ルパン三世〜カリオストロの城〜考察

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2004.03.28(Sun)

【はじめに】
ルパン三世〜カリオストロの城〜について，
DVD（2001/04/26発売）を元に，考察してみる．

最初は印象に残る台詞集のつもりで作成していたのであるが，
調子に乗って，人物対比表とか，タイムチャートまで書き始めたら収集がつかなくなってしまった．
おかげで，作成までに２年も費やす結果となってしまった．
人物対比やタイムチャートは別の機会にゆだねることとして，
今回は，台詞とその捕捉という形で進めていくことにする．

なお，区切りのいいところで勝手に副題をつけている．
できるだけ，本編に添った形にしているつもりである．
ちなみに「戦慄！幻のニセ金」等の体裁は，
海外ドラマ「チャーリーズエンジェル」で用いられていた手法である．
これは実際のところ，本編とちっとも合っていない副題だった．
KISSのアルバムの邦題がことごとく「地獄の○○○」となっていたり，
ブロンディのアルバムの邦題が「恋の○○○」となっているのと
なんとなく似ている．映画「マイドク」よりはまだマシだけどね．

DVDでは，英語字幕を表示させることができるが，
次元がルパンのことをbossと呼んでいるのが妙である．
相棒という設定を無視してやしないだろうか？
それから，英語では，やたらと説明のナレーションが入るのが邪魔くさい．
私個人としては，作品性を損ねているように感じてしまうところではある．
おそらく，大塚氏，宮崎氏はそこまで厳密にはチェックしていないのであろう．

それはともかく，
音声が日本語の状態でも，日本語の字幕が出るようになっており，
当時聞き取りにくかった台詞が明確になるので，これはありがたい．
引用した台詞は，出来る限りこの字幕に忠実な形で記載することにした．



【注意】
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ネタばれ防止のため，
映画本編をご覧になっていない方は，十分ご注意下さい．
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１．戦慄！幻のニセ金
【主な台詞】
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「ナンバー不揃いで５０億はあるぞ．
　札ビラのシャワーだ それっ！」次元
「うわーっ 熱い熱い 熱いな．
　もっとうめてちょうだいよ．」ルパン

「捨てちまおう．」ルパン

「国営カジノの大金庫からかっぱらったんだぞ．」次元※１
「ゴート札だよ．」ルパン※２
「幻のニセ札というあれか？」次元

「次元！ 次の仕事は決まったぜ．
　前祝いにパアーッとやっか？
　パアーッ！！」ルパン※３


【捕捉】
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※１
　冒頭のカジノ襲撃シーンにて，
　店の看板に”Ｃａｓｉｎｏ　Ｍｏｎａｃｏ”と書かれている．
　国営カジノとは，モナコが運営していることになる．日本もやりますか？＞石原さん．
　ちなみに，ルパン達を追いかけてきたカジノの警備達の車は，
　ボルトがはずされていたりして全く使い物にならなかった．
　中には，真っ二つになっているものもあり，画面には登場していないが，
　実は五エ門の助けを借りていたことが推測される．
　また，ボンネットが開いてしまった車には，
　ご丁寧に，ルパンの犯行声明のメッセージ（日本語）が貼られている．
　最初のシーンでは「ごくろうさま」となっているのに，
　次にアップになるシーンでは「ごくろーさん」に変わっているというバグは，
　結構有名な話．

※２
　虫眼鏡もなしに，しかも運転中に，ゴート札が紛れ込んでいることを見抜くルパン．
　中には本物も多数含まれていただろうに，もったいないことをするもんだ．

※３
　高速道路でお札をばら撒くルパン達．
　過積載，無理な割込み，走行中の車から物の投棄，
　モナコではどうか分からないが，日本でこれだけやれば免許取消し間違いなしであろう．
　この台詞の後にかかるオープニング（エンディングにも使用されている）は，
　「炎のたからもの」（歌）ボビー
　この曲が流れている間に，カリオストロ公国までの道のりが描かれている．
　よくよく観てみると，車中２泊以上はしているようである．
　踏切りで通過列車待ちのシーンでは，左端で次元が用を足している．
　テレビで放映される際は，トリミングされるので，見落としてしまうシチュエーションである．
　また道中，花束を持った少女の横を通り過ぎる際，
　微妙に車線を移動しているのは，歩行者（少女）を気遣っているのであろう．
　宮崎氏の配慮か？
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２．激走！カリオストロ公国
【主な台詞】
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「聞かねえ名だな． カリオストロ公国たあ．」次元
「人口３，５００ 世界で一番小さな国連加盟国だよ．」ルパン※４
「それがゴート札の震源地というわけか？」次元
「その筋じゃ有名な話さ．
　ニセ札界のブラックホールってな．」ルパン
「ブラックホール？」次元
「ちょっかい出して 帰ってきた奴はいないとよ．」ルパン
「ふーん 怖いねえ．怖いから俺 寝る．」次元

