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【社説】

辺野古埋め立て 対立を深める暴挙だ

 沖縄県名護市辺野古へ米軍新基地建設を進める政府は、十四日から埋め立ての土砂投入に踏み切る方針だ。県との集中協議は単なるポーズだったのか。対立を深めるだけの暴挙と気付くべきである。

 集中協議は県側の提案で、十一月に約一カ月間行われた。

 玉城デニー知事は安倍晋三首相との締めくくり協議で、新基地建設の工費は当初予定の十倍超の二兆五千五百億円に膨らみ、工期も今後十三年に及ぶとの県の試算を提示。「いつまで沖縄なんですか、どれだけ沖縄なんですか」と事業の抜本見直しを求めた。

 これに対し首相は、計画通り建設を進めると述べるのみだった。

 具体的な反論をしなかったのは、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設を「辺野古ありき」の政治的判断で進めているためとしか思えない。最初から埋め立て準備の工事を続行しながらの話し合いであり、誠意が欠けていた。

 防衛省沖縄防衛局が進めている工事は、決められた協議が行われず軟弱地盤も判明したなどとして県が埋め立て承認を撤回、八月末から中断されたが、防衛局の申し立てにより国土交通相が撤回の効力を停止し十一月に再開された。

 行政不服審査法に基づくこの手続きは、身内のお手盛りで公平性がない。そもそも防衛局は同法の定めで申し立ての当事者になれないと行政法学者らが批判しているのに、政府はお構いなしだ。

 県は対抗手段として十一月末、国地方係争処理委員会に国交相の措置の取り消しを訴えた。今後は法廷闘争も見込む。国の強引な手法に対する判断を注目したい。

 さらに県は、県民有志が直接請求した辺野古新基地の是非を問う県民投票を来年二月二十四日に行うと決めた。埋め立てに賛成か反対か二択で答えてもらう。極めて明確に民意を測る機会となる。

 翁長前県政時代の埋め立て承認取り消しを巡る法廷での争いは最高裁で県側敗訴が確定したが、民意の在りかについては判断がなされなかった。県民投票の結果自体に法的拘束力はないとはいえ、新たな裁判では焦点になり得よう。

 「辺野古が唯一」の政府方針があらためて問われる局面が続く。

 こうした状況を無視して土砂投入を強行するのは、県民の反政府感情を高めるだけだ。辺野古は元の「美(ちゅ)ら海」に戻らないと諦めさせるのが目的としたら、思い通りにはなるまい。埋め立て開始の決定こそ撤回する必要がある。 

 

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