国際コンクールで最優秀賞の快挙 杜氏は22歳
世界最大規模の国際的な酒のコンクールの日本酒部門で、宮城・川崎町の酒蔵で造られた日本酒が、最優秀賞を受賞した。
この日本酒を造ったのは、22歳の若き女性杜氏(とうじ)だった。
世界55カ国から1万本以上が出品される、世界最大規模の国際的な酒のコンクール、「SAKE selection」。
海外での和食ブームを背景に2018年、新たに作られた「日本酒部門」の表彰式が21日、東京のベルギー大使館で開かれた。
全国から、617銘柄の日本酒が出品され、その「本醸造酒部門」で、最優秀賞に選ばれたのが、川崎町に酒蔵がある「新澤醸造店」の「あたごのまつ 鮮烈辛口」。
試飲した人は、「ワインのようなフルーティーさがあり、とても辛口とは思えない」、「本醸造で、ここまですっきりかつ余韻があり、香りがあるお酒をつくれるのは相当レベルが高い」などと話した。
この日本酒を造った杜氏・渡部七海さんは、なんと22歳。
新澤醸造店杜氏・渡部七海さんは、「本当に皆さまの力で、いろいろ教えていただきながらつくったお酒が、このように評価されて、うれしく思っている」と話した。
渡部さんが働く川崎町の酒蔵。
創業145年の歴史がある。
渡部さんは、東京の短大の醸造学科で酒造りを学び、3年前に、新澤醸造店に入社した。
渡部さんは、「(酒は)生き物だけど、聞いても声が返ってくるわけではないので、気づいて直していければ良くなっていくけど、気づけなかったら、どんどん悪くなっていく。発見が面白いと思う」と話した。
社長の新澤巌夫さんは2018年1月、自ら17年間務めた日本酒製造の最高責任者である杜氏に渡部さんを指名することを決めた。
全国でも、最年少の杜氏ではないかとも言われるほどの異例の大抜てきだった。
新澤醸造店・新澤巌夫社長は、「もう別格ですね。利き酒を一緒にしても、同じお酒を飲んでも、コメントや判断の仕方が次元が違う。ベテランよりも怖さを知らない分、僕らには出せない味を出してしまう」と話した。
利き酒の能力だけでなく、日本酒造りにおける冷静な判断力や危機対応力など、リーダーとしての素質があると見込まれた渡部さん。
22歳の若き杜氏は、国際コンクールでの「最優秀賞」という結果で、その期待に応えた。
渡部さんは、「杜氏の仕事は、おいしいお酒をつくることが一番だと思うが、つらい顔して働いてつくったお酒がおいしかったら、それはすごいだけど、それよりみんなが楽しく働いて、おいしいお酒につながったらいい。改善できるところ、もっとよくできるところはよくしていって、楽しく仕事をしていきたい」と話した。