どうすればその1票が自分のものになるのか、誰も教えてはくれません。
それでも挑戦する芸人たち
M-1の和牛を再び見たい
生まれ変わらないと優勝は無理、と思っていても、きっと和牛はもう一度M-1グランプリに挑戦するでしょう。いや、挑戦してほしい。「3年連続2位」という凄まじく苦しい体験を乗り越えて、再び戦う姿を見たい。
2019年のM-1グランプリでも、和牛の漫才が見られることを期待しています!
和牛・水田のTwitterより
最後に、水田のM-1グランプリ終了直後のツイートを紹介します。
「#地道にやるのみ」