発売日:1994年1月26日   発売元:タイトー   ジャンル:ACT
値段:9600円   おすすめ度:4(衝撃のエンディングまでも…)
 かつて、数多くある国の中でもひときわ栄華を誇っていた、とある某大国があった。
政治や治安は安定し、経済もまた豊かであったこの国は、特に一大事件もなく人々は平和に暮らしていた。
ところがそんな大国も、この頃には国家の存亡に関わる重大な危機に直面していた。
ある人物が、この国の富と権力を手中に収め、やがて国の独裁をもくろんでいたためであった。
 その名はバングラー、宇宙人風の顔をした正体不明の人物で、どういう手段を講じたかはわかっていないが彼はいつのまにかこの国の大統領の座にありつき、強力な軍隊の力をもって国民を制圧していった。
人々は、バングラーによって軍事的に抑えられることはなかったものの、代わりに彼の思想を洗脳させられ考える自由さえ失ってしまった。
バングラーの意のままに操られた社会は荒廃し、かつての経済大国は見る影も形もないまま、闇に包まれようとしていた。
 しかし、国全体がそういった状況にあえいでいても、決して全ての光が消えたのではなかった。
地下に潜り、バングラー政権に対し絶えず抵抗を続けてきた組織が存在していたからであった。
それは革命軍、彼らはマルクという名の男のもとに結集し、起死回生を賭けた作戦を実行し、将来元の豊かで平和な国に戻そうとしていた。
その作戦とは、3体のアンドロイドによるバングラーの暗殺であり、バングラーの軍隊と対等に渡り合える強力なマシンの完成には長い年月を要したが、何とか革命軍の戦力になりえるだけの戦闘力は身につけられた。
 ところが、テスト段階で一刻を争う事態となった。バングラーが、総力をあげて反乱者狩りを始めたからである。
バングラー軍による総攻撃を受けた革命軍は、丸腰で軍備が整わないこともあってか、各地で敗走を繰り返した。
さらに一般の兵士に加えて、ロボット、忍者軍団、生物兵器などの圧倒的戦力の前に、革命軍はもはやなす術もなかった。
 革命軍の首脳部は苦肉の策として、テストを行われていないアンドロイド達に指令を与えることにした。
『政府軍を粉砕し、バングラーを暗殺せよ。』、これはバングラーに立ち向かう最後の希望として彼らを選んだのだ。
しかし3人のアンドロイドは、思考回路の制御がまだ未完全であったため、不測の事態に対処できないという危険性もはらんでいた。
いずれにせよ、革命軍最後の反撃が開始されたが、果たして彼らはバングラーを倒し平和な国家を取り戻すことができるのだろうか?
ザ・ニンジャウォーリアーズアゲイン
MISSION ACCOMPLISHED