「何だ このスペア 丸坊主だぞ．」次元※５

「平和だねえ．」ルパン

「どっちにつく？」次元
「オンナ！」ルパン
「だろうな．」次元
「さて，面白くなってきやがった．」次元※６

「まくるぞ！！」ルパン

「今度はただの弾じゃねえぞ．」次元

「いやっ　はなしてっ！！」クラリス※７
「よせよせよせ！！
　下見ろ　下見ろってんだ下を！！」ルパン

「もしもし．．．もしっ！」クラリス※８

「俺の花嫁は？」ルパン

「ん？指輪じゃねえか．」次元
「はてな？どーっかで．．．」ルパン

「どうしたんだ？
　指輪見て急に目の色変えやがって．」次元※９

【捕捉】
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※４
　世界をまたにかけているだけあって，博識なルパン．
　カリオストロ公国の名前の由来は，
　モーリス・ルブランの「カリオストロ伯爵夫人」という小説から来ているとのこと．
　ちなみに，ストーリー全般から推察すると，
　●人口３５００人程度
　●冒頭のモナコ，バチカン市国（後に司祭がやってくる）に近い
　●宗教はカトリック
　●雪に覆われた山脈が見える（スイスに近い？）
　●国連加盟国
　ということから，
　リヒテンシュタイン公国かサンマリノ共和国あたりをモデルにしていると考えられる．
　ただし，これらの国は，本作品公開当時（１９７９年）には国連加盟国ではない．
　（リヒテンシュタイン公国は１９９０年，サンマリノ共和国は１９９２年に加盟．）
　作品中，特に触れてはいないが，小説「ルパン三世カリオストロの城」（集英社文庫）によると，
　カリオストロ公国の主な収入源（表向き）は，切手や観光などによるらしい．
　しかし，実際には，それだけではまかないきれないので，
　ニセ札による収入によって，なんとか国政悪化を防いでいることになる．
　摂政カリオストロがいなくなった後，クラリスがまずやらなければならないことは，
　公になってしまったニセ札の廃止と，これにともなう行政改革である．
　うーん．世の中厳しいね．

※５
　せっかくなので，ここでは，本作に出てくる車種についてまとめておく．

　ルパン達の車：
　フィアット５００（チンクエチェント）（伊）
　色：ベージュ
　ナンバー：Ｒ−３３
　駆動系：リアエンジンリアドライブ
　改造してターボチャージャーが装備されている．
　映像を見る限り，通常はノーマルのような音をしているので，
　ブーストコントローラを手動で切替えられるようになっているものと考えられる．
　また，タービンが２個ついているので，通常は小さい方を用いているようである．
　リアハッチをわざわざ開けているのは，熱を外に逃がしてエンジンの焼きつきを防止するため．
　更に空気冷却のために，巨大なエアインテークを搭載している．
　これだけ緻密な改造を施している割に，足回り（スペアタイヤ）にはさほど気を使っていないのが間抜けである．
　ぶつかりそうになったバスの車種は不明．ナンバーはＣ−Ｂ４　４７３（Ｃ−Ｂ６になっている場面もある．）

　クラリスが乗っていた車：
　シトロエン２ＣＶ（ドゥーシーボー）（仏）
　色：赤（ピンク？）
　ナンバー：Ｆ７３（Ｆ７４になっている場面もある．フロントのナンバープレートはあったりなかったり．）
　もともとは２馬力のエンジンを搭載して設計されていた．
　宮崎駿氏が夫妻で営む著作権管理会社「二馬力」の名前はここから来ている．
　それにしても，皇族でしかも１８歳の若さですでに運転ができるとは，すばらしい．
　クラリスは実は活発な少女時代を過ごしていたのではと想像される．
　庭師の老人に運転を教わったとか．．．

　カリ公の手下が乗っていた車：
　ハンバー　スーパースナイプ（英）
　色：こげ茶色
　ナンバー：Ｃ−１４他（場面によって異なる）
　年式：1940年式
　次元のマグナムでもタイヤはびくともしない．防弾タイヤとでも言うのだろうか．
　車種を調べるのにかなり苦労した．
　つい最近，上記２車種とのセットのミニカーが売られていたことにより判明．

　銭形突撃部隊の輸送車（最後の方で出てくる）：
　カナディアンＧＭ　ＣＭＰ６０
　色：深緑色
　年式：1943年式

　銭形が乗っていたパトカー：（※２９参照）
　ニッサン　ブルーバード 310か410（通称ゼニブル）
　色：白と黒（埼玉県警と書かれている）
　年式：1960年代
　ナンバー：不明
　キャブ式．有鉛ハイオク車．
　無鉛のガソリンが主流の現在，この手の車を乗るためには，
　添加剤が必要である．燃料代だけでもばかにならないと思う．

※７
　崖から落ちそうになった際，ルパンが使用したワイヤー式の命綱．
　この後，城の北側の塔への潜入時，城内の落とし穴に落とされた時，の計３回使用されている．
　本編中，最も活躍したアイテムである．
　おそらく，フックの部分は右袖の中に隠し持っている．
　また，ベルトのバックル内部にあるのは，ロータリースイッチであり，
　ワイヤー，リールなどは，別ユニットになっているものと考えられる．
　初めて見た時，ワイヤーはバックルに収納されていると思ったんだけど，どうも違うらしい．
　物理的に無理があるもんね．
　また，映像で確認する限り，バックルの中には小型計算機のような精密回路が内臓されている．
　結局使われることはなかったようだけど．
　ワイヤーは，少なくとも，城の最上階から地下牢まで落とされた時に十分機能していたので，
　有効距離は数十ｍはあると考えられる．
　人間の体重を支えるのに十分な強度があることはもとより，
　あれほどコンパクトに収納されていることから，
　非常に細い素材のワイヤーを使っていることになる．
　チタン製だったりして．

※８
　ルパンを介抱しようと，自分の手袋（左手）を水に浸すクラリス．
　ここで指輪がルパンの手に渡ることに．
　この演出は絶妙である．
　物語の最大の鍵である「指輪」というアイテムを十分に活かしきっている．
　全ての伏線がこのアイテムに凝縮されているのだ．
　これがなければ，後の展開は非常につまらないものになってしまっていたであろう．

※６，※９
　”指輪を見て目の色を変えやがって”
　”面白くなってきやがった．”
　という台詞は，酒場のシーン（※２１，ここではルパンの台詞），
　宿のシーン（※２３，結局泊まりそこねてしまう）でもう一度使われている．
　※１３の”駆け出しのチンピラ”と※４８”一人で売り出そうとやっきになっている青二才”
　の対応関係もそうであるが，
　同様の台詞を何度も使うことによって，キャラクターの個性が際立ってくるのである．
　非常に効果的な手法である．
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３．荒廃！大公の館

