「上司が前時代的思考の持ち主だったので会社を辞めた」
「芸能事務所のオーディションに合格してデビューできると思ったのになかなかデビューさせてもらえなかった」
「アニメの監督が(以下略)」
ネット上ではしばしば、こういったトラブルについての話が話題になる。
このような話はたいていどちらか一方だけの言い分によって構成されており、もう一方の当事者の主張については通常知る術がない。
そんな非常にアンフェアなものであるにもかかわらず、Twitterやはてブのコメントなどでは、その一方的な主張を元に、やれこんな非常識な奴はさっさと淘汰されるべきだの、やれ男が悪い、女が悪い、与党が悪い、野党が悪いだのといった評論がなされる。
しかし、実際の出来事を知っている人間が、ネット上に書き込まれた(一方的な)話を見たら…。
ネット上に書き込まれたことが、実際に起きたことに比べて大きく歪曲されていたら…。
そしてそれを元に、事実とは異なる非難のコメントが書き込まれていたら…。
これはそんなお話。
結婚したんだからそんな趣味やめて
さて、あなたは今年の8月頃に少しバズっていた(らしい)、こんな話題をご存知だろうか?
「結婚したんだからそんな趣味やめて」自分の趣味が火種になって離婚した話「結婚前の取り決め大事」「結婚後に豹変されたら…」 – Togetter
現在、このTogetterはある事情によりツイートを見ることができないので、ここに引用させていただく。
将来結婚するかもしれないオタク各位に、実質半年でのスピード離婚を経験した自分だからこそ真剣に伝えたい話。
結婚した後に、「結婚したんだからオフ会なんか行くな」「いい歳だからそんな趣味は辞めろ」という結婚前のコミュニティや趣味を破壊しにくるパートナーとは、迷わず即刻手を切るべき。
大槻ずん デレ6th全通&臨時特急 @ohtsuki_zunko 2018-08-13 11:30:19
自分は結婚前まではテーブルゲームが好きで、人狼会とかよく行っててそれ関係の友達が多かったが、結婚してから「そういうオフ会には誰がいるのかわからないからやめろ」「もう結婚したんだからそういうオタク趣味はやめろ」と言われて泣く泣く止めたことがある。
大槻ずん デレ6th全通&臨時特急 @ohtsuki_zunko 2018-08-13 11:30:20
「由来が例えばTwitterであろうと、音楽フェスであろうと、学校であろうとたとえどんなコミュニティでも変な手合いは居る、自己防衛はどこでも必要だし、自己防衛すれば問題ない」と猛抗議したが、全く聞き入れられなかった。
大槻ずん デレ6th全通&臨時特急 @ohtsuki_zunko 2018-08-13 11:30:20
自分の趣味で溜め込んでいた漫画や同人誌(えっちなのも)も、「将来の子どもに悪影響」と嫁の目の前でKブで全て売り払うことになり、ダンボール箱1箱に収まる量にさせられてしまった。(売ったお金は全て嫁の酒とタバコに消えた)今思えばおかしいが、当時は「将来の為だから」とぐっと堪えた。
大槻ずん デレ6th全通&臨時特急 @ohtsuki_zunko 2018-08-13 11:30:20
でんぱ組.incのライブに行きたかったが、「既婚者がアイドルを追っかけるのはおかしい」と言われ、結局行けなかった。
「アイドルは仮想恋愛ではない、ただ楽しいから行きたいだけだ。一度現場を見ればわかる」と言ったがそれすらも聞き入れられず。
大槻ずん デレ6th全通&臨時特急 @ohtsuki_zunko 2018-08-13 11:30:21
末期(結婚数ヶ月)では「世の中の既婚者は皆こうだ、死ぬまでこうなので諦めよう、世の中の夫が遅くまで飲んで帰ってこないのはきっとこれだ」と思っていた。家に居るのも苦痛になり、なるべく残業や休日出勤を装って家を空けるようになった。
大槻ずん デレ6th全通&臨時特急 @ohtsuki_zunko 2018-08-13 11:30:21
諸々の不可抗力や双方の故意や過失による事故があり、弁護士挟んで家裁での調停を経て(不成)、最終的に協議離婚となり、実質的な婚姻期間は半年程度だったが、結局それまでの趣味の人間関係は疎遠となってしまった上に、売った漫画や同人誌は二度と手元に戻らない。その趣味で誰も困っていないのに!!
