国と東電に13億円請求 浪江町民49世帯「期待権侵害」全国初
「ふるさと喪失」争点 避難者訴訟控訴審第1回口頭弁論
東京電力福島第一原発事故に伴い、双葉郡から避難した住民らが、東電に計約十八億円の損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審第一回口頭弁論は三日、仙台高裁(小林久起裁判長)で開かれた。主な争点は原発事故で住み慣れた古里を追われた「ふるさと喪失」慰謝料を固有の損害として認めるかどうかと、東電は津波を予見し事故を防げたかとなった。
原告側は「過酷な避難生活で精神的被害を受け、地域社会を喪失した。東電の過失は重大だ」と主張。一審が認めた賠償額は不十分として増額を求めた。東電側は「国の指針に基づき賠償している」と反論。控訴理由書を提出し、請求棄却を求めた。原告団長の早川篤雄さん(79)=楢葉町=は意見陳述で、「(一審判決は)故郷を失い、生きる希望も失った私たちに泣き寝入りを強いている」と訴えた。
原告は計二百十六人。原発事故当時、楢葉町や双葉町などに居住していた。
今年三月の地裁いわき支部判決では東電の責任を認め、原告二百十六人のうち二百十三人に総額約六億一千万円を支払うよう命じた。次回は来年二月十八日午後二時から。
全国で約三十ある避難者集団訴訟のうち、控訴審が開かれたのは七例目。一審判決が出た訴訟全てで控訴審が始まった。
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