「これが大公の屋敷だって？
　カラッポの廃墟じゃねえか．」次元※１０

「大きくなりやがって．．．」ルパン※１１

「一人でカッコつけて悩むんじゃねえ ほら言え！」次元※１２

「お前，あの城にもぐったことがあるのか？」次元
「１０年以上前の話さ．
　ゴート札の謎を解こうってな．
　まだ駆け出しのチンピラだった．」ルパン※１３
「で．．．どうだった？」次元
「それがコテンコテン．
　しっぽ巻いてよ．逃げちゃった．」ルパン

「オートジャイロとは古風だな．」次元
「伯爵だよ．」ルパン
「え？」次元
「さあ宿でも探そうぜ」ルパン

【捕捉】
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※１０
　大公家庭番の老人から，
　７年前に大火事があり，大公夫妻が崩御し，摂政が後釜についたことが皮肉っぽく語られる．
　特に言及されてはいないが，伯爵が裏で糸を引いた内部クーデターがあったと推測される．

※１１
　先ほどの指輪に続き，この台詞が物語の重要な伏線になっている．
　（こんな大事な台詞なのに，テレビ放映ではよくカットされていた．）
　詳しい説明は，ずっと後になってからルパン自らが語ることになる．
　お互い過去を詮索しないのは真の相棒たるが由縁である．

※１２
　テレビ放映時に必ずカットされるシーン．
　次元の繰り出す卍固め〜コブラツイストの連続技は絶妙である．
　このシーンで，時計塔の鐘が７回鳴っている．つまり，この時すでに夜７時を回っていたことが分かる．
　また，大公の館から時計塔は目と鼻の先にあることが分かる．
　この廃墟から，伯爵の城および市街地が一望できること，
　後に宿を追われたルパン達がアジトにしていることから，
　実はこの場所は絶妙なロケーションであることが分かる．

※１３
　”駆け出しのチンピラ”
　後に庭師の家※４８の”一人で売り出そうとやっきになっている青二才”なる台詞と対応している．
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４．強襲！迫り来る影

「ジョドー 不始末だな」カリオストロ
「申し訳ありません．御婚礼衣装の仮縫いでございましたので
　男どもが席を外した折でございました’」ジョドー※１４

「外国人？」伯爵
「はい．二人連れの男が逃亡を手助けしたとのことでございます．」ジョドー
「見つけ出せ．後始末は任せる．」伯爵

「今は北の塔か？」伯爵※１５
「はい．お薬でよくお眠りになってございます．」ジョドー※１６

「指輪がない．．．」伯爵※１７

「この文字は死滅したゴート文字だ．
　”光と影 再び一つとなりて蘇らん．．．１５１７年”
　年号はローマ数字だ．」ルパン※１８

「ずいぶん熱心ね．何見てるの？」酒場の娘
「いやなに，古い指輪を拾ったもんでね．
　値打ち物かなあって．」ルパン
「まあ！きれいね．これクラリス様の紋章よ．」酒場の娘
「クラリス．．．」ルパン
「ほら，あの方，あそこの写真．子供の頃のだけど．
　昨日 修道院から戻られたの．
　きっと素敵におなりだわ．」酒場の娘※１９
「修道院？」ルパン
「あら知らないの？
　お客さんたちも クラリス様と伯爵様の結婚式を
　見に来たのかと思ったわ．」酒場の娘
「あ，そうか．どうりで観光客が多いと思った．」ルパン
「でもクラリス様かわいそう．
　伯爵ってね．有名な女たらしなのよ．」酒場の娘
「おやま！俺みたい．今晩どお〜？」ルパン※２０
「キャッ いやだ〜．ハハハ．」酒場の娘

「やっぱり伯爵の犬だぜ．」次元
「指輪を見て目の色変えやがった．」ルパン※２１
「花嫁だけじゃダメか．」ルパン
「指輪ももらいたい．」次元
「そうはいかな〜い．」次元

「お前 昼間の娘が大公のお姫様だって知ってたな！」次元
「あ〜ら，言わなかったっけか？」ルパン

「光と影，再び一つとなりて甦らん．．．か．お宝でも蘇るのかな？」次元※２２

「わぁ〜．団体サマのお着きだあ．」ルパン

「マグナムが効かねえぞ！」次元
「こいつら暗殺のプロだよ！」ルパン

「ヒエーッ　びっくらこいたぜ’」次元
「本格的に攻めてきやがった．この事件，ウラ深いぜ！」ルパン
「ああ．面白くなってきやがった！」次元※２３

【捕捉】
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※１４
　クラリスが逃亡した経緯がさりげなく語られる．
　後に，酒場の娘が，
　クラリスが修道院から戻ったのは昨日だと話している．
　実は非常にタイトなスケジュールで事が運んでいたことが分かる．

※１５
　中央の建屋から，北側の塔へは，橋渡しの通路（電動式）が用いられる．
　つまり，この通路以外には，北側の塔へ行く術はないのである．
　ルパンがあれだけ苦労して潜入しなければならなかったのはこのため．
　確かに「ひでえ所」（※３９参照）である．
　クラリスが捕われている部屋の扉は，羊の鼻の穴に鍵を挿すことで開閉される（電動式）．
　後に銭形の部下が話している通り，
　この城は，かなり大規模な電子制御（セキュリティ）が施されている．

