核兵器ほど譲ることができない「人権問題」
米国は、北朝鮮の人権弾圧に目を瞑るのか
もしかすると、金正恩にとって非核化より受け入れがたいのは、政治犯収容所の閉鎖と政治犯釈放などの人権問題かもしれない。核兵器が外部からの体制を守る「盾」だとすれば、恐怖政治と人権弾圧は、内部(自国民)の反発から体制を守る「武器」だからだ。
外部からの軍事的脅威より怖いのが、内部の反発から始まる体制の崩壊である。それは過去のソ連をはじめ東欧の共産国家が外部からの力の圧力ではなく、内部の反発と抵抗から崩壊した歴史がよく証明している。北朝鮮の立場からすれば、非核化より受け入れがたいのが自国内の人権問題への干渉かもしれない。
米国は人権にうるさい国だ。特に2016年に北朝鮮を訪問中に逮捕された後、脳死状態で釈放された直後に死亡した米国の大学生オットー・ワームビアの事件は、北朝鮮の凄惨な状況を世界に知らせ、米国民を怒らせするきっかけとなった。これを鑑みれば、米国が非核化の見返りに金正恩体制を保証することはまた新しいの非難を招くことになるかもしれない。
6月12日の会談で「非核化」の他に北朝鮮が米国に提示できるカードはない。一方、米国は「段階的非核化」という譲歩のカードだけでなく、経済制裁解除、経済支援など多くの魅力的なカードを持っている。
米国は果たして米本土攻撃の脅威を除去することに満足して、国際社会から非難される北朝鮮の人権弾圧を黙認するだろうか。それとも、非核化以外の厳しい条件を付けて、北朝鮮をさらに窮地に追い込むのか。米国の交渉術に注目する。
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