タイトーの名作をナツメでリメイク

 タイトーが送るアクションの名作の1つなのだが、知名度や人気はというと他のタイトーの名作よりやや少ないようで、タイトーの往年のAC作品が数多く移植されている『タイトーメモリーズ』シリーズには、2008年現在収録されていない。
もちろん、このゲームならではの特徴は色々あり、初代『ダライアス』同様の3画面ワイド苣体を筆頭に、特定部分にダメージを食らうと中のメカ部分が見えること、敵味方とも個性的なデザインとエンディングにおけるプレイヤー側の衝撃的結末などがある。
また、ガードや回転ジャンプ中の無敵といったアクションもあり、これも評価が高かった。
BGMについても、タイトー内部のサウンドチームZUNTATAが手がけたあたりも評価が高く、特に途中から流れる三味線には多くのファンを魅了している。
 さらに、1991年のゲーメスト増刊におけるザ・ベストゲームのベスト60においても、33位という好位置についていることもあって、決して人気や知名度は悪いわけではなかった。
にもかかわらず、これだけ特徴のある要素をそろえていて、同雑誌上でBGMに対する賞を受賞しながら、なぜタイトーを代表する名作の1つになれなかったのか。
理由は簡単、ゲームそのものに対する出来、すなわち中身が足りなかったのだ。
確かに、3画面ワイドや印象に残るBGMといった外見こそすばらしかったが、肝心のゲーム内容は普通の奥行きのないアクションで、群がる敵を倒し(または逃げる)ながら進んでいってステージの最後にいるボスを倒してクリアとなっている。
つまるところ、外見がなければ平凡なアクションに終始していた可能性が大きく、ゲームの人気による苣体の入れ替えが激しいAC界において、このゲームは平凡に近いアクションゲームなのに3画面ワイドの苣体はゲーセンにとって邪魔だったらしく、早い時期から撤去されてしまった。
 それでも高い人気があったことに変わりはなく、家庭用ではPCエンジンやメガCDに移植された。
中でもメガCDは、CDという大容量であることを生かして再現はもちろん、アレンジBGMでのプレイや本編と平行したオリジナルストーリー(ゲームではない)を収録している。
再現については、ワイド画面風(画面上下を切っている)にしてあたかもAC版にある3画面ワイドを、雰囲気としてやってのけている。
しかも、おまけとしてBGMを収録したシングルCDも付属していて、当時AC版をプレイしていたファンにとってまさに喜ぶべき内容だった。

 さて、メガCD版登場(1993年)の翌年に登場したSFC版はどうだったか。
AC版登場から6年は経過しているものの、ゲームによってはいまだ数年前の作品を完全移植することが出来ず、コナミの『グラディウスⅢ』にしてもAC版登場から翌年に発売したのはいいが、ハードの制約上からオリジナル要素を次々と導入している。
ニンジャウォーリアーズのSFC版もまた、ハードがAC版の内容に追いつかなかったために(容量も原因ある)、いろいろとアレンジを加えながらの発売となっている。
容量こそ12Mとなかなか大きいが、ゲームを詰め込むものがCDではなくカセットだったため、SFCで完全移植を達成するにはまだ無理があったのだろう。
 そもそも、発売こそタイトーだが開発元がナツメになっているので、制約を加えながらのAC移植を求めるのはある意味無理なのは当然。
ちなみに、開発がナツメなのは同じタイトーの『奇々怪界』のSFC版の開発を手がけた縁なのだろう(事実SFC版奇々怪界の続編の開発も同じナツメ)。
タイトーがナツメに開発を任せたあたり、昔(1990年発売『KAGE』、『東方見文録』にあらず)から培ってきた硬派アクションに期待を寄せていたことも考え、同時にその性質がAC版以上のものになれることも信じていたのかもしれない。
 そしてそれは、タイトーの思惑通りもう1つのニンジャウォーリアーズとして生まれ変わった、その名を『ニンジャウォーリアーズアゲイン』。
『アゲイン』というタイトル上、前述したように色々とアレンジを加えていて、AC版と共通しているのは外見とストーリーぐらいしかない。
大胆なアレンジを一言で表すのならば、ベルトアクションへの転換というべきだが、AC版をベースとしている以上奥行きのないベルとアクションになっている。
ベルトアクションの元祖といわれる『ファイナルファイト』の大ヒットがあったからこそ、このゲームは普通のアクションから脱皮したといえる。
 次に、AC版にあった2人同時プレイはなくなった代わりに、1Pのクノイチと2Pのニンジャの性能を改変しつつ、新たにオリジナルキャラのカマイタチを登場、これによりキャラクターが選択制となって、1つのゲームに3パターンの面白さも加わることになった。
3人のキャラの中で、クノイチはリーチこそ短いがほぼ平均的な能力で、ニンジャはパワーもあるしリーチも長いもののスピードと動作が鈍くジャンプもほとんど出来ないパワータイプ、カマイタチはスピードがある代わりにクセが強い上級者向け。
3人に共通していることは、攻撃しつつボタン入力を組み合わせることでお手軽かつ強力な連続技を繰り出し、相手を投げ飛ばして他の敵もろともなぎ倒すということだ。
カマイタチは、投げこそできるもそれは1回攻撃しなければならないので、一撃で倒せる敵には効果がなく、通常攻撃の一部にも他のキャラより威力がそれが上級者向けと呼ばれるゆえんになっている(慣れればどうということはないが)。
 AC版にあった、ガードや回転ジャンプもしっかり再現している一方で、先の連続技もそうだがこのゲームならではのアクションも登場している。
それがブラスターとボンバーであり、どちらも画面下のブラスターゲージを消費して使うもの。
前者が、ゲージを4分の1減らして連続技の際に十字キーの上を押して出すもので、後者がXボタンを押して画面全体に大ダメージを与えるもの、早い話がゲージ全て消費するメガクラッシュだ。
満タンにならなければ、どちらも使えないという欠点はあるものの、敵をまとめて一網打尽に出来るという魅力と爽快は大きい。