※１６
　クラリスは睡眠薬を投与されたり，
　後に声を出せなくなる薬を投与されたり（※４９参照）と，
　薬物の使用頻度が多い．中毒にならなければ良いが．．．

※１７
　カリ公，人払い（不二子：ここで初登場，ジョドーに対して），クラリスの部屋へ．（わ，やらしい！）
　眠っていることをいいことに，指輪を重ねようとする．
　この辺り，今のご時世ならもうちょっと直接的な表現に展開しがちである．
　そうならないように，指輪というアイテムを極めて有効に用いている．
　宮崎作品ならではのこだわりが感じられる．

※１８
　年号はローマ数字．
　映像では”ＭＤ�]�Z”となっている．ＭＤ＝１５００ということ．
　死滅した文字を，こともなげに解読してしまうあたり，
　ルパンの博識さが垣間見える．

※１９
　私は，結構この娘のことが好きである．
　このシーンにしか出てこないちょい役なんだけど，個性が際立っている．
　明るくて働き者のようである．
　ルパンにカリオストロ広告の実情を知らせる重要な役割を担っているし．
　本作品全体で言えることだけど，ちょっとしか出てこないキャラクターであっても，
　ぱっと見ただけでその人柄とか個性が伝わってくるのはすごいことである．

※２０
　この当時はセクハラなんて言葉はなかった．
　細かいことに目くじらを立てない，良い時代であった．
　酒場の娘のかわし方がなんとも可愛らしくて良い．
　ルパンが本気で言っているわけではないのは明らかである．
　店の奥に引っ込む娘に対し，屈託のない笑顔で手を振るところがなんとも憎めない．

※２２
　宿で，ルパンが何やら作っている．
　影達が襲ってくる前にはほぼ完成しているようである．
　実は，※３９でクラリスに渡すためのニセモノの指輪を作っていたのである．
　型取りをした後，小型のバーナーで金属を溶かし込んで製作している．
　ルパンの道具入れ．
　小型ガスバーナ（口と手操作のポンプで火力調整），精密工具が収納される．かなりコンパクトなもの．
　周りには，塗料，型取り用の用材，筆，虫眼鏡，マッチ，ワルサーの弾丸，薬莢が散らばっている．
　これらの材料が元になっているのであろう．

※２１，※２３
　同じ台詞の繰り返し．※６，※９，※１３，※４８について書いたとおり．
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５．宣戦布告！ルパンの予告状

「いい出来ではないな．
　このところ質が落ちていくばかりではないか．」伯爵
「申し訳ありません．
　しかし 今のような大量生産を続けては．．．」造幣担当の男
「やり直せ！ 納期も遅らせてはならん．」伯爵※２４

「誰だ！」伯爵※２５
「このジョドー一生の不覚．ネズミめを撃ち逃しました．」ジョドー
「ジョドー．その背中の紙はなんだ」伯爵

「”色と欲の伯爵どの．花嫁は頂きます．．．
　近日参上．ルパン三世”」ジョドー※２６

「ジョドー，良かったな．
　待とうではないか．そのルパンとやらが来るのを．」伯爵


【捕捉】
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※２４
　ゴート札を大量に受注していることが，さりげなく語られる．
　景気低迷などで国の情勢が傾いていることが推測できる．
　質は落とさない！納期は確実に守る！
　という点で，伯爵は，妥協を許さない職人気質であることが分かる．
　今なら，日本向けにフィギュアとかトレカなんかを大量に売る商売をすると良いかもしれない．

※２５
　不二子は，既に内部事情に精通していることが分かる．
　書斎→暖炉→隠し部屋へと潜入．肖像画の目の部分に穴を開けて覗き見をしている．

※２６
　ルパンからの予告状．実際には以下のように書かれている．
┌────────────────────┐
│               Lupin III                │
│                                        │
│              ルパン参上                │
│                                        │
│  Seigneur le Volupteux!                │
│                        ,     （ΘΘ）  │
│  Vous voler votre fiancee  Ψ（ 皿 ）Ψ│
│          ,                             │
│  Je me presenterdi prochainement       │
│                                        │
└────────────────────┘
”Lupin”の部分は筆記体．
「ルパン参上」の部分は江戸文字フォントに近い．
「ン」の点の部分が，銃で撃ち抜かれている．
カジノ同様，所謂”そら豆ルパン”のイラストが書かれている．

あとは全てフランス語．
３行目”Seigneur”はセニョールと書くと分かりやすいだろう．尊敬語ですな．
”Volupteux”が”色と欲”に相当する言葉らしい．機械翻訳では変換できなかった．
４行目は「あなたのフィアンセを盗みに行きます」の意味．
５行目は「私はすぐに参上します」の意味．

仲根かすみにでも解説してもらいますかね．
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６．潜入！カリオストロの城

「よお．早かったな．」次元
「仕事か？」五エ門※２７

「五エ門がきたぞ．」次元
「こっちもきたぞ．」ルパン※２８
「ああっ　日本のパトカーだ！」次元
「銭形だよ．」ルパン※２９

「銭形だ．さすが昭和ひとケタ．仕事熱心だこと．」ルパン

「何だあれは？」銭形※３０
「やめろ．
　それ以上進むな．」グスタフ
「死にたくなければウロチョロせんことだ．
　部下にもそう伝えろ．」グスタフ

「いけ好かん城だ．
　素人にしては阻止装置が大げさすぎる．」銭形※３１

「毒をもって毒を制すか．．．」五エ門※３２

「ここがカリオストロの城．
　俺たちはここ．
　このローマ水道は今も生きている．
　進入路はこれしかない．
　ローマの水道で　こっちの湖から場内まで水を引いているんだ．」ルパン※３３
「なるほど．水の中ならレーザーもないってわけか．」次元

「気をつけろ　穴があんぞ．」ルパン※３４

「警察官はタイコ持ちじゃありません！
　気に入られようが気に入るまいが．．．」銭形※３５

「伯爵様へご案ナーイ．」ルパン

「今ここに俺が来なかった？」銭形（ルパン変装）
「何だと？」グスタフ
「バカヤロー！そいつがルパンだ！
　俺に化けてもぐりり込んだんだ！
　でっかい図体して変装も見破れんのか！穀潰し！」銭形（ルパン変装）