大槻ずん デレ6th全通&臨時特急 @ohtsuki_zunko 2018-08-13 11:30:21
※そのへんの人間関係の破綻は、離婚でもめている間に精神に異常をきたして俺が頻繁に奇行に走っていたのもある(あんま記憶が無い)
大槻ずん デレ6th全通&臨時特急 @ohtsuki_zunko 2018-08-13 11:30:21
一連の話で言いたいこと:
・誰にも迷惑をかけていないのならば、自分の趣味に対して自信を持つべき
・パートナーがやたら「嫌われたくない」を言う場合、結婚するまでは平静を装うが、結婚後に安心して豹変し、クズっぷりを発揮する可能性がある
・双方の趣味に対し理解が無いカップルはすぐ別れろ!!
大槻ずん デレ6th全通&臨時特急 @ohtsuki_zunko 2018-08-13 11:30:22
この手の話でよく言われること:
Q. 結婚前に判断できなかったの?
A. 結婚してから豹変した
Q. 奥さんは何らかの精神疾患を抱えていた?
A. 抱えてましたが専門家ではないので病名等の明言は避けます
大槻ずん デレ6th全通&臨時特急 @ohtsuki_zunko 2018-08-13 11:30:22
かいつまんでいえば、夫の趣味に文句を言い束縛する嫁が原因でスピード離婚したという話である。
なんともいたたまれない話だ。
11月末現在ではてブ数は300を超えており、そこそこバズったといってもいいだろう。
Togetterやはてブのコメントでは、元嫁に対する辛辣なコメントが並んでいる。
…。
さて、この元夫婦。
何を隠そう僕の友人である。
いや、正確にいえば、一連のツイートをした元夫に関しては、友人だった(過去形)。
僕とこの元夫婦は、元夫・元嫁ともに10年以上の長い付き合いの共通の友人だったが、元夫とはこの元夫婦の離婚をきっかけに絶縁したため、今はもう友人ではない。
一方、一連のツイートで「豹変したクズ」として語られている元嫁とは今でも友人である。
離婚前から元夫との夫婦関係についてしばしば相談を受けていた。
そもそもこの一連のツイートの存在を知ったのも、元嫁から教えてもらったからである。
少し調べてみたところ、このアカウントが元夫であると判断するには十分過ぎるほどの根拠があった。
- 結婚・離婚時期等の状況が、彼らとほぼ一致
- ハンドルネームが、元夫が過去に使用していたものと同じ
- 生年月日が元夫と完全に一致
- 僕と元嫁の2人とも、このアカウントからブロックされていた
…など、これらが全て偶然の一致である可能性は非常に低いだろう。
にも関わらず、一連のツイートにまとめられている「彼らがスピード離婚に至った理由」は、(主に元嫁から聞いた)僕の知っている事実とは異なる。
たとえば彼らが離婚するとはまだ決まっていなかった頃に元夫側とも話し合いをしたことがあり、そのとき「嫁に不満があるが言えない」ということは聞いたのだが、アイドルのライブに行けないとかいう話は聞かなかった。
また、漫画や同人誌については、夫婦ともにPCゲームが趣味だったしネットにも浸かりきっている奴らだったので、理解がないとは考えにくい。
同人誌はともかく漫画はむしろ嫁も読んでそうなので、文章を読んでびっくりした。
僕の知っている彼らの話と、元夫(と思わしきアカウント)が書き込んだ話とはどうも辻褄が合わないのである。
怪文書
そこで、僕は当該Togetterに次のようなコメントを書き込んだ。
このまとめ今知ったけど、状況証拠的に“疎遠となってしまった”元友達っぽいな。 元の発言したアカウントからブロックされてるし。 そして、“僕が嫁側から聞いている事実とだいぶ違う”。
僕は相当の確信を持ってこのコメントを書き込んでいる。
しかし、こんなもの客観的に見れば単なる「怪文書」でしかない。
まともな証拠も出さず、「お前は嘘をついている」としか主張していないのだから。
しかし、僕がこのコメントを書いた翌朝、
一連のツイートは当該Togetterから「権利者によって削除」された。