 実はこのゲーム、味方のみならず敵もガードをしてくるので(他のベルトアクションにもガードする敵はいた)、それを無効にする攻撃が充実しているのはうれしい。
しかも、自動的に移動しても回復するしその回復のスピードも早いので、制限時間の長さと合わせて気楽に敵を叩きのめすことが出来る。
さらに、物を投げたりその中には全体攻撃できるガスボンベもあるので、ベルトアクションでおなじみの動作がますます増えている。
おまけに、一部のステージに背景が攻撃してくることもあり、中でも4ステージのボス戦ではレーザーが降ってくるので、AC版の内容は微塵も感じられないように見える。
 それでも、まとめてなぎ倒せる快感は前述した通りで、一撃で倒せるナイフアーミーはその代表格であり、色違いのものも含めてわらわらと出てきてすぐやられるあたりは、哀愁も感じさせてくれる一方でそのやられっぷりによって知名度が高くなっている。
ただし、エリアによっては先に進まないとナイフアーミーが際限なく出てくるので、そのあたりは逃げてしまったほうがいいのだが(時間の無駄になるし)。
そのあたりも、しっかりAC版から受け継がれているのはうれしく、それゆえに2人同時プレイが出来ないのはなんとも悔しい思いではあるまいか。
 BGMもまた、ナツメの岩月博之による乗りに乗っていたものに仕上がり、タイトーのものと比べれば質的にナツメに軍配が上がる。
和風サウンドはなくなってしまったが、代わりにバングラーの忍者軍団とステージ5の途中にある和風の部屋で補っているのはうれしい。
SEも、ナツメらしさというよりナツメのゲームにほぼ必ずといっていいほど出ているもので、事実その年の『パワーレンジャー』にもそのSEが出ている。
なお、敵味方攻撃の際に緑色の何かが出ているがおそらく血であり、表現の規制があるのはともかくとしてロボットにも緑色の血が出ているのはご愛嬌か(エネルギーがもれたと思えばいいが)。
 このように、AC版の共通点が少ないアレンジ版だが、アレンジ版にしては上出来のものだ。
AC版の手裏剣がないものの、代わりとなるアイテムと敵を投げられるので、投げて敵を倒す爽快感はアレンジ版のほうが格段に上になっている。
というより、それをしなければ倒せないボスがいるわけだが、爽快感に1つだけ必須の要素をひそかに混ぜ込んだあたりも、ナツメの硬派ゲームらしさがうかがえる。
難易度も、敵の配置とその敵の強さ違いぐらいで、慣れればどの難易度もクリアできるだろう。
 そして、アレンジというだけあってストーリーは全く変化がなく、独裁者バングラーを倒した後の衝撃的結末、すなわち大統領官邸もろとも体内に内蔵されていた爆弾で自爆も健在だ。
アレンジだから、この展開も生きて革命軍のアジトに戻ってくれればいいのにと思う人もいるだろうが、最後の展開が変わらないのはエンディングにそういった設定が加えられていたため。
つまり、自爆装置が内蔵されていた理由は、彼らの思考回路に不安定さを持っていたばかりにそれを恐れた(バングラー軍ではなく革命軍に襲い掛かる危険があったのだろう)革命軍によって内蔵されたためで、ある意味ロボット特有の悲劇的結末といえる。
 しかも、これだけでは終わらないのがアレンジ版の面白さであり恐ろしさでもあり、政権のリーダーとなったマルクの強力なアンドロイドによる軍隊は、欠点だった思考回路の数年かけての強化により、前政権のものより強力になっていく。
平和になったとはいえ、かつての経済大国から軍事大国に変貌しつつあり、その国の現状を見た国民のつぶやき『歴史は繰り返す』は、AC版以上の衝撃をもたらしている。
だが、続編をにおわせる内容はあれど、2008年現在続編がないのは残念だ。