「やめろ！
　ルパンが　ルパンが！」銭形※３６
「うおーっ　すげえすげえ！」ルパン

「とっつぁん すまねえ．」ルパン

「警官隊へは 警部は先に帰ったと伝えておけ
　途中で蒸発することは よくあることだ．」伯爵※３７

「仕事に熱中してるご婦人てのは 美しいねえ．」ルパン
「もうこんな所まで来ちゃったの？」不二子

「一年ぶりに会ったってのに つれないんだなぁ．
　ずいぶん探したんだから．」ルパン※３８

「教えてあげてもいいけど，私の仕事の邪魔しない？」不二子
「しないしない．したこともない．」ルパン
「どうだか．」不二子


【捕捉】
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※２７
　五エ門．馬車をヒッチハイクしてやってくる．言葉は通じたようだ．
　おそらく，モナコでルパン達と別れた後，急遽この国に呼び戻されたものと予想される．
　モナコからなら，それほど時間をかけずにやってこれるであろう．

※２８
　影達に襲撃されたため，宿に泊まることを断念したルパンと次元．
　大公屋敷の廃墟にねぐらを移している．
　映像には，”うどん”と書かれたダンボール箱が２つ確認できる．
　そのうちの１つは空になっており，荷物入れになっている模様．
　無造作に捨てられているカップうどんの数から，
　１〜２日ほど，ここに滞在していることが分かる．

※２９
　銭形率いる警官隊．
　日本のパトカーを連ねてやってくる．
　車種は上記の通り’６０年製のブルーバード（通称ゼニブル）．
　はるかヨーロッパまで，よくこれだけの台数を持ち込んだものである．
　ＩＣＰＯ（国際警察）における独立愚連隊といったところか．
　この後，銭形とカリ公の会話の中で，結婚式まであと５日であることが明らかになる．（台詞は省略）
　ということで，今回の話は大体１週間の間に起こった出来事であると見積もることが可能である．

※３０
　ここで銭形は何に気が付いたのか？
　おそらく，向こう岸（大公屋敷）にいるルパン達に気が付いたものと考えられる．
　鋭い洞察力に物を言わせたにも関わらず，グスタフの邪魔が入る．
　まあ，あそこで止められなかったら，レーザーの餌食になってしまったんだろうけど．

※３１
　レーザーや対人レーダーの反応を報告する銭形の部下．有能である．
　軍隊で用いるような無線電話を装備している．

※３２
　このシーンもテレビ放映ではカットされやすい．
　ここで次元は俄然やる気になっている．
　五エ門の斬鉄剣に加え，対戦車ライフルを持ち出してきて意気込んでいる．
　が，城がレーザーとレーダーの巣窟と聞き，戦車まで用意しようと考えるのは次元らしい．
　あえて銭形を戦力として利用するところがルパンの粋なところ．

※３３，※３４
　ローマ水道を利用して城への侵入を計画するルパン．（時計塔の時刻は２２時）
　水道橋の入口の鉄格子の一つが外せること，穴があって危ないことなど，
　過去に一度潜入しただけあって，事情通なルパンである．
　このようなセキュリティホールをほったらかしにしておくカリオストロ家も，いい加減といえばいい加減．
　水道橋の入口に関しては，ラストでルパンがクラリスと一緒にもう一度通っている．
　鉄格子は，今更面倒くさくなったのか，蹴っ飛ばしている．

　ちなみに，ルパンが説明に使った地図には，このように描かれていた．
　│
　│　　　　　　　┌────┐
　│　　┌───┐│　　　　│　　　　　　　　　　　　　│　│　　湖
　│　　│　　　││カリ公の│　　　ローマ水道　　┌─┐│　│　　→ラストではこの下にローマの町が・・・
　└──┘市街地└┘　　城　└──────────┘　││☆│
　┌──┐　　　┌┐　　　　┌──────────┐　││↑大公の館
　│　　│　　　││　　　　│　　　　　　　時計塔└─┘│││
　│　　└───┘└────┘　　　　　　　　　　　　　│││
　│　　　　　　　　　　　　湖　　　　　　　　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ルパンたちはここにいる．

　水道橋を利用して城内に潜入．時計塔の時間はＡＭ１時５５分時である．
　こんな時間でも晩餐会は盛況である．優雅に楽しむ描き割りの人たち．
　ちなみに，次元はアクアラング＆スウェットスーツ姿なのに帽子を被っている．
　後に，その上にクラリスの冠までつけている．帽子は体の一部なんですな．

※３５
　銭形と警官隊がすすっているカップラーメン（おそらく「カップヌードル」）と
　カリオストロ伯爵の城で連日催されている晩餐会の豪勢な食事
　の対比が面白い．
　ちなみに※２８のシーンでのルパン達のカップうどん（その筋では「赤いキツネ」と言われている．）と
　カリオストロ伯爵の優雅な朝食も対比構造になっている．
　ついでに言うと，
　次元，銭形はあたり構わず平気でタバコやカップめんの容器を捨てている．
　彼らの自由奔放さが非常に分かりやすく描かれているわけであるが，
　資源ゴミやら嫌煙やらで小うるさく騒がれている昨今，
　このような描写は，もはや問題視されてしまう傾向にある．
　２０年前は良かった．

