いきなりですが、TBSのアナウンサー安東弘樹さんをご存知でしょうか? これまで数々の番組に出演され、現在は「ひるおび!」を担当されていらっしゃいますが、そんなお茶の間の顔の安東アナ、実はかなりのクルマ好き!なのです。
簡単に紹介させていただきますと、これまで所有したおクルマは、19歳で免許を取得され47歳の現在に至るまで、なんと39台!これは、かなり尊敬に値する愛すべき“変態”レベルです。そして、成城大学のご出身でテレビ局のアナウンサーと来れば、さぞかし“セレブ”と誰もがイメージしてしまいますが、実は“ビンボー”という思いがけないキーワードが存在しておりまして、幼少期にご苦労された生い立ちが、この恐ろしいほどのクルマ好きを形成したルーツとなっていました。失礼かもしれませんが、テレビの向こうのお顔が、クルマを通して非常に身近に感じてしまったのですが、そんなアンディこと安東アナにインタビュー!
なかなか知ることのないご幼少の頃のストーリー、伺って参りました。それでは、どうぞ!
―――――こんなに見事な変態になった理由、きっと小さい頃に形成されたと思うのですが、どのようなお子さまでしたか?
安東:「ちっちゃい頃から、おもちゃはクルマ以外欲しがらない子どもでした。ウルトラマンや仮面ライダーの変身のアイテムなどのおもちゃにも目もくれず、興味があるのはドラマに出てくる代々の隊のクルマばかり。例えば、ウルトラセブンに出て来るウルトラ警備隊の“ポインター”なんか欲しかったですね。ただ、当時は売っていなかったのか、あっても高価だったのかもしれません。とにかくクルマの方が好きでした。クルマ好きの父の影響を受けたのだと思います」
―――――では、そのお父様は、どのような方だったのでしょうか?
安東:「父は、上智大学のオーケストラの創始者の一人でした。しかし、卒業して就職したにも関わらず音楽大学に行きたいという想いを持っていて、母と結婚して僕も産まれたというのに、その願いを叶えるべく仕事を辞め、いきなり学生になってしまったんです。広島の音楽大学に入る為、家族で横浜から広島へ引っ越しをしました。父は、奨学金をもらって大学に通っていたのですが、学生ですからお金がなく、家族は6畳とダイニングくらいしかない汚いアパートで暮らしていました。僕が5歳の時、父が大学を卒業したのですが、次に父はスペインへ留学をしました」
―――――で、スペインへ行っちゃったんですか?
安東:「はい。当初から予定していた留学だったようで、弟と両親と家族4人でスペインへ行きました。スペインでの記憶は、たまごかけご飯とカップラーメン。母の実家にサポートしてもらっていて日本から食糧を送ってもらっていたのですが、そんなお金のない頃に、父はなぜかクルマを持っていましてね。ルノーのゴルディーニ(スペインの大衆車)に乗っていました。これがその時の写真です。クルマが少しですが写っています。しかし、さすがスペイン、まるごとクルマが盗まれてしまいました。当時住んでいたアパートの目の前に停めていたのですが、積載車で持って行かれたそうです…。
当時、スペインの生活で記憶に残っているのは、子ども心に、親以外に誰も頼る人のいない異国の地で、兄弟2人だけになったら弟をどうやって養って行こうかと真剣に考えていたことですね。ある日、夜、ふと目覚めたら両親が家に居なかったことがあったのですが、もしこのまま両親が帰って来なかったら、スペイン人の知り合いの夫婦について行って養ってもらおうかなとか、物乞いでもしたらお金がもらえるのかなとか、スゴイことを常に考えていました。まだ5歳の頃です。長男としての責任感と、子どもですから知らない土地での生活は、やはりさみしかったのだと思います。弟は、僕がそんな事を考えていたなんて夢にも思っていなかったでしょうけど。
そんなまだ5歳の時の自分の心の支えは、おもちゃのミニクーパーでした。モンテカルロ仕様のミニカーで、タイヤもゴム、ドアもボンネットもリアハッチも開くしサスペンションもストロークするような仕様で、父が趣味で買ったものでしたが家宝のように大事にしていました。おもちゃは滅多に買ってもらえなかったので、とてもモノを大切にするタイプです。例えば、ドアをそっと開けたり、少しでもドアがズレたりするのも嫌で、ステッカーを剥がすなどはもってのほか、ディテールを絶対壊したくないんですよね。弟は僕と全く正反対で、粉々にして遊び尽くすタイプでした。この小さい頃の成長過程で、ちゃんとしないとこれから先は生きていけないのでは?と思っていました。きっと何か脅迫観念があったのでしょう。とても慎重な性格になりましたね」
―――――スペイン時代を経て、日本へはいつお戻りになったのでしょうか?
安東:「スペイン滞在2年で小学校にあがる年齢になりましたので、帰国しました。日本に戻ってからは、戦車のプラモデル等も好きになりました。基本的にエンジンに執着があって、スピードをコントロールできるという“カタルシス”というのでしょうか、他の遊びには絶対にない“カタルシス”。自分で動かすことの素晴らしさに、魅せられたんでしょうね」
―――――では、少し飛びまして、免許を取得されたのはいつでしょう?
安東:「18歳で取りたかったのですが、スペインから帰国した際に両親が離婚してしまいお金がなかったので少し遅れました。当時は、親が出してくれる家庭も多かったと思うのですが、徹夜でバイトをして20万くらい貯め19歳で取得しました。当初から、一番安い「合宿免許」に決めていましたね。短期間で集中して取れますので。山形県の鶴岡という所で合宿に参加したのですが、クルマを運転する一番初めに、“運行前点検”ってあるじゃないですか? あれを、自分は鼻歌まじりでやっていたそうなんです。当時の教官で、何でもはっきり言ってくださるので自分は大好きな方がいたのですが、周囲からは“鬼教官”と恐れられていた方に、“こんなに楽しそうに運行前点検をしている子は、30年この仕事をしているけれども初めてだよ”と言われました。クルマに触れられると思うだけで幸せでしたので、鼻歌も出て当たり前でしたね」
―――――教習所での運転技術の取得はいかがでしたか?
安東:「子どもの頃から、バスに乗るといつも運転手さんのすぐ後ろの席に座ったり、満員の時は運転席のすぐ近くに立っていたのですが、運転手さんのダブルクラッチを観察していましたね。父にも運転を教わったことがあります。その経験があるので、全く苦労はしませんでしたね」
―――――祝!免許取得!の際はどんなでしたか?
安東:「クルマへの思い入れは人一倍強いので、免許を手にした時は本当にうれしかったですね。この為に自分が生まれてきた!とさえ思いました(笑)。友人のジェミニを運転させてもらったのを覚えています」
―――――まさか、クルマを買ってしまったとか?
安東:「当時、奨学金を3つもらっていまして、そしてアルバイト2つを掛け持ちしていましたので、お金貯めて買いました」
熱く語る安東アナ、お話は止まりません。幼少期は、こちらが申し訳なくなるくらい、ビンボー、お金がない…を連発。意外なお話の展開となりました。
さて次回ですが、同じ時代背景を生きて来た私としては、初めて購入されたクルマは?の質問への回答が非常に懐かしかったですね。あったね!という感じでした。
みなさま、安東アナの初めての愛車は何だったのか?妄想してお待ちください。ちなみに国産車です。残念ながらトヨタ車ではなかったですが…(笑)。続く!
次回は2015年3月31日(火)に公開。どうぞお楽しみに!
続きはこちら > 第2回「アルバイトと奨学金で念願のマイカーをゲット!」
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ご参考サイト
[ガズー編集部]
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