計六回の連載に対しご意見、ご感想を寄せていただきました。深く感謝致します。
反応には共通項がありました。それは今の中国の状況に対する新鮮な驚きと、冷静な見方です。
「中国の変化が恐ろしく早いということは、成功から失敗への変化も早いとみて、じっくり、冷静に現状を観察することも大事だと思った」(千葉県、男性)。連載で取り上げた急激なキャッシュレス化などに驚きながらも、その行く末もしっかり見据える必要があるとの指摘です。
ダイナミックに変貌する隣国と向き合う上で実際に観察することの大切さを改めて痛感しました。
IT企業が蓄積した情報を使って渋滞緩和など、行政サービスに一役買っているとの記事について「良い側面が評価されていけば、中国政府もおおらかになっていくのではないかと楽観する」(栃木県、女性)との指摘もありました。
中国側は、普通なら隠したがる最新技術を自慢げにみせました。指摘のように、評価されたがっている雰囲気が強く感じられました。日本とは異質ですが、中国の意外な側面でもありました。
取材直前の十月四日、ペンス米副大統領が行った対中演説が世界的に話題となりました。
米国は中国が国際社会に入ることを助けてきた。だが中国は今、米国の民主主義や安全保障を脅かしている。AIなどの技術を盗み、周辺国には借金漬け外交を押しつけている。中国に対し米国は断固とした態度で臨む。
米国は中国への対決姿勢を鮮明にしました。ニューヨーク・タイムズが「新冷戦への号砲」と伝えるなど、米国が対中政策を融和から対立へと劇的転換したとの見方が広まりました。
しかし「どちらにも肩入れしないことが大事。うまく立ち回って漁夫の利を得ようとせず、嫌悪感を抱かれるのを避けるのも大事」(静岡県、男性)といった意見も。両国にこびず落ち着いて対処せよとの提案です。
同時に「ITを中心に据えた経済は矛盾をすべて押し流す迫力でまい進する。わが国の今後は、その対応は、と気になる」(愛知県、男性)との声もありました。
情勢を「米中冷戦だ」と単純にとらえず、とりわけ情報が取りにくい隣国の最新状況を見極め、分析し、主張を続ける。これが読者が新聞に求めている役割だと改めて肝に銘じました。
この記事を印刷する