　不自然な風車の動きを見てルパンの潜入を察知する銭形．鋭い！！
　が，そこへパリ本部から突然の引き上げ命令が．．．

※３６
　銭形，ここで初めてルパンを目視確認．
　しかし，またグスタフに邪魔される．

※３７
　蒸発する人が多いとは，海外は物騒である．
　最近の日本もだいぶ物騒になってきたけどね．

※３８
　この辺のやりとりから，不二子の潜伏活動が，
　少なくとも１年に渡って進行していたことがうかがえる．
　不二子に気取られず，接近・立去るルパン．
　神出鬼没は伊達ではない．
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７．再会！ドロボーとお姫様

「くそーっ ひでえ所に閉じこめやがって．」ルパン※３９

「どなた？」クラリス
「ドロボーです．」ルパン
「ドロボーさん？」クラリス

「こんばんは．花嫁さん．」ルパン
「あなたはあの時の方ですね．」クラリス
「忘れ物ですよ．」ルパン

「まあ！このためにわざわざ？
　伯爵に見つかったら殺されるというのに．」クラリス
「なあに，
　狙い狙われるのがドロボーの本性です．
　仕事が終われば帰ります．」ルパン

「お仕事．．．？
　わたくしに何か差し上げられるものがあればよいのですが．．．
　今は虜の身．」クラリス※４０

「私の獲物は，悪い魔法使いが高い塔のてっぺんにしまいこんだ宝物．
　どうかこのドロボーめに，盗まれてやって下さい．」ルパン
「わたくしを？」クラリス

「金庫に閉じ込められた宝石たちを救い出し，
　むりやり花嫁にされようとしている女の子は，緑の野に放してあげる．
　これみんな，ドロボーの仕事なんです．うーん．」ルパン
「私を自由にして下さるの？」クラリス

「ありがとう．とてもうれしいの．
　でもあなたは，カリオストロ家の恐ろしさをご存知ないのです．
　どうか，このまま帰って．」クラリス

「あーあ，何ということだ．
　その女の子は，悪い魔法使いの力を信じるのに，
　ドロボーの力を信じようとはしなかった．
　その子が信じてくれたなら，
　ドロボーは空を飛ぶことだって，湖の水を飲み干すことだって出来るのに．．．」ルパン

「今はこれが精一杯．．．」ルパン

「こらっ．ご婦人はもっと丁重に扱え！」ルパン

「わざわざ指輪を届けに来てくれてありがとう．ルパン君．」伯爵
「盛大なお出迎え，痛み入るぜ．伯爵．」ルパン

「おじさま！」クラリス※４１
「ハーイ，おじさんはここですよー！
　すーぐ戻ってくるからね．」ルパン

「さて 何をして遊ぶのかな？」ルパン
「君を引き裂くのは簡単だが
　コソ泥の血で花嫁の部屋を汚すこともあるまいと思ってね．」伯爵
「そんなこと言っちゃって．．．あとで後悔するぜ．」ルパン
「へらず口はそれまでだ！」伯爵

「フフフ．．．一人として這い出た者のない，地獄へ通ずる穴だ．」伯爵

「可愛い顔をして，もう男を引き込んだか．
　カリオストロの血は争そえんな．」伯爵

「わが伯爵家は，代々お前達大公家の影として，
　謀略と暗殺を司り，国を支えてきたのだ．」伯爵

「クラリス，４００年の永き年月
　光と影に分かれていた二つのカリオストロ家が，
　今，一つになろうとしているんだよ．
　ごらん．
　我が家に伝わる金の山羊と，
　君の！
　銀の山羊の指輪が一つに重なる時こそ，
　秘められた先祖の財宝が蘇るのだ．」伯爵

「あ，聞いちゃった〜，聞いちゃった！
　お宝目当ての結婚式！」ルパン
「奴だ！？」伯爵
「ニセ札作りの伯爵の，言うことやることすべて嘘！
　女の子はとっても優しい素敵な子．．．」ルパン

「やい伯爵よく聞け！
　本物の指輪は俺が預かってる．
　その子に指一本触れてみろ
　大事な指輪はこうだ！」

「くそーっ．人を排泄物扱いしやがって．フーンだ！」ルパン

「落ちたか？」伯爵
「たぶん．」ジョドー
「調べろ．」伯爵
「あそこは生ける者のおもむく所ではありません．
　放っておけば必ず死にます．」ジョドー


【捕捉】
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※３９
　北の塔に行くためには※１５以外の手段がないため．

※４０
　自分のことを「わたくし」と呼ぶあたり，高貴さがにじみ出ている．
　お礼にということで，家宝とも国宝とも言える指輪を差し出すあたり，
　クラリスの誠実かつ無欲な面が描かれている．
　この指輪はルパンが※２２で作っていたニセモノである．
　無線で交信したり，伯爵をおちょくったりと大活躍をする．
　それにしても，短時間でよくあれだけの仕組みを組込んだものである．

※４１
　「ドロボーさん」から「おじさま」へ．
　クラリスがルパンに対して心を開いていく経緯が垣間見える．
　ちなみに，ルパンのあの大仰な台詞は，※５３でも述べるが，
　「長靴をはいた猫」のペロとオーバーラップしている．
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８．恐怖！地下牢暗黒の歴史

「殺しも殺したり，４００年分か．
 ナンマンダブ ナンマンダブ．．．」ルパン※４２

「ううーっ寒！
　あもうこんな時間か．．．
　どうだ様子は？」次元※４３
「まだ動かぬ．」五右衛門
「待つしかねえか．．．」次元

「１万円札ではないか！なんとこれが全部そうか．」銭形
「こりゃよくできてるぜ！
　とっつぁん見ろよ．」ルパン
「西ドイツの千マルク札！」銭形
「ポンド！ドル！フラン！リーブル！ルピー！ペソ！クラウン！リラ！
　ウホッ，ウォンまであるぜ！世界中あらぁな．」ルパン※４４