 私はAC版・アレンジ版共に、登場間もないころもしくは直前に存在を少しばかり知っていた。
AC版は、偶然ながらもホームセンター内にあった苣体を見たことによるもので、既に同じタイプの苣体(ダライアス)を何度か見た私であったが、この時期ゲーセンに入ることがなくそれ以前に私の家の近くにゲーセンがなかったこと、行ったとしても親による金の管理が厳しすぎたこともあって、結局プレイできず他の人がプレイしている人のを後ろから見ることしか出来なかった。
3画面ワイド苣体自体、設置しているゲーセンまたはゲームコーナーは少なかったので、そこに行った時にその苣体を見ては子供ながらに何度も驚き、プレイしていなくともデモ画面を見ただけでも身震いがしたものだ。
 アレンジ版ことSFC版は、このゲーム発売直前に発売されたファミマガで知り、既にAC版がうろ覚え状態のこの時期にアレンジ版は、私にとってとても新鮮かつ面白そうに思えていた。
AC版がうろ覚えということは、移植版となるPCエンジン版やメガCD版のことなど全然知らず、後者はレビューを書く2年前に知ったものの後者はつい最近という遅さだったであり、アレンジ版もまた現在に至るまでうろ覚えと完全忘却の間を行っていた。
当然、発売されても相変わらず親による金の管理は厳しかったので、その時はプレイすることが出来なかった。
金がある程度自由に使えた大学時代になっても、このゲームよりもプレイしたいゲームはいくらでもあった。
 したがって、このゲームをプレイしたのはレビューを書く数ヶ月前で、それも他のゲームサイトのレビューを見てであった。
そのサイトは、このゲームに対してとても熱く語っていて、このゲームの面白さとかつてファミマガで読んだ記事で興奮した思い出が蘇った。
さらにその後、ニコニコ動画でアレンジ版はもちろんAC版やメガCD版も見て、それらの違いを確認した私は早速購入。
箱と説明書付きで2480円と少々割高だったが、熱く語ってくれた以上買わないわけにはいかなかった。
 そんなアレンジ版だったが、ファミマガの記事の半数ほどは記憶に残っていたので、それを頼りに初心者用のクノイチから始めることにした。
リーチこそ短かったが、能力自体癖のない平均的なタイプで、コンテニューこそ使ったがさくさく進めた。
ニンジャは、ジャンプがほとんど出来ないのはつらかったものの、慣れていけばクノイチより使いやすかった一方、カマイタチについては投げが出来ないことが多くそれで非常に難儀した。
投げやボンバーで次々と敵をなぎ倒す快感はすばらしく、カマイタチでも一撃でやられない敵と戦うあたりはある程度快感がある。
中でもニンジャは、パワータイプということもあって特にパワースイングは、威力もそうだが見た目的にも強かったので、この豪快さが気に入った私はクノイチよりもニンジャを使うことが多くなった。
 ちなみに、敵を倒す際に女性についてはなるべく刃物で倒さず、蹴りや投げで倒すことにしている。
これは、他のベルトアクションにもやっていることで、『ファイナルファイト』シリーズでも女性タイプにはなるべく武器を使わずに倒していた。
それがニューハーフ(またはオカマ)であってもだが、2において女性キャラが実はニューハーフだったという真実を知ったのは、悲しいかな今から1年前でそれも本当に女性だと思っていた…。

本日のまとめ

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