【サッカー】J1参入PO、東京V劇勝 8日、磐田と入れ替え戦2018年12月3日 紙面から
◇J1参入プレーオフ 東京V1-0横浜FCサッカーのJ1参入プレーオフ(PO)2回戦が2日、横浜市のニッパツ三ツ沢球技場で行われ、J2で6位の東京Vが同3位の横浜FCに1-0で競り勝った。引き分けなら敗退が決まる試合残り30秒の後半ロスタイムにGK上福元直人(29)の劇的なアシストで決勝点を奪った。東京Vは入れ替え戦に当たるPO決定戦に駒を進め、8日にアウェーでJ116位の磐田と対戦する。 誰もがあきらめかけた1点を、守護神だけはあきらめていなかった。スコアレスで迎えた後半51分、右CK。GK上福元は相手マークを引き剥がし、ニアサイドに勢いよく突っ込むと、ボールが一直線に向かってきた。 「どうしよう」。一瞬、ためらった。不慣れな攻撃参加だ。ただ、「力になりたい。その思いだけだった」と上福元。頭を合わせ、振った。GK南ははじくのが精いっぱい。「反応できるように集中していた」と、ファーサイドのドウグラスがなだれ込んで押し込んだ。“敗色”濃厚の危機をひっくり返す、鮮烈なVアシストヘッドだった。 その直前のCKで、ロティーナ監督に攻撃参加を止められていたが、上福元はためらわず「もう一度、意思表示した。僕が上がることで雰囲気も変わる。貢献する覚悟だった」。開き直りにも似た執念が実を結び、「強い気持ちを持ってトライすれば良い方向に転がるんだな」としみじみと語り、劇勝の余韻に浸った。 試合前、上福元はひそかにこう誓っていたという。 「藤川さんの思いを受け止めて、戦おう」 先月15日、クラブの黄金期を支えたOBの藤川孝幸さんが胃がんで急逝した。面識はなくとも、「ヴェルディにどう関わり、どう支えてきたのか」を伝え聞き、同じGKとして自らの職責の重さを直視し、腹をくくったからこそ、恐れず攻撃参加を直訴できた。上福元は「藤川さんの支えが、この勝利につながった」と感謝した。 8日に磐田との一発勝負に臨む。上福元は「積み上げてきたものを存分に発揮できれば勝てる。もう一つ、取らないと」。11年ぶりのJ1へ、名門の下克上物語を、勝って完結させる。 (松岡祐司)
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