「かつて本物以上と讃えられたゴート札の心臓部がここだ．
　中世以来，ヨーロッパの動乱の陰に必ずうごめいていた謎のニセ金．
　ブルボン王朝を破滅させ，
　ナポレオンの資金源となり，
　１９２７年には世界恐慌の引き金ともなった．
　歴史の裏舞台．ブラックホールの主役，ゴート札．
　その震源地を覗こうとした者は，一人として帰ってこなかった．」ルパン

「そんじゃまあ，握手と．」ルパン
「フン！馴れ合いはせん．」銭形
「あれま．」ルパン


【捕捉】
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※４２
　地下牢の壁に刻まれていた文字
　既に明治時代に日本が密偵を送り込んでいたことが分かる．
　ちょうど日露戦争の頃なので，ロシア経由でニセ金が大量に入りこみ，
　その元凶を探りにきたのではないかと考えられる．

１９０４　３．１７
　　 こ 河 日
　　 こ 上 本
　　 に 源 國
　仇 果 之 軍
　　 つ 助 偵

　ルパンが地下牢で見た死体の山．
　王冠をつけた男性の死体は誰なのか？
　国王（すなわちクラリスの父親）だとすると，末恐ろしい．

※４３
　次元がこんな時間と言っていたのは朝の４時．（時計塔の鐘の音より確認）
　地下牢とはいえ，朝になると，光が差し込んでくる．
　完全な暗闇にならないあたり，まだ救いがある．
　ベルセルクに出てきたミッドランド城のおどろおどろしい地下牢とは一線を隔している．
　拷問などの直接的な描写はないにしろ，
　高いところから落として殺したり，飢え死にさせているわけで，
　どちらにしても残酷極まりない場所であることには違いはない．

※４４
　この台詞で世界中の通過単位を覚えた人も少なくはないだろう．
　欧州の通貨単位がユーロに統合されるなんて予想もしなかった．
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９．脱出！ルパン絶体絶命

「潮時が来たので，お別れを言いに来たの．」不二子
「あなたは一体？」クラリス
「クラリス様付き召使いとして雇われた，城内ただ一人の女．．．
　でも本当は，この城の秘密を探る女スパイなの．
　もうちょっといるつもりだったけど，
　ルパンが来たでしょ．
　メチャクチャになっちゃうからもう帰るの．」不二子
「あの方をご存知なの？」クラリス
「うんざりするほどね．
　時には味方，時には敵，
　恋人だったこともあったかな．
　彼，生まれつきの女たらしよ．気をつけてね．」不二子
「捨てられたの！？」クラリス
「まさか．．．
　捨てたの．」不二子

「落とし穴から煙が！？」不二子

「ムッ　動いた．」五エ門
「始めやがったか！」次元

「とっつぁん，ちょっと寄り道するぜ．」ルパン
「営利誘拐なら協力せんぞ．」銭形
「商売抜きだよ．」ルパン

「クラリス．お迎えに来ましたよ．
　不二子ぉ〜．ロープだ！」ルパン
「偉そうに言わないで！」不二子

「見上げた心がけだ，クラリス．」伯爵

「出番のないまま，退却かよ〜．」次元

「今日のは貸しにしとくわ．
　じゃあね〜．」不二子

「また，つまらんものを切っってしまった．」五右衛門※４５

「俺が捕まえるまでくたばるなよ〜．」銭形※４６


【捕捉】
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※４５
　五エ門の名台詞．
　もともと口数が少ないだけあって，一言一言に重みがある．

※４６
　ちなみに，山田康雄さんが亡くなった当時，
　納谷悟朗さんは，「俺より先にくたばりやがって！！」と涙ながらにコメントされていた．
　そのまんま，ルパンと銭形のような間柄だったんだな〜と感動してしまった．
　公私ともに，よき友人，よきライバルだったんですね．
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１０．独白！封印された過去

「ルパンの共犯者，銭形に変装ともあるが？」？？の大使※４７
「それは正真正銘の私です．」銭形
「困るんだよ．現職の警官が，軽率じゃないか．」日本の大使
「問題はだね．世論がどっちを信じるかだ．」アメリカの大使
「勝ち目はあるまい？」フランスの大使

「出動はない．
　後任が決まり次第，我々はルパン担当の任を解かれることになった．
　全員帰国の準備をしろ．」銭形

「誰にもなつかぬ老犬が，あの男からは離れようとせん．
　そうでなければ，お前さん達を匿ったりはしなかったろう．．．」大公家庭師の老人

「あの御仁は，なぜ犬の名を知っていたのじゃろう？」大公家庭師の老人
「さあな．なにしろ惚れっぽい奴だからな．」次元

「もう１０年以上昔だ．
　俺は一人で売り出そうと躍起になっている，青二才だった．
　馬鹿やって，いきがった挙句の果てに，俺はゴート札に手を出した．
　・・・
　何とか岸に這い上がったが，もう身動き取れなかった．」ルパン※４８

「カール？どうしたのカール？」クラリス（少女時代）
「どうやら年貢の納め時が来やがった．．．」ルパン
「お水．．．」クラリス（少女時代）

「震える手で水を飲ませてくれたその子の指に
　あの指輪が光っていた．
　恥ずかしい話さ．指輪見るまですっかり忘れちまってた．」ルパン

「俺は降りるぞ〜．」銭形
「ルパンが相手なら，天下御免で出動できるんでしょ？」不二子
「そうか，その手があった．」銭形


【捕捉】
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※４７
インターポールの会議
分かる範囲で，こんな配置になっていた．

独　　　長官　　　伊
英日　　　　　　　米
中　　　銭形　　　仏
　　　　　　　　　

※４８
　※１３の”駆け出しのチンピラ”と対応している．
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１１．リベンジ！花嫁奪還作戦