元のツイートが行われたのが8月13日。
Togetterにまとめられたのは翌14日。
僕が元嫁からツイートの存在を知らされ、Togetterにコメントを書き込んだのは11月26日。
この時点で3ヶ月以上の月日が経過しており、ネット上のネタとしての賞味期限はとっくに切れている。
そんな昔のツイートのことなんて、本人ですらもう気にしていないはずだ。
ネット上には「怪文書」を書き込む人間なんてごまんといる。
そんなものにいちいち反応する意味なんてない。
にも関わらず、僕がコメントを書き込んだ途端に、3ヶ月以上も前のTogetterから突然ツイートが削除されたのである。
わざわざそのようなアクションを取るということは、僕のコメントが単なる「怪文書」ではなく、ツイート内容について何かやましいことがあるということを自ら白状しているようなものである。
彼の性格を考えると、コメントを見た途端にパニックになり、慌てて削除したのだと思う。
とにかく目の前の問題を回避するのに必死で、そんなことをすれば墓穴を掘るだけというところまでは想像がつかなかったのであろう。
隠された真実
さて、この一連のツイートには「最も重要なピース」が欠けている。
この夫婦が離婚することになってしまった「決定的な理由」が。
彼らが離婚をしたのは事実だ。
一連のツイートを読んだ人は、「これらの嫁の束縛が原因で、それに耐えきれなくなった夫が離婚を切り出した」…というストーリーを思い描くだろう。
しかし事実はそうではない。
離婚を求めたのは元嫁のほうである。
しかも、ツイートでは趣味を破壊しにくるパートナーとは、迷わず即刻手を切るべき
なんて言っていたのに、実際には元夫は最後まで離婚を拒んでいた。
もう一度元のツイートを引用しよう。
諸々の不可抗力や双方の故意や過失による事故があり、弁護士挟んで家裁での調停を経て(不成)、最終的に協議離婚となり、実質的な婚姻期間は半年程度だったが、結局それまでの趣味の人間関係は疎遠となってしまった上に、売った漫画や同人誌は二度と手元に戻らない。その趣味で誰も困っていないのに!!
大槻ずん デレ6th全通&臨時特急 @ohtsuki_zunko 2018-08-13 11:30:21
※そのへんの人間関係の破綻は、離婚でもめている間に精神に異常をきたして俺が頻繁に奇行に走っていたのもある(あんま記憶が無い)
大槻ずん デレ6th全通&臨時特急 @ohtsuki_zunko 2018-08-13 11:30:21
ここであまりにもサラッと流されている「双方の故意や過失による事故」「精神に異常をきたして俺が頻繁に奇行に走っていた」という部分。
これこそが、彼らの離婚を決定付けた本当の理由である。
さらに言えば、「双方」なんて書かれているが、実際には、元夫のある行動こそが原因だ。
僕はその内容を知っているが、さすがにそれをここで暴露することはできない。
人は誰しも他人に知られたくない秘密があるものだし、僕もそれを不特定多数に暴露するような趣味もない。
文春でもあるまいし。
とにかく、この一連のツイートは、物事の核心部分を見せずに都合の良い部分だけをつなぎ合わせ、その上に嘘を塗り固めることで事実とは真逆の印象を抱くように書かれたものだということを表明しておく。
こんな記事をブログに書いても元のデマを払拭できるかはわからない。
そもそも、もう誰も3ヶ月以上前のツイートのことなんて覚えていないかもしれない。
そして同時に、この記事自体も、前回とは反対の一方からの意見でしかないということも忘れてはならない。
それでも、当時、この一連のツイートを読んで元嫁を非難するコメントを書き込んだ人の誤解を少しでも解くことができれば、という思いしかない。
ネット上にあふれる身の上話には、この程度の信憑性しかないものもあるということを身を持って知った。
こういう話はあまり鵜呑みにせず、話半分未満で流しておくべきなのだろう。
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