「神の祝福があらんことを．．．」大司教（実はルパン）

「意義あり！
　この婚礼は欲望の汚れに満ちているぞ．」ルパン（人形）

「地下牢の亡者を代表して参上した．
　花嫁を頂きたい．」ルパン（人形）

「クラリス，クラリス，
　かわいそうに薬を飲まされたね．
　伯爵め，口をきけないようにしたな．」ルパン（人形）※４９

「妬かない妬かない．ロリコン伯爵！！
　火傷すっぞ．」ルパン※５０

「わざとらしくやりおって．」ＩＣＰＯ上層部の面々
「ルパンを追ってて，とんでもないものを見つけてしまった．
　どーしよー？」銭形

「皆さん，どうかごお気をつけて．次元様も．
　必ず無事に戻ってください．御恩は一生忘れません．」クラリス

「次元様だと．」次元
「可憐だ．．．」五右衛門※５１

「おっぱじめようぜ！！」次元
「今宵の斬鉄剣は一味違うぞ．」五右衛門


【捕捉】
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※４９
　※１６で書いたとおり．よく効く薬は身体に悪いよ〜．

※５０
　この作品のこの台詞がなければ，こんなにも浸透しなかったであろう言葉．
　ちなみに，当時，山田さんも島本さんもこの言葉の意味を知らなかった．
　この後，不二子扮する宇宙中継のTVのキャスターが大活躍する．

※５１
　五エ門もその傾向がある．
　昔，不二子にひどい目に合わされたトラウマ＃から，
　守備範囲（年齢）がかなり若年化（熟女→少女）してしまったと考えられる．
　（＃ルパン三世　第５話「十三代五エ門登場」1971.11.21放送より）
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１２．決戦！時計塔の攻防

「”光と影を結び，時告ぐる，高き山羊の陽に向いし眼に我を納めよ”」クラリス※５２

「どこまで行くのかな？ク〜ラ〜リ〜ス．」伯爵※５３

「見ろ　あの文字盤の山羊座を．
　あれが”陽に向かいし時告ぐる山羊”だ．
　両の目に二つの指輪をはめる穴がある．
　この指輪はくれてやる．しかしその子を殺せば湖に捨ててお前を殺す．」ルパン

「切り札は最後まで取っておくものだ．」伯爵※５４

【捕捉】
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※５２
　この時点でＡＭ：２：３０
　言うまでもなく，時計塔での決闘シーンは，映画「長靴をはいた猫」（1979年東映作品，監督：もりやすじ）
　へのリスペクトである．
　ルパンはペロ（猫）とピエール（カラバ公爵）の両方の属性を兼ね備えた役柄だったことが分かる．

※５３
　この時点でＡＭ：２：４５
　見事である．ちょうど時計の長針と短針が水平になる時間である．
　ちなみに，私は車で道に迷うことが多いのであるが，
　大学時代，仲の良かった友人に，よくこの台詞を言われたものである．

※５４
　このシーン，那州雪絵の「ここはグリーンウッド」の中でもパロディとして使用されていた．
　学祭の劇．90度傾いた舞台で寝そべりながら演じるやつ．ドリフが元になってる？
　落ちる時は滑車に乗って転がるのである．
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１３．出現！大いなる財宝
「隠された財宝か．」ルパン
「湖の底にローマの町が沈んでいたなんて．」クラリス
「ローマ人がこの地を追われる時，水門を築いて沈めたのを
　あんたのご先祖様が密かに受け継いだんだ．
　まさに人類の宝ってやつさ．俺のポケットには大きすぎらァ．」ルパン※５５


【捕捉】
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※５５
　湖の下には街が眠っている．．．というネタはすばらしい．
　○○ダムの下に村が眠っていたりする話はたまにあるけどね．
　OVA「R.O.D」の2巻ではなんと，ガンジス川？の下に街が．．．というものすごい展開があったけど，
　もちろん，本作にリスペクトされてできたもの．
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１４．別離（わかれ）！ドロボーとお姫様

「インターポールが重い腰上げたな．」ルパン

「行ってしまうの？」クラリス
「ん？うん．
　こわーいおじさんがいっぱい来たからね．」ルパン

「私も連れてって．
　泥棒はまだできないけど，きっと覚えます．
　私．．．私．．．お願い．一緒に行きたい．」クラリス※５６
「ばかなこと言うんじゃないよ．
　また闇ん中へ戻りたいのか？
　やっとお日様の下に出られたんじゃないか．
　な．
　お前さんの人生は，これから始まるんだぜ．
　俺のように薄汚れちゃいけないんだよ．
　あ，そうだ．
　困ったことがあったらね．いつでも言いな．
　おじさんは地球の裏側からだって，すーぐ飛んできてやるからな．」ルパン※５７

「ルパンめ まんまと盗みおって！」銭形
「いいえ，あの方は何も盗らなかったわ．
　わたくしのために戦って下さったんです．」クラリス
「いいえ，奴はとんでもないものを盗んでいきました．
　あなたの心です．」銭形

「ルパンを追え！地の果てまで追うんだ．」銭形

「なんと気持ちのいい連中だろう．」庭師の老人

「ルパン，きっと，きっとまた会えるわ．」クラリス

【捕捉】
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ここで使われている台詞の数々は，非常にすがすがしく，心に残りやすいものばかりである．

※５６
　これは未だによく使う台詞である．
　「○○はできないけど，きっと覚えます．私．．．私．．．」とやると効果的．
　分かっている人なら「ば，ばかなこと言うんじゃないよ．」と返してくれるでしょう．

※５７
　横山智佐が声優になるきっかけを作ったのは，おそらくこのあたりの台詞であろう．
　ルパンに逢えてよかったね．
　実はこの一言を書きたいがために，レポートを書き始めたのであった．
　それを２年も費やしてしまうとは．．．月日は百代の過客なのである．
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